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その場所は、森の中にぽっかりと明いた空間 吹き抜ける風が海の気配を運んでくる場所。 さらに奥へ進む 目の前に広がる景色に ・・・絶句。 言葉も失うほどの 海 流れる汗をぬぐうことすら忘れしばらくその景色を眺めていた。 もう一歩 前へ 森の出口は、立ちすくんでしまうほどの断崖・・・ 眼下では、打ち付ける波がその力強さを見せ付けるように 白い泡となって海面に消えていく。 ・・・そこは手付かずの原生林が残る岬の先端。 長い長い時間、人の侵入を拒んできた場所。 リアス式海岸の特徴的な地形、約40mの垂直な絶壁。 「ここ ですか・・・?」 やっと搾り出した私の言葉も聞こえない様子で社長がいった 「ここに旅館がたったら、すごいだろ」 ・・・?すごいけど ・・・・・どうやってこんなところに建てるんですか? 「ここは人工物の見えない場所なんだ。本当に海しか見えない。 伊勢志摩でも、これだけの海が見える場所は少ないだろう。」 私の疑問に答えることもなく、社長が続けて話した。 たしかに・・・海しか見えない。 水平線が丸く地球の形を見せる場所 ・・・でもどうやって建築するのか その疑問が 大きく心に残った。
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