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映画と文芸のスクランブル
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スナックちどり

              スナックちどり
             よしもとばなな(著)  
 
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40歳を目前に離婚した「私」と、身寄りをすべてなくしたばかりの、いとこのちどり。イギリス西端の田舎町を女二人で旅するうち、魔法にかけられたような時間が訪れる―。
(「BOOK」データベースより)
 
離婚協議中の主人公と、幼い頃に両親が離婚した後、親代わりに育ててくれた祖父母を相次いで亡くし、ひとりぼっちになってしまった「ちどり」とは従姉妹の関係です。
 
傷心の二人は、イギリスのペンザンスという片田舎に5日間の小旅行に出かけることを思いつきます。
 
この作者、弱った人間の心理を描かせると、絶妙です。たいした欠点もない夫となぜか離婚を決めてしまった主人公の、揺れ動く心理はまるで、ペンザンスの町そのものなんですね。
 
ロンドンのような巨大な都市ではなく、いちおう観光地なのに、見るものもあまりない寂れた町。深い海の色と灰色の空がずっと続き、人々だけは人懐っこい、みたいな場所なんでしょうね。だからこそ、傷心の人間は癒される、みたいな。日本とも世間とも遊離した時間の中、そこはまるでエアポケットのようで、二人はお互いを温めあいます。
 
ちどりの育ての親であった祖父母は、飲食店を経営していました。その死後、経営する人がいなくなったので、いったん店をたたんだものの、「スナックちどり」として再開しようと決心するまで、店の思い出などを語らいつつ、女二人は寂しさの隙間を埋めていきます。
 
そして、この小さな町で数日過ごしたとき、二人の間にあるハプニングが起きるのですが、これからお読みになる人のために伏せておきます。
そのハプニングがあってもなくても、人と人が寄り添うとはどういうことか、また、人にとって真の「居場所」とは何か、考えさせてくれる佳作でした。
 
やっぱり、女性向きでしょうねぇ。
 
 
紙の本のデータ

単行本: 173ページ
出版社: 文藝春秋 (2013/9/27)
言語 日本語
ISBN-10: 416382510X
ISBN-13: 978-4163825106
発売日: 2013/9/27
定価:1260円
 
(星5つ)
 
 
 
 
 

なぎさ

なぎさ
山本文緒(著)
 
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家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやっても中途半端な川崎は、恋人以外の女性とも関係を持ち、自堕落に日々を過ごしている。夫と川崎に黙々と弁当を作っていた冬乃だったが、転がり込んできた元漫画家の妹、菫に誘われ、「なぎさカフェ」を始めることになる。姉妹が開店準備に忙殺されるうち、佐々井と川崎の身にはそれぞれ大変なことが起こっていた―。苦難を乗り越え生きることの希望を描く、著者15 年ぶりの長編小説! (「BOOK」データベースより)
       
                  
                 
                 
新聞の書評欄で見て購入しました。
この作者の作品は初めてだった気がします。
 
私って、なぜか、傾向として「家族」をテーマとした作品ばかり選んでしまいますね。なぜでしょうか。
本作も、ある家族をとりまく群像劇になっています。
いろんな人が登場し、人間関係が複雑に絡み合っています。
 
ブラック企業に勤めている佐々井とその後輩の川崎クン。
川崎クンはお笑い芸人になりたかったのですが、挫折しました。
佐々井の妻、冬乃とその妹である漫画家の菫。
さらに姉妹の両親。
川崎クンの彼女。
ブラック企業の取引先の怪しげな人たち。。。
 
それぞれのパーソナリティが破れ目なく
うまく描けていました。
 
群像劇だけあって、一人称が、「私」になったり、「俺」になったりするので、
誰の語り口なのか判別するのに、最初はちょっと苦労しました。
ただ、私の読解力が足りないせいだと思います。
 
冬乃と菫の姉妹が「なぎさカフェ」という店を経営するところから
全員の関係がぎくしゃくし始めます。
完璧な善意も、完璧な悪意もない、ってとこでしょうか。
 
群像劇とはいうものの、主軸となる人間関係は、
佐々井夫妻と、冬乃・菫と両親との関係です。
 
冬乃と菫は、故郷の長野から逃げて上京したという前提があります。
なぜ両親の住む家から逃げなければならなかったのか。
このあたりに深い問題提起があるのですが、
読んでいくうちに、だんだん明らかになってきます。
 
これからお読みになる人のために、詳細は避けますが、
私ならどうするだろうか、と考えさせられるテーマでした。
 
「親の面倒をみる」と、一口で言うのは簡単ですが、
経済的な面でも、介護という問題でも、精神的な面でも、
背負わされる子供の立場からすれば大変なのですが、
だからと言って、見捨てるには罪悪感が伴います。
 
ジレンマなんですよね。自分自身の生活が苦しいと。
そう言う私も、親に仕送りしないといけないんですが、
してませんねぇ、こればっかりは。(汗)
 
とてもストーリーのよく出来た作品で、
突っ込みどころのない、上手い小説になっていました。
長編ですが、時間のある方には是非おすすめです。
 
(紙の本のデータ) 
単行本: 371ページ
出版社: 角川書店 (2013/10/19)
ISBN-10: 4041105781
ISBN-13: 978-4041105788
発売日: 2013/10/19
定価:1680円
 
(恐れ多くも、これから★の数で評価することにしました。満点は★5つです)
 
彼女がその名を知らない鳥たち/沼田まほかる(著)
 
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八年前に別れた黒崎を忘れられない十和子は、淋しさから十五歳上の男・陣治と暮らし始める。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治。彼を激しく嫌悪しながらも離れられない十和子。そんな二人の暮らしを刑事の訪問が脅かす。「黒崎が行方不明だ」と知らされた十和子は、陣治が黒崎を殺したのではないかと疑い始めるが…。衝撃の長編ミステリ。 (「BOOK」データベースより)
 
 
 
沼田まほかるの第2作目、2006年の作品です。『ユリゴコロ』ですっかりファンになって以来、過去の作品も徐々に読んでいます。今回は電子版で読みました。
『九月が永遠に続けば』ほど、アクが強くなく、どちらかと言えば『ユリゴコロ』に近い、恋愛ミステリー。最後には泣かせてくれる作品です。
 
たぶん、ミステリだろうか、と思って読み始めたのですが、途中まで犯罪など何も起こらず、これは単なる男女の三角関係の小説かと思いきや、
小説の中盤で、かつで酷い目にあわされた男、黒崎が五年前から失踪している、と言って、警官が現れたところから、謎がどんどん深まっていきます。
 
黒崎は失踪しているのか、もしかして殺されたのか?
なら、誰に?
十和子の、日常のこの非現実感はどこから来るものなのか?
 
この作者の場合は、ミステリと言っても、物質的なトリックではなく、そこに心理があり、恋愛があり、一筋縄ではいかないプロットがすごいんですよね。ネタバレを避けようと思い、ストーリーには触れられないのですが、またしても沼田まほかるにやられました。
 
ラストの1頁だけで涙が止まらなくなる小説。醜男の純愛ものです。
くれぐれも、絶対、最後から読まないように。
 
 
文庫版
文庫: 389ページ
出版社: 幻冬舎 (2009/10)
ISBN-10: 4344413784
ISBN-13: 978-4344413788
発売日: 2009/10
 
 

たまゆら

「たまゆら」
あさのあつこ(著)
 
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「離さない。絶対に離さない。もう二度と、行かせたりしない」
ここから人の世が尽き、山が始まる。
そんな境界の家に暮らす老夫婦の元へ、一人の娘が辿り着いた。
山に消えた少年を追っていると言う。しかし山はそう簡単には、人を受け入れない。
人でなくていいのなら、越えてしまえ―。
狂おしいほどの想いにとらわれ、呼ばれるように山へ入った人々の赦しと救いを描く慟哭の物語。
ーーー「BOOK」データベースより
 
 
映画『バッテリー』の原作者あさのあつこの恋愛小説。
 
舞台は現代でありながら、どこか時代小説のようで、
土俗的というか、民俗的というか、日本的エスニックな世界でした。
 
花粧山(かしょうやま)という美しい名を持つ山岳の
麓にあった祠の跡に小屋を建て
伊久男と日名子の老夫婦が暮らしています。
 
山に入ろうとする人を送り
また、山に入ることを思いとどまらせるために
もう何十年もそこに住んでいるのです。
 
その場所は、人の世と山との臨界点だったのです。
 
いったん山に入れば、二度と戻ってこれないくらい
深い山岳地帯だったのです。
 
山道で行き倒れて救けられた18歳の真帆子が聞き手となって
日名子は、遠い昔の天神事件という猟奇殺人事件の話を始めます。
老夫婦は生涯、その事件から逃れられないで生きてきたのです。
 
真帆子もまた、罪を犯して山に逃げ込んだ陽介と再会するために
自らも山に入ろうとしています。
 
陽介の行方は?
天神事件は真の意味で結末を迎えられるのか?
 
伊久男と日名子のの恋、
陽介と真帆子の恋。
どちらも激しく狂おしく、
読み終わると、けだるい疲労感を覚えました。
 
 
  (初版、2011年5月発行)
 
 
 
 
 

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だりや荘

「だりや荘」
井上荒野(著)
 
 
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職場の昼休みにちょこちょこ読んでいました。
 
大人のラヴストーリーです。
 
ドロドロした人間関係を描いているのに、何なのでしょう、この静謐は。
 
信州(たぶん)のペンションに独りのこされた椿のもとに
東京から妹(杏)夫婦が、共同経営するためにやってきます。
杏の夫、迅人は指圧師なので、ペンション経営をしながら自分の技術が生かせるだろうと。
 
美しく繊細な姉と、陽気で料理のうまい妹夫婦。。。
この3人の三角関係がテーマなのですが、
その暗い人間関係にも関わらず、姉妹は争うことをしません。
美味しい料理の香りが絶えないこのペンションに
残酷な裏切りが進行しているわけです。
 
姉と夫との恋愛に気付いているのに、それを口にするとすべてが壊れる気がして
杏はいっこうに夫や姉を責めようともしないのです。
 
この物語はその主人公たちの三角関係の外側に、いつくもの三角が介在していることが
特徴だと思います。
そしてそれはあくまで外側から観察されるものであって
本人たちがどのように感じ、嫉妬していたかについては、最後まで謎なのです。
 
そもそも姉妹の亡くなった両親は嫉妬の果ての無理心中だったらしいし、
ペンション内で杏を慕っているバイトの翼クン。
 
そして、椿の見合相手で、なかなか結婚まで発展しない新渡戸さん。
彼の最後にとった行動は、物語の本筋ではないのですが、それだけにかえって衝撃的でした。
 
そして、彼ら全員はどうなっていくのか?
 
人間心理の微妙な部分が、サスペンスを読んでいるかのようにどきどきさせてくれました。
 
ラストのラストまで、静かな語り口で描かれる大人の恋愛小説。
堪能させていただきました。
昔の原田康子ファンである私には堪りません。
 
 
(初版発行・2004年7月)
 
 

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