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先生が、授業の前に学生の出欠を確認した。 |
文学
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自転車に乗っている人がいる. タバコを吸いながら乗っている. 自転車のカゴには重そうな荷物が積まれている.
自転車をこぐ人の足取りは,いかにも重そうだ. 足に力を入れて重いペダルを踏み込むたびに, 白いタバコの煙がモウモウと吐き出される. |
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空襲警報が鳴り, 空から焼夷弾が落ちてきた. 防空壕へ向かう途中,友達の家の前を通った. 彼らもまた,逃げようとしている最中だった. ぼくがその友達の姿を目にするのは,これが最後となる. 空襲の後,焼け残った家に戻り, ふと友達のことが気になって様子を見に行ってみると, 彼の家には誰もおらず, いくら待っても戻って来なかった. 次の日も,ぼくは一人で彼の家に行き, 誰もいない部屋に上がりこんだ. 壁に時計が掛かっていた. この家の中で,動きがあるものと言えばそれだけだった. ぼくは,その時計の動きを眺めながら, 友達がきっとどこかで生きていてくれることを願った. 時計は,ネジを巻く人がいないので, 何日かすると止まって動かなくなってしまった. ぼくが友達の帰りを諦めて,その死を悟ったのは, 冷たく固まった時計の針を見たときだった. それ以来,ぼくは彼の家にいったことがない. 早乙女勝元 「一夜明けて,焼け残っていたガンちゃんの家を訪ねたんです.ガンちゃんいるかなと思って,開けて中を見ますと,誰もいない.時計だけ動いているんですよね.毎朝毎朝,おじさんがネジで時計を巻くのをいつも僕は見ていたんです.当時の時計はみんなそうなんです,手巻きなんですよ.それが一日目.二日目にまたガンちゃんいるかなと思って行ってみると,また無人の家でした.時計だけが動いている.それはとっても気味悪かったですね.時計はちゃんと動いているけども,二日目になると,見てる前で止まっていくんですね.ひとつひとつ.」 『あの日 昭和20年の記憶』 NHK「あの日 昭和20年の記憶」取材班/編 NHK出版 |
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この小説の主人公は, 町にやって来たサーカスを見たくて仕方がない少年だった. 少年は貧乏な家の子供のため,入場チケットが買えなった. 一人の親切な青年が,そんな少年に良い事を教えてくれた. サーカスのテント小屋に こっそり忍び込む方法を教えてくれたその青年は, サーカスの団員だった. 少年は,その青年のおかげでテント小屋に忍び込み, サーカスを見ることができた. 青年は,バイクの曲芸を売りものにしているサーカス団員だった. 少年の見ている前で,青年がバイクに乗り, 次々と危ない技を披露して行った. 青年が事故を起こし,転倒したのも,少年が見ている前だった. 青年は,恐らく,帰らぬ人になってしまった. 少年は,事故を目撃したあと,夢を見た. 在日朝鮮人である青年が, バイクに乗って,祖国に帰ろうとしている夢だった. 現実の世界では決して帰ることのできぬ祖国も, 夢の中でなら,帰ることができた. 青年は,少年の夢のおかげで,祖国に帰ることができた. 正規の方法では少年がテント小屋に入ることはできないし,
青年が祖国に帰ることもできない. 彼らは互いに助け合って,それぞれの夢を実現させたのだと言える. |
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少年は,あるとき猫の鳴き声を耳にする. その声の正体は,実は近所の女の子だった. 女の子が,猫の鳴きマネをして遊んでいただけなのだった. 少年は,その女の子と遊びに出かける.
帰り道の途中,しばしば自殺の現場となる踏み切りで, 少年は,ヒトダマを目撃する. その正体は,実はロウソクの灯りなのだった. ロウソクを持って暗い道を歩く人の灯りが, 少年にはヒトダマに見えたのだ. 女の子の鳴きマネを本物の猫の声と勘違いした少年は, ロウソクの灯りをもまた, ヒトダマかと勘違いしてしまったのだった. この物語を成り立たせているのは「勘違い」の構図. 物語のメインテーマとなる「ヒトダマ」のエピソードに, 「猫の鳴きマネ」のエピソードを重ね合わせることによって 作者は,この構図を明確に浮かび上がらせて見せた. |



