丑の戯言 栗田英二

体調不良につき、プロク゜投稿も途絶えがち

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 ある雑誌で『昭和の特別な一日』という単行本の広告を見て、心がぐらりと傾いた。

 その広告の謳い文句に「オリンピックがやって来た、あの頃のこと」とあり、
 それに強く刺激されたからでもある。

 さっそく書店に行き探し当てたら、中身を吟味するまでもなく買い求めた。

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 著者は読売新聞の記者を経た杉山隆男という作家で、出版は新潮社。

 本文は四章から構成されており、第一章が「上空一万五千フィートの東京五輪」だ。

 ぼくはまず、この文言に魅かれたのだ。

 
 昭和三十九年十月十日、東京オリンピックが開催されたわけで、
 そこに至るまでの話は、メーンスタジアムの上空を旋回し、 開催を祝う航空自衛隊によるアクロバット飛行の裏話。

 その本番に到るまでの隊長や隊員の努力や不安などが手に取るように分かる。

 そして、開催日当日の朝、五機の自衛隊機が五輪のマークを見事に描いたのだ。

 本文を読んだだけで、実際に見たわけではないが、そのアクロバット的なショーが
 いかに劇的だったかを目のあたりにするようだった。

 それを成功させた自衛隊員や関係者の苦労話が綿密に描かれている。

 あの年、オリンピックが東京で開催されたのは、太平洋戦争の終結から二十年近くを経たばかり。

 日本はまだ敗戦の傷を引きずり、東京を主に各地はなおも荒廃していた。
 そんな時代に世界中の関心の的となった東京オリンピックが催されたわけだ。

 ただし、ぼく自身はこの会期中、日本を離れていたので、その模様は想像するしかなかった。
 「欧州経済調査団」なる団体に加わり、欧州各地を巡っていたのだ。

 三週間のこの団体旅行を終え帰国したとき、オリンピックは終わっていたというわけ。
 
 それだけに後日、東京五輪に関する映像や記事などに魅かれるのだった。


 さて、同書の第一章は「東京五輪」に関してだが、第二章は「さらば、銀座の都電」、
 「第三章は「日本橋には空がない」、第四章は「(中野に)ブロードウェーがやって来た」だ。

 いずれも往時の東京にまつわる実話で、いずれも綿密な取材と語り口で引きずり込まれた。

 とりわけ、東京の街々を走っていた都電が消えてから何年も経つが、
 そこに至るまでの都交通局関係者の実話には、身をつまされる。

 東京の中心を成す日本橋という橋の上には、高速道路が敷かれ、
 その辺の様相を一変させてしまったが、そこにもいろんな物語があったのだ。

 高速道路で視界が塞がれただけでなく、魚河岸が日本橋から築地に移されたのにも、
 哀愁漂う諸々の実話があったそうである。

 さらに、庶民的な住宅街であった中野やその近辺が家鳴り震動したのがブロードウェーセンターで、
 その辺りの経緯などが詳しく綴られている。

 そして、一貫しているのは、どんな異変や出来事にもさまざまな人物が絡まり、
 それらが綿密かつ劇的に描き出されていることだ。

 同時に、この東京という大都会が僅か数十年前からみると、
 いかに大きな変化をもたらしてきたかが再認識させられる。


 作者の杉山隆男は神保町の生まれ育ちの生っ粋の江戸っ子だけに、
 東京に関する叙述は詳細を極めるのと同時に、哀愁を漂わせている。

 それも同書に引きずり込ませる要因でもある。

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