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月に一度か二度、昼食を摂りに行く店がある。 自宅から近くの国道沿いにある「小田そば」という蕎麦屋だ。 店に入るや女主人が「いつものですね」と声をかけてくれるのが嬉しい。 献立なんぞ見なくても、注文する品が決まっているのを覚えているのだ。 ぼくが「コクン」とうなずくと、ややもして運ばれてくるのが「かき揚げ天せいろ」。 この店でこれ以外の品を注文したことがないので、「いつもの……」というわけ。 ところで、この店が気に入ったのは、店舗の構えが気に入ったからだ。 純木造建築の和風で、飛騨地方でよく見られる合掌造りが心を惹く。 いかにも和風蕎麦を売り物にしていることが分かるし、主の好みが現れている。 一階だけでなく、二階も和風造りで、落ち着けるのも良い。
ここに入ると、なぜ決まって「かき揚げ天せいろ」を注文するのか?
野菜や魚介類を交えて、カラリと揚げられた天麩羅が何といっても魅力だ。 それをつつきながら、蕎麦を口に放り込むと、えもいわれぬ調和を感じる。 この取り合わせが、なんといっても好物なのだ。 自分の自炊暮らしのなかで、揚げ物をなかなか作れないのも天麩羅を求める所以だろう。 また、今のような暑い時季ではなく、寒い頃にになると、イッパイやりたくなる。 そのときは迷わずに「お銚子、一本!」を注文する。 熱燗のお酒と、かき揚げがなんとも美味しく調和するのが気分良い。 夕暮れ後にこの店に入ったことはないが、足が向いたとすれば、 お銚子一本では済まされず、杯を重ねることだろう。 そんな日があってもいいような気がする昨今だ。
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