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だから荒野/桐野夏生(著)
遅読の私が、二日間で読めてしまうほどの「読ませる力」のある作品です。 このあたりが、書き手の筆力なんでしょうね。 新聞小説だったせいかもしれませんね。
どこにでもある家族。夫と息子二人は、自分のことしか考えていません。 夫は、どうしようもない勝手な男だし、息子は二人ともくそガキです。 専業主婦の主人公、朋美のことを、ただ便利屋のように扱い、 まったく気持ちを分かってくれようともしません。 彼らにとって専業主婦は、家財道具と同じなんですね。
ある誕生日の会食のとき、ブチ切れた朋美は、 もう二度と家族のもとには戻らない決心をして、 結婚前に好意を持っていた男性のいる長崎を目指して、 ひたすら車を運転します。 ロードムービーってありますけど、こういうのってロード小説っていうのでしょうか。
東京から長崎までの道のりで、朋美はさんざんな目に遭います。 自分の持っていた貯金を使い、日用品を買い、必死に高速道路を運転しますが、車を盗まれたり、変な男に売春婦と勘違いされたり。 でも、途中、親切な人に助けられたりして、なんとか長崎まで到着します。
一方、妻に逃げられた夫は、妻の行方より、失った車とゴルフバッグのことばかり心配する人柄。 息子二人も、母親のことなど気にもかけていない。 さて、主人公は第二の人生を始めることができるのでしょうか。。。
とまぁ、こんなあらすじなんですが、
家族と別れて再出発するなら、別に長崎なんかに行かなくてもいい気がします。 そんな貯金があるのなら、どこか便利なところにアパートでも借りて 職を探すことがまず先決なような。 そのあたりが、ただの「お話」というか、絵空事で終わっている気がします。 昔の彼氏に会いたい、って、20年も前のことでしょ。今さら来られても、相手だって迷惑だと思うんですが。なんだか、自分に酔っている感じがしますね。
途中でボケ老人が出てくるあたりから なんの話だったのか、わけがわからなくなります。 さすがに、ラストを書くのは控えておきますが、 同じような設定の作品では、桐野さんの『魂萌え!』のほうが、断然よく出来ていたと思いました。あれもプチ家出のお話しでしたよね。
たかが、家族。されど、家族。ってことでしょうか。
単行本: 424ページ 出版社: 毎日新聞社 (2013/10/8) 言語 日本語 ISBN-10: 4620107972 ISBN-13: 978-4620107974 発売日: 2013/10/8 定価:1680円
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読書(小説)
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詳細
コメント(4)
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祈りの幕が下りる時/東野圭吾(著)
悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが…。 (「BOOK」データベースより)
「体育の日」はミステリを読んで過ごしました
今は成功している女優でもあり舞台演出もしている
主人公の半生を遡るお話。
突っ込みどころのない緻密なストーリーです。
一見、脈絡のない3つの「死」が、捜査を進めていくにしたがって
遠い昔の、薄幸の父娘の物語へと収斂します。
お馴染みの刑事さんたちが登場するのですが、
これだけのプロットがあるのなら
なにもミステリにする必要はないのじゃないか、
と素朴に感じてしまいました。
ヒロインをもっと描きこんで、
普通の小説(ミステリじゃない)
にしたらどうでしょうかねぇ。。。
私は個人的には、作者の『手紙』や『殺人の門』
の頃のほうが好きなんですが。。。
でも、さすが、面白かったです。
単行本: 386ページ
出版社: 講談社 (2013/9/13)
言語 日本語
ISBN-10: 4062185369
ISBN-13: 978-4062185363
発売日: 2013/9/13
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ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか?それは本当に殺人だったのか?何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。だが―。日本と世界を震撼させた著者が紡ぐ、戦慄のミステリー! (「BOOKデータベース」より)
幻冬舎創立20周年特別描き下ろし作品
だそうです。
中村文則さんの作品は『土の中の子供』以来久しぶり。
すっかりミステリー作家っぽくなっていますね。
純文学から転向したんでしょうかね。。。
女性二人焼き殺したり、謎の人形師が出てきたり、
かなりドロドロなミステリーでしたわ
好き嫌いが分かれるかもしれませんね。
おまけに、章立てが複雑で
読者は見事に目を欺かれます。
女性二人の焼死ははたして
事故か、殺人か。
死んだのは誰なのか?
狂気の写真家と、ファムファタールな姉。
何重にも張られた伏線。
ストーリーが複雑なので、2度読み返しましたが
まだ、よく分かっていない私は
すみません、3度目読んでみます。。。
単行本: 192ページ
出版社: 幻冬舎 (2013/9/26)
言語 日本語
ISBN-10: 4344024575
ISBN-13: 978-4344024571
発売日: 2013/9/26
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<ネタバレ注意>
私は、amazonさんで予約注文して買ったのですが、
しばらくして書店の店頭に並んでいるものを見たら、すでに3刷でした。
特にハルキストでもない私さえ、出たものはすべて読んでいるのですから
人気なのは分かりますが、そこまで。。。とも思います。
前作『1Q84』のときあたりから、タイトルで目を引こうとしてますね〜
期待がそれほど大きければ大きいほど、
読後感に、微妙なものが残った人も多いのではないでしょうか。
前作に比べ、作風は沈静しています。
これを、停滞と見るのか、余裕と見るかは、読む人の好みでしょうね。
私のように、ジャズピアニスト緑川が出てくるあたりで、
思わず睡魔に襲われたのは、単に私の疲労のせいです、はい。
さて、
主人公、多崎つくるは、高校時代の親友4人から、ある日突然、絶交されます。
理由も明かされません。
この4人というのが、名前にそれぞれ色の名がついているので、
「アオ」「アカ」「シロ」「クロ」と呼び合っていました。
これって、中国の神話に出てくる「青龍」「朱雀」「白虎」「玄武」そのものですね。
彼らに絶交されたことが、心の傷となって、忘れようとするものの
30代になった現代もどこかしら引きずっています。
現在のガールフレンド沙羅との関係も、そのせいかうまくいかないこともあります。
沙羅はカウンセラーのごとく、根本的解決を迫ります。
その4人に会って真相をきくまで、肉体関係はお預けにされます。
沙羅は私立探偵のように、WEB検索を駆使して、
4人の現在の居所を突き止め、つくるに会ってくるように言います。
いくら年上の彼女とはいえ、ちょっとお節介ですよね。
つくるにとって、失った青春を取り戻すための巡礼に出かけるわけです。
彼らの証言によると、
つくるが好意を寄せていた「シロ」は、誰かにレイプされ、後にまた誰かに絞殺された、というのです。
でも、物語はそれぞれの真犯人について、まったく謎解きはしてくれません。
つくるが大学時代友達になった「灰田」という男子学生の行方に関しても
物語は、ふっつり切れています。
そして、灰田の話中に出てくる緑川の消息も。
これらの解釈について、話題騒然となるのは確実ですね。
あるブロ友さんの解釈を見ていると、沙羅は沙羅双樹のことで
沙羅双樹の花の色は白色なので、「シロ」の姉である、
と書かれてありました。私はこの洞察力に驚かされました。
では、私なりのヘボ解釈を。
それは、つくる真犯人説です。
つくるは実は多重人格者で、もう一人の彼が
シロをレイプし、後年一人暮らしをするシロを絞殺するのです。
だから絶交されたのは当然なのに、彼にはその記憶がありません。
確かに、沙羅はシロの生まれ変わりで、
つくるに復讐するために現れました。
つくる自身が目撃したように、沙羅は実は人妻です。
そして、灰田君を亡き者にしたのもつくる。
どうでしょう、この説? ダメ? やっぱり。
では、この小説後に起こる社会現象を予言してみます。
リストの「巡礼の年」がヒットする
高級車レクサスがバカ売れする。
フィンランド旅行が流行る。
さぁ、見ての楽しみです。
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感想文なかなか書けませんでした。
。。。。ので、3冊分一挙に書いてしまいました^^
まず、『何者』ですが、直木賞受賞作!なんて帯についつい目がいって
買ってしまったのですが、なんだかなぁ。。。
若者の就職活動がテーマでシューカツ用語がぼんぼん出てくる。
現実の世界とツイッターの世界か交錯していて、なんと斬新な!
読み終わって、まぁ目新しい作風であるのは確かなんですが、
ツイッターやってない人にはチンプンカンプンの内容です。
きっと最後にはオチがあるのだろうと期待して読みましたが、
そのオチすら私にはピンと来ませんでした。
直木賞の選評を是非読んでいたいものです。
そして、『ハピネス』ですね。
一口に言うと、ママ友のお話なんですよ。
お互い名前で呼ぶのではなく、「××ちゃんママ」って呼ぶのね、ああいう世界では。
きっと私には耐えられん、と思う世界でした。
でも、登場人物の洋服や持ち物に、細かいブランド名の表現があって、
女性雑誌に連載されていた作品らしく、オッシャレー!
さすが、桐野女史だけあって、安心して読めました。
ラストもグーです。
最後はご存じ角田さんの『ひそやかな花園』。
最初は何の話か分からなくてミステリアスな書き出し。
でも、中盤からテーマがはっきりしてきます。
(ここからネタバレ注意)
不妊治療で、夫以外の精子から体外受精して身ごもった女たち。
その子供たちが成長して、自分たちの生をどう捉えるか、
という、ちょっと重いデーマでした。
でもさすが、この重いテーマを暗くならずに爽やかな作品にまとめられていました。
ほかにも数冊読んだのですけど、
アップが追いつきません。あしからず〜
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