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産経新聞の【正論】に帝塚山大学名誉教授・伊原吉之助氏の“日本生存のための自助努力”という文章が掲載されていた。
以下は、伊原氏と私(うしどし)の架空の会話である。
伊原: 昨年12月27日付本紙の「緯度経度」で、「発展には軍事力が必要」と題して、中国総局の伊藤正記者が中共軍長老、遅浩田の「戦争が正にわれわれに向かってやってくる」という講演の論旨を紹介した。その後、ネットで遅浩田講演の邦訳が2種類流れた。私は北京語の原文を参照して邦訳に手を加え、「21世紀日亜協会」のホームページ「コラム」にある私の「読書室」に掲載した。
うしどし: 「21世紀日亜協会」? えらく大げさな名前だな。そんな協会のホームページなど見たことがない。
伊原: 伊藤記者が書いているように、2005年4月に中共中央軍事委員会拡大会議で行われた遅浩田講演は、その後日本にも伝わったが、荒唐無稽(むけい)と無視されて現在に至っている。それが昨年12月3日、『解放軍報』が遅浩田の回想記を掲載した後、シナ(中国)のネットにこの旧講演が流れ、削除されぬままなっているので、さては「公認」の論かと注目された。
うしどし: どこの国でもそうだと思うが、軍の長老というのは大言壮語したがるものだ。
伊原: その過激論とは−。シナはアヘン戦争以来、過去160年間、発展を列強から抑えられてきた。発展は反撃力なしにはあり得ない。だから毛沢東以来、われわれは営々と軍備を築いてきた。今やわが国は、台湾・南沙諸島・尖閣諸島の「3島」を奪取する道理も力も備えた。これを妨害する者(米国、日本)には反撃する。戦争は、われわれが欲せずとも向こうからやってくる。われわれは日本を殲滅(せんめつ)し、米国の背骨をへし折らぬと発展できない。過去20年の平和発展は例外的時期である。シナ脅威論が高まってきた現在、平和発展の時代は終わった。米日は今後、本気で中国の発展を抑えにかかるはずだから、中国は戦争に備えよ−。
うしどし: 「シナ」ね。それはともかくとして、この軍の長老が日本政府に対して発言したというのなら少々問題があるのだろうけれど、自国の軍事委員会での講演なんだろう? そんなもの田母神さんの発言と同じことさ。気にすることはないと思う。
伊原: 共産主義は、19世紀のロシアのニヒリズム・テロリズムの系譜に連なり、必要に応じてあらゆる縛りを無視して自分らの構想を実現しようとする。
うしどし: 共産主義じゃなくてロシア革命と表現した方がよさそうだ。
伊原: 人民は搾取の対象でしかないシナの伝統的人民観も受け継いでいる。かつてレーニンは「資本家は甘い。資本家をつるす縄でも喜んで売る」とあざ笑ったものだ。
うしどし: そうですかい。
伊原: 後の国防部長、彭徳懐も手の内を見せた。第二次大戦後、内戦が始まる前の上海で、苗剣秋(張学良の参謀・西安事変を演出)にこう語った。「例えば、このコップだが、君ら非共産人士は割らずに手に入れようとする。われわれ共産人士は、相手に渡るようなら、たたき割る覚悟で奪い合う。結局、コップは無傷でわれわれの手に入る。少なくとも、君らの手には絶対に入らない」
うしどし: 戦争になれば、共産主義者でなくても軍人はその程度の覚悟は持つのじゃないかな。
伊原: 聞くところによると、中共の軍人は接触する米国軍人に始終、「核戦争するか」と脅すらしい。自由民主国は核の恫喝(どうかつ)に弱いとなめているのである。
うしどし: 「聞くところによると…」か。
伊原: この種の話は前からあった。1995年10月、熊光楷副総参謀長が、訪中したチャス・フリーマン前国防次官補にいわく、「米国は台北よりロサンゼルスを心配しなさい」。2005年7月14日に国防大学高級幹部、朱成虎少将が香港の外国人記者団にいわく、「われわれは西安以東の全都市の破壊を覚悟しているが、米国も当然、西海岸の都市100か200かそれ以上を破壊される覚悟が要りますな」
うしどし: そりゃあ軍の幹部の立場とすれば、強がるしかないだろう。伊原さんはせっかく私などの素人が知らない話を持ち出したのだから、アメリカ側の軍人たちの発言も紹介してくれればよかったのに…。
伊原: 米国が中共軍人から核威嚇で脅されているのなら、核を持たぬ日本はもっと脅されているはずなのに、その緊張感すらも伝わってこないのは、日本は一人前と認められていないからか。
うしどし: アメリカが中国の核脅威に脅かされているとは知らなかった。
伊原: シナを「普通の国」と信ずる人が多いわが国では、中共政権が日本人皆殺しを本気で考えていると思う人が少ないが、いまのように無防備のままでいいのか。退役ながら軍部の指導的人物が「日本殲滅」を公言する国の隣国として、日本はどう対応すべきか。日本の周囲は核武装国ばかりである。米国、ロシア、シナに、北朝鮮もそうだ。
うしどし: 井原氏は、天が落ちてこないか心配で夜も眠れなくなった杞の住人のようだ。そんなこと心配していたら体に悪いぞ。
伊原: 米国がシナ軍人から核威嚇を受けているのなら、日本は米国を説得して核武装に踏み切るほかない。核抑止力は核保有あるのみだからだ。まず、米国から核を持ち込み、英国式に核発射ボタンを米国と共有する。そして自前の核を急開発する。核シェルターも各都市に造る。断乎日本を守るという意思表明が要るのだ。
うしどし: アメリカが日本の核武装を容認するとは思えないし、伊原氏の主張を実現するためには、どれだけのお金がかかるか具体的に数字を挙げてほしいなあ。自民党の幹部の言い草じゃないが、抽象的な言葉だけじゃ他人を説得することはできない。
伊原: もう一つは、シナの周辺国と友好を深めること。日米同盟を軸として、海洋アジア・内陸アジア・イスラム文化圏など。慈悲と美の文明を擁しつつ、それを侵す力を排除できる実力を備えることだ。自分で自分を守らぬ限り、亡(ほろ)ぶほかないのである。
うしどし: 日本が本格的に核武装すれば、アジア諸国との友好関係はかえって損なわれるような気がする。要するに中国を圧倒する軍事力を持てということだろうが、でもさあ、そのためにはどれだけの時間と費用が必要なの? 「大砲かバターか」と選択を迫られたら、私はバターを選ぶよ。「自分で自分を守らぬ限り、亡(ほろ)ぶほかないのである」というけれど、そんなことをいってた大日本帝国は滅んだじゃないか。
伊原: 古人いわく、「天ハ自ラ助クル者ヲ助ク」。日本政府は日本国の生存をどう考え、どんな対策を打ち出しているのか。マスメディアは、国民を代表してそれを国会議員と政府に問い質(ただ)して頂きたい。
うしどし: 「天ハ自ラ助クル者ヲ助ク」という言葉を引用するのなら、あなたもマスコミ任せにしないで、自ら国会議員や政府に問い質したらいい。日本の生存というが、そもそも守るべきものは何か。国家の面子? 国民の命?
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『中華人民共和国』国名からして
自分が中心だと考え、周辺国は属国だと思っている。
2009/3/12(木) 午後 1:09 [ ht8*40 ]
産経系の論者が言いそうなことですが、あまりにも聞きなれた論議なので、目新しさはないです。「共産主義」とか、議論が少なくとも半世紀は古いですね。中国が自分中心に考えてるって、どの国も大抵そうでしょ。それに、アメリカは中国に軍事協力すらしたがってますからね。しかし、60年前にあれほど酷いめにあって、軍拡というものの持つ恐ろしさを十分味わったはずの日本ですが、もう忘れちゃったみたいですね(^_^;)。こういう人達は、本当に怖くてしょうがないんでしょうけれど、あたふたせずに、もっとどしっと構えてればよいのに。私なんか、自民党政権が一番、中国に媚売ってるように見えますけどね。
2009/3/12(木) 午後 7:16
ht8*40さんへ…そうですね。中国は昔から自国が世界の中心だと考えてきましたね。そして太古の日本は中国の柵封体制の中で天子から倭国王の称号を貰いたくて朝貢していたこともありましたねえ。
2009/3/13(金) 午後 1:01
NANAMIさんへ…「共産主義」や「社会主義」に対する批判というのは、旧ソ連や中国、北朝鮮などのいわゆる社会主義国と呼ばれる独裁国家に対する批判でしょう? 後進国の一国社会主義のどこが社会主義なんでしょう? まあそれはともかくとして、軍拡を唱える人たちは、要するに強大な軍事力を背景にしなければ、国を守れず、何も主張できないという発想でしょう? 殴り合いの強いものが一番えらいと思っているクラスの悪ガキとたいして変わらないと思います。それってお山の大将みたいでどこか危なっかしい気がします。
2009/3/13(金) 午後 3:18
後進国の一国社会主義のどこが社会主義なんでしょう?・・・同感ですw。
というか、政治や軍事を云々する場合、人間の本性がどこか無視されてる気がしてなりません。右であろうが左であろうが。なんだかカルト教団と変わりないような。。
日本って、自民独裁・・みたいな〜w。
「恫喝」なんて、外交ともなればあるのが当たり前なんじゃあ?人間二人よれば、かけひきや恫喝、ざらにありまっせ。うちの親族の共産主義者と右翼主義者は常にこれらの応酬でした。そして人生の大半をそれに始終して死んで行きました。政治もへったくれもない、単なるお金を巡る闘い・・でしたw。
2009/3/25(水) 午後 0:37
marieさんへ…親族に共産主義者と右翼主義者ですか? なかなかおもしろい一族ですね。人生の大半をイデオロギーや闘いのために消費するなんて私にはとても真似ができません。
2009/3/26(木) 午前 1:11
>殴り合いの強いものが一番えらいと思っているクラスの悪ガキとたいして変わらないと思います。それってお山の大将みたいでどこか危なっかしい気がします。
同感ですな。
でも、こんなおやまの大将みたいなガキっぽい床屋談義が好きな者が沢山居るのも事実。
なんとかせねばいけませんね。
2009/3/30(月) 午前 10:59 [ - ]
たんぽぽさんへ…なんだか近ごろの日本は、嫌な方向に動きつつあるような気がします。そのうちに、敵対する国への先制攻撃論や核武装論などがまかり通り、非戦を述べることがはばかられるようになったりして。
2009/4/7(火) 午前 5:19