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邦画『雨あがる』をテレビで放映していたので、
またもじっくりと鑑賞してしまった。
初公開の9年前には劇場で、数年前にはビデオでそれぞれ観たから、
これで3度目となるが、何度鑑賞しても魅了されてしまう。
これは山本周五郎の原作をベースに故黒澤明が脚本を作り
映画化に向けて具体化したもの。
それを黒澤監督のもとで長い間、助監督を務めた小泉尭士が引き継ぎ、
映画化した作品だ。
初公開は9年ほど前に遡る。
ベネチア国際映画祭と日本アカデミー賞で高い評価を受けたが、
それはそうとしてぼくが惹きつけられてやまないのは、
まず映像の美しさだ。
その後の小泉監督の諸作品でも同じだが、
日本的な風景を実に美しく映像化しているのに感激する。
『雨あがる』は時代劇なので、その美しさがいっそう引き立っている。
最初の画面に表れる大河や雨降りの模様がいいし、
木賃宿のようなぽろ家の周囲の森もいい。
最後に出てくる山道と山の頂で見はるかす青空や山々も、
梅雨明けの雨上がりを表していて美しい。
上記の大河は大井川、山の頂から望むのは南伊豆の景色のようである。
主演の寺尾聡はいつも名演技を魅せてくれるが、ここでは剣術の名手。
だが、指南番などのお抱えとはならず、飄々と生きていく姿は魅了される。
彼を支える妻の役が宮崎美子で、気の強さをチラリと出すなど好演。
日本の理想的な妻を演じるには、うってつけだ。
剣の名人に惚れ込む城主は、三船史郎で、父親そっくりのところもあり、
観ていて楽しいし、
そのほか脇訳がしっかりと固めている。
それと原作の良さもあってか、ペーソスが漂っているのも、
この映画の特徴といえるだろう。
小泉監督の手にかかると、それがやんわりと表される。
そんなこんなでこの一作は、充分に楽しませてくれる。
邦画としての優れた点が凝縮されているようにも感じられる。
思えば、小泉監督は寡作のほうで、処女作の『雨あがる』以後に制作したのは、
『阿弥陀堂だより』、『博士の愛した数式』『明日への遺言』ぐらいか。
どれも秀逸な作品で、その長所は『雨あがる』に共通するところがある。
それは人間愛と風景描写であり、
さらに物語展開にも惹きつけられてやまない。
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この作品、何度か見ましたよ!
ほんとに爽やかな作品でしたね。
2009/10/21(水) 午後 7:16 [ ひょうたん島 ]
ひょうたん島さん 同調してくれる人がいて嬉しいです。
ああいう邦画を観て、まだまだわが国では詩的な映画が出てくる土壌があると思っていますよ。
2009/10/21(水) 午後 11:22 [ eiji ]
う〜ん、この作品は知らないですが、
記事を拝見していると見たくなりますね〜。
時代劇もたまにはいいな〜♪
2009/10/22(木) 午後 1:03
「雨あがる」は一度しか観ていませんが、主人公夫婦の静謐な生き方が心に染み渡るいい映画でしたね。
たしか黒澤明監督が京都の旅館でこのシナリオを執筆中、階段から落ちて怪我をしため自ら撮ることが出来なくなり、黒澤監督が亡くなってからその意志を継いで小泉監督が撮ったのではなかったでしょうか。
小泉監督の演出する映画はいずれも静けさに満ちていて、大好きです。「阿弥陀堂だより」と「博士の愛した数式」は2回ずつ観ましたが、人と自然が渾然一体で描かれていて気持ちがとても落ち着きます。
ところで最近顔アイコンが動かなくなりましたが、どうしたのでしょうかね。ヤフーブログの会社の方、何とかして!
知恵熱おやじ
2009/10/22(木) 午後 4:26 [ asa*ka* ]
OUT DOORさん 同感です。「時代劇もたまには……」は、小生も同じですよ。
血なまぐさい闘いを「これでもか」とばかりに映し出すのは、目をそらしてしまうほどですが、小泉監督の映画作法にはそれがありません。闘いを演じさせても血なまぐささがないし、ときには滑稽だったり……。
2009/10/23(金) 午前 10:13 [ eiji ]
知恵熱おやじさん 「一度しか観ていない」の一言に味わいがありますね。『阿弥陀堂……』と『博士の愛した……』は二度ご覧になつているようなので、それにかけたようですが。
書き洩らしましたが、黒澤監督が何度も起用したのが三船敏郎でしたが、その遺志を継いでか、小泉監督はその子息を『雨あがる』の重要な役に立てたのには、なんとなく恩義を感じませんか?
それと私的には大昔、三船父子をよく見かけてものでした。港区青山の停留所から都電で高校に通っていた頃、父親が運転するМGの助手席に可愛らしい息子が同乗していたのです。学習院への通学で父の運転する自家用車に乗せてもらっていたのでしょう。
そんなこともあり、三船敏郎と史郎の親子には親近感を覚えていたものです。
なお、ご指摘の顔アイコンは、当方で見る限り目玉をキョロキョロさせてますが。
2009/10/23(金) 午前 10:30 [ eiji ]
へー、あの三船敏郎さんが息子を学校へ送っていたとは。当たり前かもしれませんが、家ではいいお父さんをやっていたんですね。
めったに聞けないことを教えられ得した気分です。
顔アイコン、丑さんの画面では動くのですか。
いろいろ試してみましたが、今回もやはり私のモニター画面では動きません。我がパソコンがどこかおかしくなっているのかもしれません。
知恵熱おやじ
2009/10/24(土) 午前 4:50 [ asa*ka* ]