丑の戯言 栗田英二

体調不良につき、プロク゜投稿も途絶えがち

旅と乗り物

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 どこへ行ったときが最も寒かったか。

 つらつら思い起こすと、やっぱりオスロへ出張したときだ。

 ノルウェイの首都とはいえ雑踏なんかはなく、静かな街。

 2月の厳寒期、そこへのこのこと出掛けたわけだが、
 顔が引きつるというか、凍るというか、大気がすごく冷たい。

 もちろん、気温は氷点下で、その数字は忘れたが、
 こんな寒冷地でも人々が動き回っているのが不思議なぐらいだ。

 しかもそのとき、ぼくは仕事上のトラブルに巻き込まれてしまった。
 現地会社と揉め事が発生したわけで、その問題を善処すべく慌てた。

 そんなことから寒い中、その会社へ何度も足を運んだ。

 相手はノルウェイ語しか話さず、通訳が必要。
 引き受けてくれたのが宮崎県都城市の出身の青年だった。

 オスロで長年働き、ノルウェイ人女性と結婚しているそうで、
 彼が親身になって通訳してくれた。

 こうして難問題は幸い解決したわけで、
 相手会社の幹部たちと仲直りの握手を交わした温かい手が忘れられない。

 それで気分をよくしたこともあってか、街中で気に入ったパックを買った。
 ズック作りの素朴な一品で、大きからず小さからず使い勝手がよさそう。

 ただし、そのバッグは長年、買ったまま一度も使わず保存してある。

 とにかく、ヨーロッパでは北の果てにあるノルウェイだ。
 そこへ何度か足を伸ばしたが、あの厳寒期のことが最も印象深い。

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 他方、心温まる思いをしたのは、確か5月の建国記念日だった。

 白いリラの花が街中に咲いているころで、
 この祝日には王宮に向かう大通りが人であふれるほど。

 ぼくも物珍しげにのこのこ出掛けたものだが、
 目に焼き付いたのは、可愛い女の子たちの集団。

 お節介にもそこへ近付いていってインタビューを試みた。

 ちょうど携帯用テープレコーダーを持っていたので、
 彼女たちにマイクを向け、エセ・インタビューを試みたのだ。

 すると、恥ずかしそうに後ずさりするばかりで乗ってこなかったが、
 あのときのキラキラ輝くような春爛漫も忘れられない。

                      (画像はいずれもグーグルより抽出)

初春の沖縄便り

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 「おやっ、桜がもう咲いているじゃないか!」と嬉しくなった。
 「八重桜かな?」とも思った。

 沖縄を旅している後輩から送信された写真が、かの地の季節感を伝えてきた。

 このところ沖縄地方は、気象情報によると、天候は優れず、くずついている模様。
 だけど、南西諸島ともなると、本土より一足早く春を迎えているのだろう。

 しかも、桜と思える華やかな花がすでに開花しているなんて!

 最初、八重桜と思ったけれど、そうではなく寒緋桜(かんぴざくら)らしい。

 主に沖縄で野生化した桜の一種で、年明けには開花するようである。
 
 下向きに花が開くところに特徴があるとか。

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 この海岸は、沖縄本島のどの辺りか知らないが、やはり春を迎えているような雰囲気だ。

 青みがかった海の表情が本土にはない暖かさを伝えているようにも感じる。

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 ぼくは一昨年の3月、沖縄の離島を団体で旅してきたが、
 久米島の沖合にある砂丘のような〈はてな島〉に渡ったのが最も印象的だ。

 渡し船に乗ってその島に向かうときも、島で貝殻を拾い集めたときも、
 暖かく優しい風を身に受けた感じか忘れられない。

 強烈な夏の陽光を浴びるのもいいが、初春にこそ沖縄に行きたいと思うのだ。

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 こんなのも小旅行と言うのだろうか。

 立地的に遠くないとはいえ、まさかと思える世界を覗いてきたのだから。

 神奈川県は横須賀市の東京湾寄りに位置する軍事施設がそれだ。

 普段、陸上からその施設や艦船の一端は眺められるが、
 海上からから秘所をうかがうように見物できる。

 称して「アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船が間近で見られる
 日本唯一のクルージング・ツアー」を経験したわけ。

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 JR横須賀線の横須賀駅に降り立つと、不思議な感覚に襲われる。
 改札口から軍港の一部が目に飛び込んでくるのだから。

 ずっと以前からそんな経験をしてきたが、
 この日は上の案内図のとおり、その軍港を海側から眺められるのだ。

 かつてそんなことは不可能と思われたが、数年前から可能となった。
 40人ほど乗船できる遊覧船が営業を始めたのだ。

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 まず、左側に我が国自衛隊のいろんな艦船が間近に見られる。

 艦種はさまざまだが、どれも独特の灰色で、いかめしい雰囲気がある。

 なかには半分沈みかけたような艦があり、かの潜水艦だと分かる。

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 右側には米軍の艦船群が串刺しのように並んでいる。

 そのなかで圧巻は巨大な〈ジョージ・ワシントン〉だ。
 それもそのはず世界最大級の原子力空母なのだから。

 戦闘機80機を甲板か艦内に置き、乗員やパイロット合わせ6千人収容とか。

 その奥に展開するのが米海軍の横須賀基地で、遠目にしか見られないが、
 一大街区を形成するほどの規模だ。

 将校・兵士とその家族などを合わせ8万人がそこで暮らしているそうだ。


 
 そんなこんなを眺めつつ遊覧船は一周するわけで、
 予備知識のほとんどないぼくは、頭がはちきれそうになった。

 さらに、日米最大の海軍基地が横須賀に存在することには、
 複雑な気分にもさせられる。

 自国の海上自衛隊の基地になっていることには合点できても、
 米軍が広大な面積を占有し、主力艦船を常駐させているなんて。

 むろん、日米軍事協定に基づき米軍はこの近海を守っているわけだが、
 それが太平洋戦争後60年以上も常態化しているなんて……。

 沖縄は無論のこと、日本の各地に海空の米軍施設は数多い。

 「それがどうした?」と問われれば、二の句を告げないが、
 今回のクルージング・ツアーの経験であらためて考えさせられた。

伊豆の沼津へ小さな旅

 突然、級友から「沼津へ行こうぜ」との誘いがかかった。
 いつも行動の速い男で、こうと決めたら素早く動く。

 「OK」というわけで、間なしに東海道線に乗っていた。
 各駅停車の末、やっと沼津駅に着いたのは昼過ぎ。

 そこからバスに乗って降りた先にKKRホテルのひとつ、
 〈KKR沼津はまゆう〉がある。

 ここに割安な料金で泊るのが目的だった。

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 さて、旅に出ての楽しみは、宿での夕食にある。

 そこはうまくしたもので、旧友はあらかじめ特別メニューを注文済み。
 それで出てきたのは、アワビを丸ごと七輪で焼くという料理。

 加えて、季節もののキンメダイの煮つけで、小さいながら丸一尾だ。

 ほかに無論、お定まりの魚介料理が付くわけで、
 食べたり飲んだり忙しい。(写真でも撮ればいいのにぼくは苦手だ)

 部屋に戻っても、彼との昔話が延々と続き、酒量もかさむ。

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 そうして朝、すっきりとした気分で起床。

 朝食後、まずは宿の周辺を散歩する。

 海岸沿いに歩いて15分ほどに〈沼津御用邸〉がある。

 天皇ご一家がここに逗留したことは、あまりないかも知れないが、
 広大な庭園が展開している。

 その周辺は一般にも開放されている〈御用邸森林公園〉があり、
 老成したクロマツが鬱蒼と生い茂っている。

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 隣接するように〈学習院遊泳場〉がある。
 中にプールでもあるかなと思ったら、そうではない。

 おぼっちゃまたちが浜辺に降り、遠泳訓練を受けるらしい。

 で、当の御用邸も覗こうと思ったが、暴風並みの強い風が吹き荒れていた。
 目前の駿河湾も荒れ狂っている。

 海際をこれ以上うろうろするのも何なので、尻尾を巻いて宿に帰った。

 ここから西伊豆へ足を伸ばそうとも考えたが、
 船も出ないだろうし、強風に抗して行くのもなんだから、帰途に就く。

 かくしてまた、東海道線に乗り、藤沢駅で下車したのは正午ごろ。

 前日のほぼ同じ時刻にここで彼と落ち合ったから、
 ちょうど24時間、旧交をあたためる小さな旅になったわけ。


 因みに〈KKR〉は、国家公務員共済組合連合会の略称で、
 その一環である公務員の保養施設を一般にも開放している。

 それらの施設=ホテルは、全国各地にたくさんある。

 その中心的存在である〈KKRホテル東京〉も、
 ぼくの地元、〈KKR江の島ニュー向洋〉と〈KKR鎌倉わかみや〉も、
 時折り利用させてもらっている。

晩秋、岩手の山中から

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 旅烏のような後輩から、今度は東北・岩手県の山奥の写真が送られてきた。

 奥州市のどこからしいが、なんと自然の造形の美しさよ。

 折柄、秋も深まってきたので、遠い山上では雪をいただいており、
 近くの山中には紅葉がチラホラとも。

 その間を流れる小川には、冷たそうな水が流れている。

 まるで一幅の絵ではないか。

 この近くには有名な胆沢ダムやその他大小のダムが点在しており、
 雪を積んだトラックが行き来しているというが、
 上の画像からは人間の気配がまったく感じられない。

 それがかえって神秘的に思える。

 海専門のぼくだったら、こんな所に来れば足がすくんでしまうだろうが、
 "山男"にとっては、日常的なスポットなのだろう。

 そして思うのは、この日本列島にはまだまだ自然のままになっている
 地域や地区があるんだなあ、と再認識させられる一幅の絵だ。


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