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来年、祇園祭がユネスコの「無形文化遺産」に登録されるそうです。この無形文化遺産の前身は 「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」で、1998年には能楽、その後、文楽、歌舞伎と登録されました。
さて第一回に傑作とされた世界19件のなかに能楽とともにインドの「クーリヤッタム」があります。
「クーリヤッタム」とはインドの西南端アラビア海に面したケーララ州に1000年前から続くサンスクリット舞踏劇で、寺院の舞台で演じられ、かっては王侯貴族や僧侶しか見られなかったといわれています。
そのクーリヤッタムを昨日夜、京都三条室町の百年以上続く誉田屋源兵衛という帯問屋で観劇しました。私の生徒(画家)の一人が主催者の田中泯さんのグループということで、案内を受け寄せてもらったら、偶然にも別の生徒にも会いました。版画家の彼女もかって「ダンス白州」に関係してたとか。「たそがれ清兵衛」で迫真の演技をしたその田中さんもおられました。
舞台となった誉田屋は祇園祭の時には、知人木村英輝さんの巨大な鯉の幕を作って評判になったところですが、普段はお商売の板敷きの大広間に、うまく階段状に座席を作って臨時の会場とし、演じる場所は坪庭の手前です。
少し早めに行ったお陰で、結構前の方に座れ、目の玉の動きまで見られて良かったです。
サンスクリットとは紀元前1500年までさかのぼる古代語ですが、今日でも多くの国の言語に影響を及ぼしています。日本では梵字として、墓石に刻まれているので目にしますね。実は私の方でも梵字の入門書を発行しています。
さて今回の演目は「砕かれた腿〜ドゥルヨーダナの最後」(マハーバーラタより)です。「マハーバーラタ」は世界三大叙事詩のひとつで、二つの王家の戦いを18巻巨大叙事詩です。
まず二つの燭台に火がともされます。三つの火はシヴァ、ビィシュヌ、ブラフマーの三大神をあらわし、火がついた時からクーリヤッタムの世界に入り、ラストで観客全員起立して火が消されます。薪能のようですね。
ついで上半身裸のインドの演奏者が大きな壺の前に座ります。巨大な茶壷といったイメージです。これは銅製の壺に牛の皮を張った「ミラーヴ」とよばれ、大小二個並べられます。
両手でターン、タンタンタンというリズミカルな音を鳴らします。これは生きとし生けるもの 神、人、魑魅魍魎まで呼び寄せるという導入の音です。
この大きな太鼓の演奏者は威丈夫な方で2時間以上にわたって、やすみなく叩くわけですから、スタミナと手のひらには感心させられました。他に小太鼓と手提げ太鼓、シンバルが使われ、演奏者は途中で交代します。すべてパーカッションで、物語に合わせて奏でられる響きにうっとりです。またすべての演奏者が、片時も演じる演者から目を離さないのもすごいですね。
二人の人が大風呂敷くらいの幕を持って現れます。その幕をとると、そこには古代衣装に黄金の冠をかぶった演者が現れます。畳一畳くらいの空間の中で演技をします。一種の踊り=所作なのでしょうが、手と目で演じると言っていいでしょう。でも時にはセリフもあります。顔は歌舞伎の隈とよく似ています。
ストーリーはここでは述べませんが、腿を砕かれ、死期が迫った王が、座ったまま演技するところは圧巻、特殊な植物で真っ赤に染まった目で悲嘆にくれる姿は恐ろしげです。少しはストーリーがわかるのは端にあるスクリーンの字幕のお陰ですが、演技に没頭して観忘れるほどでした。
二時間はあっという間でしたが、ぎっしり詰まった観客席で、手足も伸ばされず最後はちょっとお疲れ様・・・
最後に開幕前に、隣に外人が流ちょうな日本語で「ここに座っていいですか」「どーぞ、どこのお国ですか」「コロンビア」「京都は暑いでしょ!あなたの国は冬ですか」「冬とか夏はありません、乾季か雨季だけです。私のいる首都ボコタは2000メートルなのでいつも18度くらいですよ。」「うらやましい、インド舞踏に興味があるのですか」「スペイン語で演芸の本を出す準備してます、明日は飯田市の「世界人形劇フェスティバル」に行きます」「知りませんでした。さっそくインターネットで調べてみます。ついでですが私のホームページ観てくださいね」「英語で書いてありますか。日本のホームページ素敵なのに英語が少ないのは残念です」「すいません私のホームページもイントロだけは英語あるんですがねー」「この席は足が痛いので後ろのいす席に移りますね。またメールします。ありがとう」
ということでまた一人国際親善ができたような気がします。
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