プラグマティックな化学

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吸湿発熱??

 ヒー〇テッ〇とかいうシャツを着ると良い、と押し付けられた。何が良いのかわからないのだが、温かいという評判だ。

 着てみると、袖を通した瞬間に普通のものよりは温かいという感じはするが、その後何も違いはないように思う。効能書きにはなんやら難しそうなことが書いてある。
 吸湿発熱(吸着発熱)が起こって温かいとある。水蒸気が凝縮して繊維を湿らせると発熱するということらしい。そんなのは当たり前だ。水蒸気はエネルギィが大きい。それが凝縮すれば発熱だ。しかしその水蒸気はどこから来るのだろう。当然皮膚から蒸発する。そのエネルギィはどこからも供給されないから体が冷やされることになる。いわゆる気化熱だ。凝縮熱と気化熱は等しいから、何も変化はない。すなわち繊維が湿る時の発熱だけが有効だ。その温度上昇を条件を変えて敏感な温度計で何回か計ってみたが、計測不能なくらい小さい。はっきり言って書くに値しない、どうでもよいことなのだ。

 この種の科学用語を使った効能書きは実に怪しい。事実上何も変化がないに等しいのだが、全く無いわけではない。そこをうまく突いて、消費者を勘違いさせる。

 筆者はこの解釈で切り捨てたが、確かに温かいという人もいる。どう違うのか聞くと、今までは2枚着なければならないところが1枚で十分という。よく考えてみると「断熱性が高い」ということのようだ。すなわち、空気を保持する能力が大きいということだろう。布地を指で挟むと普通の木綿のシャツに比べて分厚い。要するに細い繊維を密度低く織って、空気層を厚くしているわけだ。
 それは優秀かもしれない。それならそう書けばよいだけで、吸湿発熱などという怪しい言葉を出す必要はない。

 だいたい、いったん吸湿したらそれまでであるから、それを気化させて逃がさねばならない。その気化熱はすなわち体温を下げる。差引き、何も残らない。どうみても考えるだけ無駄な話だ。

 寒いときは、上に風を通さない上着を着て、中は分厚いセータを着るのが温かいことは小学校でも習う。それ以外に方法があるのだろうか。考えても無駄なことをくどくどと書く人たちは、学校で何を習ったのだろう。この国の理科教育はそこまで無意味なのだろうか。




 お待たせしているプラグマティック化学の発刊が遅れている。今年の受験には間に合わないことが確定した。待っていた方々には本当に申し訳ないとしか言いようがない。図版の校正が終わらないのだ。
 普通、校正は3回で終わるのが普通だ。それが5校を経ている。図版はこちらが書いたとおりにしてくれればよいのに、描き直すものだからおかしくなってしまう。図の中に15個の丸が描いてあれば15個描けば良いのに12個しかない、というようなことがたくさんある。
 最初は、印刷所の中に他予備校の破壊工作員がいる、と確信するぐらいひどかった。ようやく、かなり直ってきたのだが、如何せん時間切れである。
 待っていた方にはお詫びする。出版は3月中旬になってしまうであろう。
 

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水素あれこれ 

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 ようやく国民生活センターが注意を呼び掛けている。遅すぎる。
 様々な場所で水素水の効能が謳われているが、笑止千万である。ゆうちょの通販でも扱っていることは先回書いたが、ひどい話だ。

 大手のスーパーマーケットに行くと、水素水の売り場がある。「高濃度」で、しかも「漏れない」と書いてあるものが多い。それほど薄くて漏れない容器なら、トヨタに売ってやれば良いのに、と思う。水素自動車は漏れがとまらないようだ。人材を募集しているが、努力してできることと努力しても無駄なことがある。そんなことも分からないらしい。いや分かっちゃいるけど、やめられないのだろう。これは政府に責任がある。

 前にも書いたが、水素を燃料とする自動車を考えること自体が間違っている。自動車ごとき低級なものを走らせるのに、どうして水素が適するのか、出来るものなら証明してほしい。宇宙空間での話とは違うし、ロケットの燃料とも違う。ロケットは簡単な計算で質量当たりのエネルギが最大の水素を使わざるを得ないことは高校生でもわかる。

 水素は一次エネルギィではない。要するに、地面を掘って出てくるものでもなく、太陽光発電で直接生まれるものでもない。何かのエネルギィを変換した結果、生じるものである。また保存は難しい。
 政府の補助金が投入されている。無駄なことに金を使うべきではない。ジャーナリストはもう少し勉強すべきだ。いわゆる「水素社会」が幻想にすぎないことをもっと書くべきである。



 河合出版刊 プラグマティック化学は今月末あたりに刊行だそうです。いま校正の最終段階に来ました。もうすぐです。

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 夏にアメリカに行ったとき、ヒマワリの種を買った。それは食用の種である。加熱して塩味が付いている。サラダに掛けると、とても美味しい。最近日本でもCobb salad用のドレッシングを売っているので、それに入れるとさらにおいしくなる。筆者の好きなものの一つだ。以前は向こうでドレッシングを何本か買って来ざるを得なかった。

 ヒマワリの種は、買ってきて2週間くらいは良かった。そのうちに気になる臭いが感じられ、1月後には食べられなくなった。瓶の中にまだ1/3ほど残っていたが、思い切って捨てた。
 どうしてそうなるか、考えてみよう。ヒマワリの種には不飽和脂肪酸が多く含まれている。生の時は細胞の中で保護されているが、加熱してあるので油は空気中の酸素と反応しうる状態にあるだろう。
 瓶のふたを開ければ、その瞬間から酸化が始まる。徐々に変質して、我慢できないところまで行けば廃棄だ。そういうものを食べるとおなかが痛くなることもある。
 二重結合の数が一つのオレイン酸は相対的に少ない。酸化されやすいリノール酸、リノレン酸が多いのだ。

 ところが一緒に買ってきたクルミの実は、当然加熱してあるのだが、ほとんど変化がない。それは含まれている脂肪酸が主として飽和脂肪酸だからだ。容器の口が開いていても問題ない。オレイン酸も多少あるが、以前述べたようにオレイン酸は酸化されにくいからだ。




 紙の本の校正作業は進行中ですが、図版は業者がすべて描き直すので、こちらの意図とは違うものが出てきたりします。その修正が大変な作業で、年明けの発行になるとのことです。

コメントで問題の解き方を細かく質問される方がありますが、コメントではお答えできません。
河合塾千種校名古屋教務部気付で、返信用封筒を同封して送ってください。内容にもよりますが、なるべくお答えしたいと思います。しかし、それはこのブログの本来の姿ではありません。

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電気温水器の故障

 先月末、電気温水器が故障した。通電ランプが点くのに、お湯が沸かない。中を開けてみて驚いた。本体のヒータ部を留めるネジが消滅している。上のほうの配管で僅かの水漏れがあり、それが伝ってたまたまその部分に達したのだろう。

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 よく見ると、本体から出ているボルトはステンレス鋼だ。ヒータ部の蓋ももちろんステンレス鋼だ。それを留めるナットが普通鋼製である。乾いているときは良いが、水があると直ちに電蝕が始まり、鉄は溶ける。この写真中、時計で言う4時半と6時の位置のナットは完全に消滅していた。上の方の水が影響していない部分は全くの無傷だ。
 締めているナットが無くなれば、温水は大量に漏れ、内部の電気部品が腐食してしまうし、この写真でもわかる温度センサが錆びて壊れている。即ち暴走するか止まるかである。現実に、突然最高温になって、翌日から止まった。

 漏れた部分にはカルシウム塩が析出している。少しずつ漏れて蒸発して析出したのだろう。思い起こせば、昨年からそのあたりに僅かの水漏れの兆候があったが、漏れたものが内部に浸透しているとは思わなかった。

 三菱電機ともあろう会社が、電蝕に対してこの程度の認識しか持っていないというのは驚きだ。これを買うときに、中津川にある工場と話をして、壊れない構造になっているというので決めたので、余計腹が立つ。

 この種の温水器はやや特殊なステンレス鋼を用いている。水道水に含まれる塩素に対する防蝕性の高い配合だ。普通のステンレス鋼ではたちまち腐食する。
 
 新しい温水器は早速ばらして、ネジの材質を確認する。もし同じことをしていたなら、許しはしない。

 河合出版から出る「(仮称)プラグマティック化学」は現在校正中です。もう少しお待ちください。

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水素水

 最近更新してなかったので、生きてるのか?と、いろいろな人から電話があった。無事生きているが、少々忙しく、更新出来なかった。

 最近の話題としては水素水には参っている。知人がわざわざ来て、
「近所の人が水素水の製造装置を何十万やらで買って、水素水を分けてあげると言うのだが、本当に効果はあるのだろうか。」
と聞く。もちろん効果はあるわけないのだが、大体その水素が含まれているかどうかも極めて怪しい。説明するのもめんどくさく、下記のウェブサイトを紹介した。あとで電話があって、
「よくわかった。ダメなんだね。それはわかったけど、どうしてあちこちで宣伝しているのだ。法律に触れないのかい。
「触れるのだろうが、まだ誰も訴えていないからね。」
「じゃあ、君が訴えろよ。」
と言う。残念ながら筆者は被害を受けていないから、訴えられない。買った人が訴える必要があるのだ。

 前にも書いたが、水素は分子が小さくて逃げ出しやすく、保存することは不可能に近い。厚い鋼製の容器なら多少の時間は閉じ込めて置けるが、無限にというわけではない。ましてや水素自動車の燃料タンクに水素が保存できるわけもない。
 水素燃料電池自動車を作っている会社の、博士号を持つ人を採用しようとしている求人欄がある。そこに水素タンクから水素を漏れないようにすることを研究する人を募集すると書いてある。漏れているわけだ。
 継手部分が怪しい。金属と結合して水素化物になるから脆くなる。車検ごとに総取換えせざるを得ないかもしれない。ともかく、満タンにして炎天下でひと月放置すると、何パーセント残っているかという数値を発表すべきだ。

 さて水素水だが、もし水素が入っているとどうなるのだろう。げっぷをすると水素が出てきて、タバコを吸う人のマッチの火が引火するなら、それは本物だろうが、ありえない。薄い容器で水素を閉じ込めることができないし、できたとしても水素には何の効能もない。

 この種の水に関する怪しい話はいくらでもあって、波動、磁気その他枚挙にいとまがない。山形大学の先生が書いている水商売ウォッチングというサイトがある。面白い話がたくさん載っているから、是非ご覧戴きたい。
 面白いのは、この先生が書かれた内容について裁判に訴える人がいることだ。勝てると思っているらしく、お気の毒としか言いようがない。  

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