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先日、蕎麦の名店『神田藪蕎麦』(かんだやぶそば)が全焼してしまった。 あれから数日間、ぼくはその焼失を惜しむとともに、いろんな想いが蘇ってならなかった。 新聞報道によると、同店は明治13年、つまり130年ほど前の創業で、 このほど漏電によって失われた店舗は、関東大震災後の大正12年に建てられたそうだ。 東京都の歴史的建造物に指定されてもいる。 無論、古式豊かな純木造建築で、建て面積はかなり広いようだ。 それはともかくとしてぼくの私的な思い出は、この名店のすぐ近くで暮らしていた頃に遡る。 30歳代になったばかりの頃だ。 神田川の畔にある都営アパートが当時の住まいで、その10階の我が部屋から藪蕎麦を見下ろせた。 ちょうど川向かいにこの店が建っていたのだ。 そんな至近距離にあることと蕎麦好きが手伝って、そこへしばしば行くようになった。 なんたって「これぞ本物の蕎麦だ」と感じたからでもある。 板塀に囲まれた純和風建築で、一歩入ると時代が逆行するような錯覚に陥る。 玄関を入ると、低い卓と椅子が並んだ食堂(?)が拡がっているのも心地良い。 注文するのは、決まって「ざる蕎麦」で、たいがいお銚子も一本。 蕎麦そのものは、ほっそりしていながら、コシが強く、上品な香りも。 燗酒と良く調和するのも、そのためだろう。 そうそう、店内の賄いさんたちの澄んだ掛け声も忘れられない。 思い返すと、日本蕎麦に病みつきになったのは、この蕎麦屋が始まりだ。 あの当時は、独身だったこともあり、藪蕎麦へ行くのは帰宅後の夜か、休日の昼間だった。 会社勤めの疲れを癒すのに、恰好の店と言えただろう。 あれから40年以上経つが、今でも時折、あの店に行きたいと思う。 先日の不幸な火災で、しばらく休業せざるを得ないだろうが、数ヵ月後に再開するそうなので、
そのときこそ遠路はるばる再訪しようと考えている。 |
飲食
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丑さんの蕎麦好きは、神田やぶ蕎麦からはじまっていたんですねえ。

道理で筋金入りという感じがしていましたよ。
それはそれとして、今回の火事でこの店のことがよくわかりました。
その中でも、帳場の女将さんの長く引っ張る声を聴けたのは収穫でした。(こんなときに申し訳ないですが・・・・)
まあ、半年後には再開するそうで、常連さんに限らず皆さん喜んでいるようですねえ。
2013/2/25(月) 午後 9:19 [ tadaox ]
ともかく神田藪蕎麦が懐かしくてなりませんでしたので、こんな拙いブログにしてしまいました。
あの、なんともいえない蕎麦の香りが鼻先にまだ残っているような気がします。
それにしましても、拙ブログの「飲食」欄には蕎麦の話がたびたび出てきますね。
少しお恥ずかしい次第ですが、決して「筋金入り」なんてものではありませんよ。
ともあれ、コメントありがとうございます。
2013/2/26(火) 午前 11:26 [ eiji ]