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<イトマキエイに初めて観察のためのタグをつけたとき、 彼らは普段よく観察される暖かい海面近くに留まるのだろうと、科学者らは考えていた。しかし、7月1日付けで「Nature Communications」誌に発表された研究によると、イトマキエイは他の種がほとんど到達しない1800メートルを超える深海に頻繁に潜水することがわかった。>
私は科学者ではないが、科学者たちと同様にイトマキエイは、深海に潜ったりしないだろうと思っていた。あの流線型から程遠いひし形に細い尾をつけたような姿では、到底速く泳ぐことは出来ないと思ったからだ。
ところが、あに図らんや、イトマキエイは、深い海に潜ることで知られるマッコウクジラや、流線型そのものともいえる姿のマグロよりも速い速度で潜水できるらしい。また、深海まで潜水するだけでなく、移動距離もきわめて大きいことが分かった。チリイトマキエイは6カ月の間に3800キロ以上移動することが今回の研究で明らかになったそうだ。
水の抵抗が大きそうで、泳ぎにくそうなあんな奇妙な姿をしていて、深海まで高速潜水し、長距離移動も可能であるとは、まったく驚かされてしまった。
以下、ニュース 一部、フォントを変えてある。
イトマキエイの高度な潜水能力
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 7月4日(金)14時58分配信
イトマキエイに初めて観察のためのタグをつけたとき、 彼らは普段よく観察される暖かい海面近くに留まるのだろうと、科学者らは考えていた。しかし、7月1日付けで「Nature Communications」誌に発表された研究によると、イトマキエイは他の種がほとんど到達しない1800メートルを超える深海に頻繁に潜水することがわかった。
また、イトマキエイの潜水速度は時速19〜20キロという速さだ。これに対し、マッコウクジラやアカボウクジラの潜水速度は時速3〜6キロ、タイセイヨウクロマグロやキハダマグロで約14〜18キロ。
イトマキエイは他のほとんどの生物種よりも潜水のスピードが速く、また最も深くまで潜水するだけではなく、移動距離もこれまで考えられていたよりもずっと大きい。今回の研究で、チリイトマキエイは6カ月の間に3800キロ以上移動することが明らかになった。
◆体温を維持
イトマキエイと同じくらい深く潜水する数少ない生物種には、ジンベイザメ、キタゾウアザラシ、そしてアカボウクジラがいるが、ほとんどの大型捕食者は1000メートルを超える深海の低温、低酸素、高圧力には適応できない。
こうした条件に適応できる生物種には、水温が摂氏4度以下の環境でも体温を維持できる仕組みが備わっている。
1990年代の半ば以来、タイワンイトマキエイにはそうした体温維持能力があることがわかっていた。
しかし、イトマキエイの生活圏は暖かく浅い水域だと考えられており、なぜ彼らが体温維持のメカニズムを持つのかは不明だった。2011〜12年に行われた新しい研究のため、北大西洋のポルトガル領アゾレス諸島沖でよく群れている15匹のイトマキエイに観察用タグがつけられた。この観察タグは6カ月経つと自然に外れ、海面に浮かんで記録データを衛生へ送信するように作られている。
イトマキエイが深海まで潜水するという発見により、彼らがなぜ体温維持機能を持つのか、そしてなぜ泳ぐスピードがあれほど速いのかに説明がつく。
「イトマキエイは、潜水するときに筋肉を使い、多くの熱を生み出す」と今回の研究論文の筆頭著者であるサイモン・ソロルド(Simon Thorrold)氏は述べる。体温の維持は脳や目の機能に極めて重要だ。
また、イトマキエイは海面近くで日光浴をして体温を維持する。ほとんどのエイは、日中の潜水の前後に海面近くで最低でも1時間過ごして潜水準備をし、また潜水後の体を休める。潜水するのは日中が多く、夜間に潜水するエイにはその前後に海面近くで過ごす行動は見られない。
ボストン大学の海洋生物学者レス・カウフマン(Les Kaufman)氏は、「イトマキエイが日常的に深海に潜水し、捕食行動を取ることが明らかになり、外洋の生物は我々が考えていたよりも海中空間をずっと広範囲に利用しているのだという認識がさらに高まった」と述べている。
Danielle Elliot for National Geographic News
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