丑の戯言 栗田英二

体調不良につき、プロク゜投稿も途絶えがち

映画

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 かつてバート・ランカスターというハリウッド・スターが居た。

 15年前に81歳で病没しているので、もはや遠い過去の俳優かもしれない。

 でも、いつまでも忘れられないし、その熱い体温をまだ感じさせるほどだ。


 その男優が主演した『ワイルド・アパッチ』(原題 Ulzanas Raid)を初めて鑑賞した。

 60歳になろうとしていた1972年に作られた西部劇で、
 老いてなお健在。

 物語は、要するに騎兵隊とアパッチ族の死闘が中心で、
 バート・ランカスターは兵を率いる民間の強者という設定。

 しかし、ラストシーンでは、アパッチの首長もランカスターも息絶える。

 遅めに製作された西部劇でもあるためか、
 インディアンの描き方にも哀愁が滲み出ているようである。

 いずれは原住民の世界が白人に凌駕されるという伏線も感じられるが。

 監督はロバート・アルドリッチだが、ぼくは予備知識がない。


 ここでのランカスターは汚れ役のようで、
 かつての颯爽とした西部劇俳優とは趣を異にする。

 かつてというのは、
 『ベラクルス』(1954年)、『OK牧場の決闘』(1957年)で代表される西部劇で、
 圧倒的な存在感をみせていた。

 黒づくめの衣装だったり、素早い身のこなしだったり、ニヒルな笑いぶりなどで、
 観客に強烈な印象を植え付けたはずだ。

 その前に演じた『地上より永遠に』(1953年)では、米兵の親玉のような役で、
 これまた印象深い。

 ハワイの浜辺でのデボラ・カーとの熱烈なラブシーンは、
 映画史上にも残るとか。

 末期に近いころに撮られた『フィールド・オブ・ドリーム』(1990年)では、
 謎めいた老人役で出ていたけれど、
 画面に現れると、老いてなお大きな存在感を示したものだ。

 もっと遡ろう。

 ぼくがこの俳優を初めてスクリーンで目にしたのは、サーカスの役者だった。

 それが『空中ブランコ』かどうか明確には憶えていないが、
 見事な体格から醸し出す格好良さには驚嘆したものだ。


 そんなわけで、バート・ランカスターはぼくの郷愁のなかで生き続けるとともに、
 同類が二度と出てこないであろうハリウッド・スターと思えてならない。


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