うるわし日本の環境論

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黄砂はだれのせい?

早くも日本列島に黄砂が襲来した。
 
環境問題を国際的視点で捉えるときにもっともわかりやすいのが黄砂ではあるまいか。

黄砂という現象は昔から存在した。

私が子供の頃はある種季節の風物詩的な意味合いを帯びていたほどだ。

春先の季節風に乗って中国の砂漠から砂が飛んでくる。そこにはいくばくかのエキゾチシズムすら存在していた。

黄砂とは言うまでもなく中国のゴビ砂漠、タクラマカン砂漠などで巻き上げられた微小な砂粒が偏西風に乗って飛来し、地上に落下する自然現象をいう。

ところが最近、その頻度は高まっており、その原因として降雨量の減少による乾燥化(砂漠化)、人為的な過放牧や農地転換による土地の劣化等との関連性も指摘される。

北京の惨状はしばしばテレビなどで紹介されるが、韓国での被害も甚大だという。休校、飛行機の欠航など中国に近いだけに日本の比ではない。その被害額は年間3600億円ともいわれる。

わが日本では、まだ顕著な被害は報告されていないが、健康被害への懸念は高まりつつある。

中国では軍事機密を理由に黄砂に関する情報を提供しようとはしない。

それどころか黄砂の発生源を中国に限定していることに不満すら表明している。

2008年3月4日の中国紙「環球報」(電子版)の報道によると、「黄砂は中国で発生し、日本や韓国に飛来している」との見方について、中国の専門家は「発生源を中国だけに特定するのは妥当ではない」と反論し、「隣国のモンゴルにも大きな砂漠はあるし、そもそも日韓両国自身で砂塵が発生している可能性もある」と述べた。

一見荒唐無稽な反論ともとれるが、日本国内の砂塵はともあれ、こういった黄砂の多発を招いた一因を日本が負っているといわれれば、それを完全否定することは出来ない。

即ちそもそも中国砂漠化の要因のひとつとして地球温暖化が挙げられるからだ。

上述したような、過放牧や農地転換もその要因として挙げられる。

しかしながら、中国気象局長の「黄砂は一種の自然現象だから消滅できず、黄砂の防止は事実上、科学の法則に背くもの」との発言は的外れとしかいいようがない。

中国はいまや世界最大級の二酸化炭素排出国である。

しかも環境対策の遅れから汚染物質、有害物質の排出量も大きい。黄砂からは土壌起源ではないと考えられるアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなども検出されているという。

つまり飛来の過程で人為起源の大気汚染物質を取り込こんでいるというのだ。

そのほとんどは中国のものであろうが、100%中国と断言することは出来ない。

つまりこういった国境を越えた環境問題には極めて複合的な要因とともに、科学的検証そのものが困難な状況が存在するのである。

しかしながら環境問題を農薬入り餃子のように迷宮入りさせることは出来ない。

原因は特定し、対策を立てなければ抜本的な問題解決を図ることは出来ないからだ。

最近東北大学をはじめとする研究グループが、冬季に中国大陸から日本列島に流れ込んでいるかすみのような気流は、中国からの汚染物質であることを人工衛星の画像から突き止めた。

さらには蔵王(山形市)の樹氷が通常より高い酸性度を示しており、蔵王の硫黄分は、上海周辺や北京周辺で採取した石炭内の硫黄分と同じことが特定されたとの報道もあった。

もはや環境悪化の原因を他国に押し付けて改善を求めるといった段階ではないのである。

中国はこれまで莫大な二酸化炭素を排出してきたのは日米欧の先進国であり、いまさら新興国にその排出を抑制するなど不条理だという。

さらに中国は黄砂の多発を温暖化に結び付けようとする。

その中国は今世界最大級の二酸化炭素排出国であり、有害物質の排出国である。この自己矛盾をどうするのか。

それでもなお、日本は中国の環境改善に全面的に協力せねばならないであろうし、中国もまたビジネスを超えた高い意識レベルで環境改善に取り組んでいかなければならない。

議論も喧嘩も生きていればこそ出来るのだ。我々は、船が沈没するまで、その責任を擦り付け合うおろかな乗組員であってはならないのだ。

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