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久々に開高健のエッセー集を読み出したら止まらない。
まず、その本の題名が著者に似ていて興味を惹かれた。
もちろん、氏の該博な知識と語り口の鋭さに魅せられたからでもある。
言うまでもなく同氏は故人で、他界したのは平成元年、享年58歳。
あれから24年を経ているが、上記の文庫本の初版は昭和54年だ。
以来、重版を続け、ぼくが入手したのは今年4月発行分は47刷。
その息の長さには、まず驚く。
初版の年月から遡っても、かなり以前に書かれたわけだが、断然、面白い。
とりわけこの作家は、世界中を股にかけて旅してきたので、
いろんな国での体験談に惹きつけられる。
あえて挙げると、食と酒に関する話題が面白いし、学ばせられる。
さらに、釣については趣味どころではない。
冒険的な体験談とともに、巨魚の釣り方も伝授してくれるようだ。
随所に実名で同業文士たちを描いているのも、興味深い。
名前を挙げたらきりがないが、いかに大物作家であろうが、
面白く、しかも的確に特徴を表しているようである。
それはそうとして最も気を惹いたのは、逝去前の体験談だ。
始まりは「男も卵を生むことがある」というタイトルから始まる話。
猛烈に疼痛を起こし、入院する事態になるが、長年の飲酒癖で大きな結石が出来ている。
当然、外科手術を受けることになり、採り出された石は大きく、
担当の外国人ドクターが「男ガ卵ヲ生ムノハ珍シイデス」とおっしゃったとか。
とにかく、この作家はよっぽどの大酒飲みだったので、随所にその異常な体験談が散りばめられている。
よくぞ体が保つものと感嘆するわけだが、やはり飲酒が原因で短い生涯を終えたのだった。
その実話を読んでいると、身につまされる思いがあるが、才能豊かな御仁だけに惜しまれる。
そういえば、同氏の終の棲家は湘南の茅ヶ崎にあり、
主亡き後、「開高健記念館」として一般に開放されている。
ぼくは比較的近くに住みながらまだ行っていないが、そのうちお邪魔したい。
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