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この島旅、瓢箪から駒だった。 平成10年、仕事で鹿児島へ行ったのが幸運を呼んだのだ。 全日空機で帰宅して何日か後、この航空会社から封書が送られてきた。 首をひねって開けてみたら、無料航空券が入っているではないか! それも国内線ではなく、国際線で東南アジアならどこへでも行ける。 多分、抽選にでも当たったのだろう。 ならばと貧乏根性が目覚め、出来るだけ遠方に行こうと考えた。 ちょっと前、知人がインドネシア領バタム島へ旅したのを思い出した。 「面白い島だったよ」とも聞き、うらやましくも感じた。 それで初めてバタムという島の名を知ったわけだ。 「よしっ、その名もない島へ行ってみよう」と結論し、 早速、全日空にシンガポール行き往復券を出してもらったのだ。 バタム島へ渡るには、シンガポールを経由しなければならないから。 出発したのは、11月下旬のうすら寒い日。 成田空港からシンガポールへは、かなり時間がかかる。 この区間の飛行、4度目になるが、遊びに行くのは初めてだ。 やっとシンガポールに着いたときは、夜も更けていた。 でも、常夏なので、熱風が心地よく感じられる。 そして、明朝に備え、港に近いホテルに入る。 翌朝、近くの「タナメラ・ターミナル」という船着き場へ。 高速艇や遊覧船が待機しており、そこからバタム島へ渡るのだ。 30分ほどで高速艇はバタム島の「ノングサ・ターミナル」に到着。 「タナメラ」と言い、「ノングサ」と言い、 いかにも東南アジアらしい名称が心を揺さぶる。 で、その埠頭からタクシーでひとっ走りしてホテルへ。 そこは「ツーリ・リゾートビーチ」と言い、これまた南方風の呼び名。 その敷地内に入ってまた、心が躍った。 大きな本館も、その周辺に建つコテージ群も、これまた南国風。 そのコテージの一棟がぼくの根城となる。 ひと休みしたら、もう夕暮れが迫っていたので、 とことこ歩いて数分、本館裏の大きな食堂へ。 嬉しいことに大食堂全体が吹き抜けになっていて開放的。 外気をたっぷり吸収しながら食べたり飲んだりは、ぼく好みだ。 ところが、メニューを見ると、何が何だかさっぱり分からない。 インドネシア料理なんぞ食べたことがないし、文字も読めない。 それでも、何やら肉の串焼きみたいなのを注文。 辺りの雰囲気が良かったせいか、ビールに合ったせいか、 独り黙々として美味しくいただけた。 このホテルには5泊の予定だ。 さて、第一夜が明けたら、何をしたらいいか、ハタと困った。 まずは本館のロビーへ行き、島の地図でももらおう。 すると、ボーイさんが近寄ってきて「ナゴヤへ行きなさい」と勧める。 名古屋だか、なんだか分からず、ポカンとしていると、 彼はたちまちタクシーを呼んだ。 「乗っていけ」というわけで、拒むほどでもないので、素直に乗車。 そうたしら、若いドライバーが飛ばすこと飛ばすこと。 島内の田舎道だから、行き交うクルマもない。 そのうち、無口なドライバー、口を開き何やら勧めている。 英語もろくに話せない彼とでは、会話が成り立つわけがない。 それでも、彼の主張に耳を傾けると、要は「オンナを世話しよう」と。 ぼくは強い口調で拒否すると、やがて彼はあきらめたらしい。 こうして「ナゴヤ・タウン」なる島の中心街に着く。 ほこりっぽくて古そうな建物が密集する街で、直感的に用事のない場所。 それでも、仕方なくクルマから降り、小さな商店を見て歩く。 買い物をしたのは、オタールというフランス製コニャックだけ。 日本で買うよりも、ずっと安かったから。 後はすることがなく、待たせていたタクシーに乗り、今来た道を引き返す。 このボロタクシー、やけっぱちのように飛ばすこと飛ばすこと。 ホテルに帰ったのは、夕食にはまだ早めだが、前夜と同じ大食堂へ。 こんどはイカのリング揚げみたいな一品を頼むと、大皿に盛った量が多い。 こんなにたくさん、同じ物を食べられるもんか。 ただ、ちょっとした慰めは、一人のウェイトレスがぼくのことを憶えていて、 やたらに愛想が良いこと。 インドネシア娘らしく色黒で小柄なところが、いかにも可愛らしい。
(つづく) |
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いやいや旅慣れた丑さんならではの幸運、幕開けからワクワクする島旅になりそう。
全日空○○人目の乗客だったんでしょうか、それもこれもよく乗るからで、日ごろの旅の集大成がよい結果をもたらしたのでしょう。
バタム島、ナゴヤ・タウン、よくわからない場所だけに次回が興味深々。待ってま〜す。
2011/7/11(月) 午前 1:58 [ tadaox ]
TADAOXさん いやいや、くじ引きに当たるなんてことは、滅多にありませんよ。あれはまぐれ当たりだったに違いないです。
それとは別に付け加えますが、この僥倖に勢いがつき、バタム島へは珍しくカメラを新調して行ったんです。
おかげでこの島旅シリーズでは珍しく自己撮影の画像を挿入できたわけです。
ただし、「次回」も独り旅ゆえパッとした話はありませんが……。
2011/7/11(月) 午後 11:13 [ eiji ]