丑の戯言 栗田英二

体調不良につき、プロク゜投稿も途絶えがち

飲食

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 夕刻、湘南は片瀬西浜にあるイタリア式レストラン「イル・キャンティ・ビーチェ」で、
 サンセット・ディナーを始めようとしていた。

 すると、水平線の彼方がみるみる赤みを帯びいった。
 念願どおりの見事な夕焼けが盛大に展開され始めたのだ。

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 相模湾の向かい側、伊豆半島の方向に太陽が沈んでいく。
 その夕焼けは、刻一刻と赤みを帯び、ぼくらの視線は吸い込まれていく。

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 壮大な太陽のドラマを眼前にしているようで、神々しささえ感じる。
 ほんの数分かもしれないが、こんな夕日を目前にしたのは、何年ぶりか。


 当日は身内3人で、この海辺のレストランで食事しようとしていたわけで、
 店内に入る前、時間があったため、近くを散歩した。

 その時にも雲行きが動的で、「おや?」と首を傾げるほど。
 すると、身内の1人が「こうゆう雲行きは地震の予兆」などと言った。

 そうして上記のような夕焼けを望めたわけ。

 で、その翌日の早朝、地震が起き、2度、3度と我が家も揺さぶられた。
 速報によると、山梨県と神奈川県の一部で、震度5弱が観測されたという。

 やっぱりあの異様な雲行きと夕焼けは、地震を知らせていたのか。


 そうして辺りが闇に包まれたころ、ディナーが始まった。

 このイル・キャンティという店は、比較的近年、開業しており、
 ぼくは時たま独りでスパゲティやらピザで昼食を摂る。

 潮風が直接当たるテラスでの飲み食いが気に入っているから。

 たまには数人で寄ることもあり、そのときはメニューを凝る。

 そのなかでお気に入りは、フジツボの唐揚げとやらで、
 この日もそれを注文し、賞味したのだった。

 フジツボと言っても殻は大きく一見奇怪だが、
 その中身=肉は、さっぱりとしており、珍味でもあるのだ。

 それはともかくとしても、浜辺に隣接して建つこの店は、
 やはり眺望と潮風がいちばんの"ご馳走"だろう。

 同店のホームページから写真を引くと、以下のとおりだ。

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生シラスを食す悦び

 以前からシラスの生(なま)が大好きだった。

 湘南に移り住んでから、その好きさ加減が昂じたように思う。

 漁期のシーズンになると、地元スーパーでもデパ地下でも買えるから。

 漁期、すなわち漁猟解禁期間はだいたい春から初秋にかけてで、
 その間でしか生シラスを売っていない。

 そして、今シーズンは大型の台風到来で、
 9月に入ってからは、もう買えまいと思っていたら先日、ありました。

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 近くのスーパーに光るほど新鮮なのが並んでいるではありませんか!

 ひと盛り300円弱で、「入荷」という看板とともに売られている。

 海も凪いできたので、久々に漁が出来たのだろう。

 ちょうど我が家に客人が来ていることもあり、2盛り買ってきた。

 
 食べ方は簡単だ。

 ポン酢醤油をチラリと垂らし、すり生姜でも載せて口に放り込めばいい。
 微かな磯の香りとともに、一尾一尾の食感を味わうようにして。

 これがまた、清酒にも焼酎にも合う。

 ただし、こうして食していると、なんだか悲しくもなってくる。

 極小の魚とはいえ、一尾一尾に命も魂もあったのだ。

 人間はそれを情け容赦なく口に放り込み、食してしまう。

 「こんなのって〈あり〉だろうか」と思ってしまうのだ。

 感謝しなくてはなるまい。

「賀茂鶴」という清酒

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 盛夏のさなか、日本酒が贈られてきた。

 3本入りの化粧箱を開けるまでもなく「賀茂鶴」の名が浮かんだ。
 広島在住の親戚から送られたものだから。

 ぼくがこの銘柄を好きなことを知っての好意だろう。


 思い返すと、賀茂鶴には好もしい印象がある。

 ずいぶん以前のこと、仕事で広島へは何度か出張した。
 そして、ひと仕事を終えると、市内の繁華街に繰り出した。

 そこで出合ったのが広島独特の料理であり、地元の銘酒だった。

 料理は海産物が中心で、季節によっては生牡蠣に恵まれた。
 いつも生野菜のサラダ風料理も美味だった。

 さらに、広島風お好み焼きの美味しさも忘れられない。

 そして、すっかり気に入ったのが地元銘酒の賀茂鶴。
 さっぱりとした広島風の料理と実によく合うのだった。

 濃くも薄くもなく、キリッと引き締まっており、透明度も高かった。

 以来、賀茂鶴は忘れられない酒になったが、それにまつわる別の話もある。


 東京の銀座に〈賀茂鶴〉と称する料亭があった。

 銀座通りから少し入った所にあり、木造の店構えがいかにも清潔そう。

 なぜかその店にしばしば入るようになり、
 看板が示すとおり広島風の料理や店名と同じお酒をいただくことができた。

 何年か通ったが、今でも同じ場所で営業しているかどうか知らないが。


 そんなわけで「賀茂鶴」と聞くと、さまざまな想いが蘇ってくる。

 そして今も、この銘酒を味わえるとは幸せだ。

ヤマモモの実る頃

 今夏もまた、ヤマモモ(山桃)の実が我が家に届いた。

 静岡県在住の篤志家から贈られたもので、発送の知らせを受けた途端、胸ワクワク。
 あの魅力的な「ヤマモモ酒」を堪能できるからだ。

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 小粒のヤマモモの実は、赤黒く、いかにも野性に満ちている。
 あたかも秘めたる力を有しているように思える。

 しゃぶりつくと、甘酸っぱく、口中が朱に染まる。

 自然のままに育ち、人の手が入っていないような味わいだ。

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 ただし、普通に食するためにある果実ではなく、
 ヤマモモ酒と言われるように果実酒としてこそ価値が出る。

 そこでぼくはすぐに大きな瓶に封じ込め、たっぷりと焼酎を加え、寝かせる。

 間なしに朱色に変わり、ひと月か、ふた月は待たねばならない。
 そう、秋風が吹き始めると、飲みごろになるのだ。


 因みに、ヤマモモは桃を連想するけれど、桃はバラ科で別種である。

 ヤマモモは、単にヤマモモ科の常緑高木だ。

 こんもりとした濃緑色の葉を茂らせ、庭の植木にも適している。

 聞くと、このほどヤマモモの実を送ってくれた人は、自宅の庭で採取したという。


 この野性的な果実の精を間もなく楽しませてもらおう。

アジフライを堪能

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 かれこれ30年ほど前からだろうか、逗子市の漁村、小坪に通い詰めている。

 行けば、必ずと言っていいほどアジフライを食べるのが習慣だ。

 そこは漁港からちょっと入った所にある〈魚佐次〉という料理屋。(最上部の画像)

 地元で獲れたての魚介類を和風料理で供する店で、
 新鮮そうな献立が盛りだくさん。

 だが、脇目もふらずアジフライを注文かるのが常だ。(2番目の画像)

 なんたって揚げたてのアツアツをサクッと噛んで口に放り込む愉悦感。

 ぶっかけた濃いめのブルドックソースと見事に調和している。

 それに細かく切り刻んだ生のキャベツが添えられる。
 アジフライとは相性が良く、盛りだくさんなのが嬉しい。

 加えてマグロの角煮が小鉢に添えられている。

 味噌汁とホッカホカのご飯も一緒だ。

 こうして腹いっぱいになったときの至福感がたまらない。

 お勘定は、千円札でお釣りがくるのも嬉しい。

 アジフライと言えば、庶民的な食べ物のひとつだろう。
 貧しかった学生時代から折に触れ口にしていた。

 そんな懐かしさも蘇り、歳をとっても無性に食べたくなるのだ。



 表に出て数歩歩くと、小坪の漁港に出る。(3番目の画像)

 吹く風に潮っぽさ感じられるのも心地いい。



 そこはまた、リゾートマンション〈逗子マリーナ〉の一角でもある。(最下部の画像)

 南欧風を模したような立木が整然と並び、白亜のマンション群が静まっている。

 かつてこのマンションの一室で楽しんだが、その権利はとうに失った。

 それでも足繁く行くのは、アジフライ食べたさのためか。


 なお、上記〈魚佐次〉は、逗子駅の前で大きな鮮魚店を営んでいる。

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