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この黒い腕時計を50数年、愛用している。
つまり、初めて所有したのは、会社勤めをしたはがりの頃だった。
その頃、上司が初の海外出張として欧州各地に赴いた。
そして、当時の海外出張者としてはご他聞に洩れず、みやげ物を買い込んで帰ってきた。
そのひとつがオメガ製の腕時計で、目的は夫人を喜ばせるためだった。
ところが、夫人に差し出したところ、「こんな男っぽいのは、いやよ」と拒まれたという。
それでがっかりした上司は、思いを巡らせたのだろう。
その結果、「部下にやっちゃおう」となり、ぼくに回ってきた。
通常、オメガでなくとも、この種の防水時計、つまり潜水用の腕時計は、
男ものであれば、もっと大きい。
だけど、ぼくの細腕であれば、この婦人用でも違和感がない。
かくして実に長期間、この腕時計を愛用しているわけ。
そして、今さらながら驚嘆するのは、50数年、まったく故障せず、動き続けていることだ。
ただし、自動巻きではないので、毎日、ネジを巻かないと止まってしまう。
それが難といえば言えるけれど、黙々と動き続けるのは、さすがである。
むろん、海で泳ごうが、風呂に入ろうが、付けっぱなしでも支障はない。
オーバーホールに出したこともない。
難といえば、ネジを巻かずに放っておくと、一日もせずに止まってしまうことだ。
それが面倒といえばいえるが、まあ、許容範囲だ。
そんな腕時計が自分より長生きするするのかと思うのは、脅威でもある。
(なお、当の腕時計をカメラに収めたところ、パソコンの機嫌が悪く、ここに載せられず)
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