|
滅多に時代物の小説を読まないが、『夢喰屋 仕込み剣』は読み出したら止まらなかった。
そもそも主人公の人物設定が極めて奇抜だからだろう。
この人物は表題にある夢喰屋の馬九(ばく)という名の剣使い。
つまり、夢を喰うという想像上の獣をもじっているのだろう。
とりわけ馬九は人の悪夢を食べてしまうという異能り持ち主だ。
幟(のぼり)を担いで江戸の町内に出没し、悪夢に苛まれている人を見ると、
それを取り除くことを生業としている。
ただし、その幟の竹竿に刀剣が仕込まれており、その剣による正義の一閃で、
悪者どもを征伐してしまうのだ。
異色なのは、それだけではない。
背丈は高く、容貌は彫りが深くて、髪の毛が胡桃色でもある。
つまり、両親のどちらかが西洋人であり、その混血児なのだ。
そんな浪人まがいの男がさまざまな事件に巻き込まれていくわけだが、
それをここで説明するのは難しい。
要は、正義の味方と言えば良いだろうか。
用心棒としての働きも見事なら、人間臭い温情も垣間見られる。
時として北町奉行として名高い遠山金四郎が登場し、興味をそそられる。
ともあれ、あの当時の世間や世情が身近に感じられる物語展開である。
さらに、江戸の町々の雰囲気がリアルに伝わってくるところだ。
現今で言えば、下町に属するような地区が正確に再現されているように感じる。
一本木凱という作者の、ただならない知識と筆力に感嘆するところだ。
因みに同氏は宮崎県の出身で、九州地区の大衆文学賞や笹沢佐保賞などを受けているが、
本書が書き下ろし時代小説のデビュー作となっている。
版元は廣済堂出版で、廣済堂文庫の一巻。
|
設定自体に含まれているそんなサスペンスも、読むものをひきつけます。
まだ無名のこの新人作家をいち早くブログで取り上げた丑さんの眼力に拍手を送ります。
知恵熱おやじ
2013/1/26(土) 午後 6:30 [ asa*ka* ]
それに感心はしても、いざ読後感を書こうとすると容易くなく、いったんは諦めたほどです。
でも、紹介してくれた人にもと思い、荒削りな紹介文になってしまいました。
次作が単行本となったら、また読みたいと望んでおります。 (丑の戯言)
2013/1/27(日) 午後 4:19 [ eiji ]
はじめまして〜
きゃゃゃゃゃうれしくなっちゃって。。コメントしちゃいます。
一本木先生のファンで〜す。「珠玉」でーす。なんちゃって
いや〜コメントに感動です。
佐賀県文学賞の作品もおもしろいです。立川文学賞(佳作)もおもしろいです。
またきま〜す。
2013/1/28(月) 午前 10:40 [ ゆみよよ ]
ゆみよよさん
ほーっ、素敵なお客さんにお出でいただきました。ありがとさんです。
一本木 凱さんのご本をかねてから愛読しておられたファンがいらしゃったとは、当方としても感無量です。
その点では小生、未だ無知ですが、次なる力作の出版も予定されておられるようなので、見逃さずに愛読させていただくつもりです。 (丑の戯言)
2013/1/28(月) 午後 6:59 [ eiji ]