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毎月、送られてくる定期刊行物のひとつに『湖畔の声』がある。 医薬品メンターム(旧メンソレータム)で知られる近江兄弟社グループのPR誌で、 真っ先に目を惹き付けられるのは、表紙を飾る写真だ。 季節によって被写体が変わり、今月号は「晩秋の八幡堀」で、 そこは同社グループの本拠がある近江八幡市の一角にある。 毎号、この表紙写真を撮影しておられるのは、林満という人で、同氏の説明によると、 「八幡堀は琵琶湖から水運を利用した交通手段として造成され、 江戸時代から昭和初期までは盛んに利用されていました。 その後、輸送手段が陸上主体になると次第に使われなくなりました」とある。 ところが、近年は改修され、湖岸には桜や花菖蒲が咲き乱れるそうだ。 そして、今月号の表紙写真は、晩秋の晴れた日、湖面に映える紅葉という。 このワンショットを眺めただけで、由緒あるお堀を示しているようで、 遠い昔に思いを馳せることもできる。 ともあれ、そんな季節の移ろいが毎号、同誌の表紙を飾っているわけで、 同社グループの人たちや関係者にとって心和む画像を提供してくれる。 そういう自分もかつて近江八幡に通っていた一時期があり、 表紙写真のみならず、何かと懐かしく読ませてもらう記事も少なくない。 言うまでもなく近江兄弟社グループは、来日した米国人ウィリアム・M・ヴォーリズが創立し、
宗教的活動を柱に各種の事業を興している。 |
読書
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新潮社発行の月刊誌『波』を数年前から定期購読しており、毎月、新しい号が送られてくるのを楽しみにしている。 |

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滅多に時代物の小説を読まないが、『夢喰屋 仕込み剣』は読み出したら止まらなかった。 |
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久々に開高健のエッセー集を読み出したら止まらない。 |
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ある雑誌で『昭和の特別な一日』という単行本の広告を見て、心がぐらりと傾いた。 その広告の謳い文句に「オリンピックがやって来た、あの頃のこと」とあり、 それに強く刺激されたからでもある。 さっそく書店に行き探し当てたら、中身を吟味するまでもなく買い求めた。 著者は読売新聞の記者を経た杉山隆男という作家で、出版は新潮社。 本文は四章から構成されており、第一章が「上空一万五千フィートの東京五輪」だ。 ぼくはまず、この文言に魅かれたのだ。 昭和三十九年十月十日、東京オリンピックが開催されたわけで、 そこに至るまでの話は、メーンスタジアムの上空を旋回し、 開催を祝う航空自衛隊によるアクロバット飛行の裏話。 その本番に到るまでの隊長や隊員の努力や不安などが手に取るように分かる。 そして、開催日当日の朝、五機の自衛隊機が五輪のマークを見事に描いたのだ。 本文を読んだだけで、実際に見たわけではないが、そのアクロバット的なショーが いかに劇的だったかを目のあたりにするようだった。 それを成功させた自衛隊員や関係者の苦労話が綿密に描かれている。 あの年、オリンピックが東京で開催されたのは、太平洋戦争の終結から二十年近くを経たばかり。 日本はまだ敗戦の傷を引きずり、東京を主に各地はなおも荒廃していた。 そんな時代に世界中の関心の的となった東京オリンピックが催されたわけだ。 ただし、ぼく自身はこの会期中、日本を離れていたので、その模様は想像するしかなかった。 「欧州経済調査団」なる団体に加わり、欧州各地を巡っていたのだ。 三週間のこの団体旅行を終え帰国したとき、オリンピックは終わっていたというわけ。 それだけに後日、東京五輪に関する映像や記事などに魅かれるのだった。 さて、同書の第一章は「東京五輪」に関してだが、第二章は「さらば、銀座の都電」、 「第三章は「日本橋には空がない」、第四章は「(中野に)ブロードウェーがやって来た」だ。 いずれも往時の東京にまつわる実話で、いずれも綿密な取材と語り口で引きずり込まれた。 とりわけ、東京の街々を走っていた都電が消えてから何年も経つが、 そこに至るまでの都交通局関係者の実話には、身をつまされる。 東京の中心を成す日本橋という橋の上には、高速道路が敷かれ、 その辺の様相を一変させてしまったが、そこにもいろんな物語があったのだ。 高速道路で視界が塞がれただけでなく、魚河岸が日本橋から築地に移されたのにも、 哀愁漂う諸々の実話があったそうである。 さらに、庶民的な住宅街であった中野やその近辺が家鳴り震動したのがブロードウェーセンターで、 その辺りの経緯などが詳しく綴られている。 そして、一貫しているのは、どんな異変や出来事にもさまざまな人物が絡まり、 それらが綿密かつ劇的に描き出されていることだ。 同時に、この東京という大都会が僅か数十年前からみると、 いかに大きな変化をもたらしてきたかが再認識させられる。 作者の杉山隆男は神保町の生まれ育ちの生っ粋の江戸っ子だけに、 東京に関する叙述は詳細を極めるのと同時に、哀愁を漂わせている。 それも同書に引きずり込ませる要因でもある。
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