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猛暑が過ぎ去ろうとするころ、イチジクが出回ってくる。 どうしてもというほどではないが、ついつい買ってしまう。 でも、冷蔵庫で冷やしてから口にすると、やっぱり美味しい。 というより、懐かしい素朴な味が蘇ってくる。 この野性的な果物は、漢字で無花果と書くのを子供の時分から知っていた。 花を咲かせないのに実がなるとは「これいかに?」とも思っていた。 昨今知ったことでは、花はちゃんと咲くものの、実の陰に隠れているとか。 それはそうとして人の手の届くところに実がなっているのがうれしい。 ぼくら"アラコキ"は、東京中が焼け野原であった子供のころを思い出す。 焼け跡が遊び場だったころ、そこに樹木が茂っていた記憶はない。 でも、野原の外れや旧家の庭先にイチジクやビワの木が残っていた。 戦火に耐えられる特性があるからだろうか。 しかも、イチジクの木は、手の届く枝にプリッとした実を付けていた。 もぎると、ねっとりとした白い液汁が滲んでいたものだ。 夏の日の夕方、それをもぎ取って家に持って帰る。 折柄、食糧難であり、甘味不足の時代だったので、 イチジクにありつけたことに悦びがあった。 それが上掲の画像にあるひと山が300円ほどで買えるのだ。 良き時代といえばいいか。 マメな人は、これをイチジクジャムにしたり、甘露煮にしたりして、 有効に食するようである。 とはいえ、イチジクはどこまでも地味で、 スーパーでも目立たぬ所に置かれているのは、気の毒なようにも感じるのだ。 |
飲食
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足を運ぼうと思いつつ、なかなか実行できないのが 東京の築地魚市場(通称 魚河岸)だ。 以前、都内で暮らしていた頃、主に土曜日の朝、せっせと通ったものだから。 玄人でもないのに潜り込み、新鮮で安い魚貝類を買いあさるのに夢中だった。 〈中央卸売市場〉の看板のある正面から入り、右手のほうに進むと、 背の高い幾棟もの市場があり、どこから入っても、迫ってくるのは魚の山。 水浸しの床をどんどん進みながら、右に左にキョロキョロ。 威勢のいい河岸のおにーさんが声を掛けてきたり、こちらから質問したり。 こうしてお買い得の品を真剣に漁りまわるのだ。 例えば、活きのよさそうな本マグロの切れ端が皿に盛られていると飛びつく。 好物のナマコが「ひと山○○○円!」に「買った」ということも。 所詮、素人だから買う量は高が知れているが。 ある日はフグ(河豚)が欲しくなり、その専門店に寄った。 ある程度さばかれたひと山を買い求めようとしたら、 「ライセンス(調理免許証?)を見せなよ」と。 そんなのは持っていないので、押し問答をしたところ、 「領収証は出せないよ」で売ってくれたり。 とにかく、広い場内を歩き回り、ひやかすだけでもどんなに楽しかったことか。 のぼせた顔で場外に出ると、例のターレット(画像右下)が走り回っている。 この一人乗り小型運搬車は、河岸のシンボルのようなもの。 人をかき分けるように俊敏に走り回っている。 市場に来たら、もうひとつの楽しみは昼食だ。 市場は早朝から始まり、昼過ぎには閉店みたいになるので、 場内や場外の食堂は昼前から賑わう。 ぼくが空腹を満たすために足を向けるのは、もつぱら場内の店。 寿司、そば、揚げ物などの店が軒を並べており、お気に入りは天麩羅屋だ。 活きのいい魚の盛り合わせを注文し、ついでに熱燗も一本。 これでチビチビやりながら、熱々の天麩羅を口にする至福感。 お腹も満たされて向かうのは、場外売り場だ。 海幸端を渡って場外に出ると、さまざまな店が密集している。 それぞれが専門店で、場内と同じ新鮮な魚介類を扱う店もあれば、 海苔や鰹節や食器などの店も。 そんな店でも拾い物のような買い物ができるのも嬉しい。 かくして持参の買い物バッグも満杯になり、マイカーで帰宅するのだった。 なお、この魚河岸通いにいつも付き合ってくれたのが、さるご婦人。 この人は今でも魚河岸に独りで足を運んでいるという。 それはともかく、東京都は近い将来、 この中央卸売市場を豊洲に移転させる計画を固めつつあるが、 いろんな意味で疑問を呈さざるを得ない。 (画像は中央卸売市場のホームページより)
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目下、愛用しているのがこのデミタスカップ。 本来はエスプレッソなど濃いめのコーヒーのためにあるようだが、 ぼくの場合は飲酒用だ。 それも焼酎割りやグラッパなど強精酒に使っている。 いかにもヨーロッパ調の図柄と色彩がこうした飲み物とも似合う。 このグラスを贈ってくれたのは、オランダで長年暮らしている旧友だ。 一時的に来日するたび、あちらの名産品を持ってきてくれる。 最新のおみやげがこのカップで、大きめの箱に6セット入っていた。 そんなにたくさん一挙に使うことはなさそうだが。 カップの受け皿を裏返して見ると、〈BARCERONA GAUDI〉と記されている。 とすると、スペイン製で、天才ガウディの建築物で知られる バルセロナの産物というわけか。 それをオランダ籍の友人が探し出してくれたということは、 オランダ対スペインのサッカー・ワールドカップ戦を思い起こさせる。 それはそうとして、このおみやげを受け取るための待ち合わせが可笑しかった。 ぼくが指定した場所は、東京駅八重洲口の八重洲観光会館前。 そこならば誰にでも分かりやすいと思ったから。 で、指定の時間に東京駅に降り立ち、八重洲口から外へ出たら愕然。 まるで周囲の様子が変わっているではないか! かつて見慣れた観光会館なんてありはしない。 名も知らぬホテルや高層ビルが立ちはだかっている。 大丸を始め周囲の建物も往時の面影はなく、見も知らぬ街に来たみたい。 「さあ、弱った」とばかり辺りを歩き回りながら件の友人を探した。 彼は40年近く前からオランダで暮らしており、 時折り来日するものの、東京駅前の変わりようは知らないだろう。 それでも、大男の彼の姿を遠くに認めたときはホッとした。 お互い「おのぼりさんになったもんだ」と苦笑するのだった。 ついでに記すと、この旧友の贈物には上の木靴がある。 オランダ名物の木靴に当方の名前を書き込んでくれたものだ。 我が家の新築祝いというわけで、今でも玄関ドアに飾ってある。 |
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生来、〈島〉には人一倍、関心と愛着がある。 なので国内外、どれほど〈島旅(造語)〉を積み重ねてきたことだろうか。 ところが、地元の神奈川県は広く海に面しているにかかわらず、 島が少ないのはさびしい。 そこで、あらためてざっと調べてみた。 まず、最もよく知られているのは、〈江の島〉だろう。 そればかりでなく〈城ケ島〉も有名だ。 面積も県内の島ではいちばん広い。 次は? となると戸惑わざるを得ないが、〈八景島〉を思い出した。 レジャーブームとやらで賑わっているはずだ。 だけど、レジャー施設のための人工島だから、島と言うには無理がある。 では、ほかに有人島がどれほどあるだろうか。 それがはなはだお寒い。 いや、横須賀市の少し沖合に広い島がある。 ただし、そこは全面的に米軍施設となっており、箱崎町との町名もある。 そこを島とは言えないだろう。 それでも躍起になって地図で探したら、無人島ならば少しは見つけた。 横須賀沖の〈猿島〉がそのひとつだ。 歴史的にも施設的にも意義深いが、いまや無人の島。 ほかに、長い三浦海岸の沖に〈沖ノ島〉があ。 そこには多分、漁業関係者しか近寄れないだろう。 三浦半島を辿っていくと、三浦市の沖に〈横瀬島〉を見つけたが、 予備知識はまったくない。 その横側に〈城ケ島〉がデーンとあり、前述のとおり。 さらに、三浦半島の西岸を辿ると、マリーナのある佐島(島に非ず)の沖に、 〈天神島〉と〈笠島〉が並んでいる。 草がぼうぼうと生えた島で、ここも無人。 そこから半島基部を辿ると、葉山の沖合に〈名島〉がある。 草一本も生えていないけれど、赤い鳥居が目印だ。 盛夏にはこの島に海水浴客が集まることでも知られる。 渡し船が出るからで、島にはサザエの壺焼きの売店もある。 さらに、半島基部の逗子市小坪と鎌倉市材木座の間に〈新島〉がある。 島というより、干潮になると顔を出す岩礁みたいなもので、施設も何もない。 さて、いわゆる湘南地区を西へ辿ると、まず〈江の島〉にぶつかる。 ここには島民もおり、観光で大賑わいだし、ヨットハーバーも有する。 次に、海岸線の長い湘南の海岸を見渡すと、 わずかに茅ヶ崎市の沖に、烏帽子岩を望める。 地図には〈姥島(うばしま)〉という名が付いており、むろん無人島だが、 いくつもの岩礁が点在し、釣り人で賑わう。 以上、神奈川の島をざっと見渡したが、気になるのは隣接する東京都。 なんとこの首都は島が盛りだくさん。 まず、大島を始めとする伊豆七島がある。 東京湾の遥か沖合にあり、七つだけでなく群島ともなっている。 それらの島々が行政上は東京都に属するこにと疑問が湧く。 立地的には伊豆半島の沖合にあるので、静岡県下としても良さそうなのに。 あるいは、神奈川県にも近い。 湘南の海辺から伊豆大島が望めるほどだから。 さらに、小笠原諸島も東京都に属するのは、これいかに? その島々は40数年前、米国から返還されたわけだが、 接収前も東京都だったのか? だけど、東京以外にどの県に属するのか、小笠原県とするかなどは思い浮かばない。 とかなんとか、島を巡って愚にもつかぬことに疑問符が湧き出てくる。 (上の画像はヤフーから拝借した城ケ島の空中写真) |
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いつも行くスーパーで見つけたのが、上のズワイガニ。 丸1杯で、値札が300円弱にびっくり。 「石川県から直送」とあり、いかにも新鮮そう。 ニコニコしながら、買って帰った。 調理するには、蒸かすにかぎる。 熱湯でゆでると、独特の滋味が溶け出してしまうから。 食すのに醤油なんかの調味料は不要。 はさみで脚に刻みを入れ、真っ白な肉を取り出し、しゃぶりつく。 ほのかな甘みがあり、歯切れも良い。 かくして10本の脚は、またたく間に平らげる爽快さ。 次は、胴体に詰まっているカニ味噌を吸う。 海底の香りがほのかに立ちのぼってくる。 とかなんとかで、安価なズワイガニがこの夜の主菜となった。 と同時に、美味なるこのカニを追って旅したことを思い起こす。 石川県の輪島に旅したときは、国民宿舎に投宿し、夕食時、 名物のズワイガニを注文しようとしたところ、えらく値段がかさむ。 「またいつかね」と言いつつ、涙を呑んだのだった。 鳥取県の境港でも、同様だった。 ズワイガニの漁獲量では全国一だそうだが、えらく高価だ。 宿から出て向かったのが、港近くの魚市場。 足の踏み場もないほどズワイガニが転がって(?)いる。 市場の外の食堂に入ったら、そこでも売られている。 さほど高くなかったので、昼飯の一品とした。 あのときの美味は忘れられない。 ところで、地域や雌雄によってズワイガニの名称が変わる。 同じ種族でありながら、越前ガニや松葉ガニというふうに。 その他カニ属の種類は少なくないが、ズワイガニが最も好きだ。 下の画像は、ウィキペディアに載っていた本物のズワイガニ像。 |





