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「集団的自衛権の行使容認の憲法解釈変更」
と表現すると、 「憲法の解釈を変えれば集団的自衛権の行使が憲法の規定に反しない」 との誤解を招く。 しかし、実際は違う。 憲法の条文は、集団的自衛権行使は禁止されているとしか読みようがない。 実際、日本政府は、 「憲法の規定により、集団的自衛権の行使は容認されない」 との公式見解を示し続けてきた。 ところが、安倍晋三氏は現行憲法下で集団的自衛権の行使を認めることを政府 として公式に決定しようとしている。 これは 「憲法解釈変更」 ではなく、 「憲法の規定無視」、「憲法否定」、「憲法破壊」 である。 日本国憲法第99条は、公務員の憲法尊重擁護義務を定めており、安倍氏の行 動は憲法第99条違反である。 集団的自衛権の行使を容認したいなら、憲法を変えることだ。 これが人の道である。 創価学会は、 「集団的自衛権の行使を容認するなら憲法を改定する必要がある」 と主張しているが正論である。 これから1ヵ月の日本政治最大の焦点はこの問題だ。 公明党が反対を貫けば、閣議決定できない。 公明党が反対しながら閣議決定するなら、連立の組み換えが必要になる。 政界再編である。 こんななかで、御用評論家として著名な田崎史郎氏が、安倍政権を応援する見 解をまき散らしている。 田崎史郎氏といえば、本ブログでもたびたび取り上げてきた、御用評論家の代 表格の一人である。 http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-3f71.html http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-656a.html http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-4b49.html この田崎氏が、集団的自衛権について、「現代ビジネス」サイトに文章を掲載 している。 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39297 タイトルは、 「すでに論理破綻!?集団的自衛権の解釈変更で追い詰められる公明党」 だ。 内容は分かりやすい。 集団的自衛権行使を容認するなら憲法を改定すべき」との創価学会の見解に公 明党が従うことをけん制する文章である。 公明党が連立離脱を決断しない限り、安倍政権に押し切られるだろうとの見方 を示している。 この記事掲載の日付が5月19日。 その直前に田崎氏はある人物に招かれて会食している。 ある人物とは、安倍晋三氏である。 東京新聞:「首相の一日」5月15日欄、 「8時6分、東京・西新橋のすし店『しまだ鮨』。 田崎史郎・時事通信解説委員、島田敏男・NHK解説委員ら報道関係者と会食。 10時15分、東京・富ヶ谷の私邸。」 毎日新聞:「首相日々」も同文。 朝日新聞:「首相動静」には、 「時事通信の田崎史郎・解説委員、毎日新聞の山田孝男・特別編集委員、曽我 豪・編集委員らと会食」 ジャーナリストも落ちぶれたものである。 御用記者をジャーナリストとは呼ばないが、こういった輩を 「茶坊主」 と呼ぶ。 公明党に集団的自衛権行使容認を容認させるための工作活動が展開される。 島田敏男氏はNHKの茶坊主。NHK茶坊主代表のもう一人は大越健介氏。 田崎史郎氏は時事通信社所属の茶坊主である。 腐った国ニッポン。 恥ずかしい国ニッポンである。 田崎史郎氏の「現代ビジネス」文章を読むと、この人物の浅薄さがにじみ出て いる。 ワイドショーの番組で何を取り上げたかを記述し、集団的自衛権行使問題が大 きく取り扱われていないことを重視している。 ものごとの因果関係をまるで理解していない。 ワイドショーがこの問題を取り上げないのは、政府からそのような圧力がか かっているからだ、と思われる。 NHKの大越健介氏。 集団的自衛権行使容認問題を徹底的に考察しなければならないときに、どこで 何をしていたか。 わざわざ韓国まで行って、沈没船問題を延々と報道した。 目くらましだ。 最近のNHKはこの手の情報工作ばかり。 2012年総選挙に際しては、 原発・TPP・消費税 を徹底論議しなければならなかった。 ところが、NHKはこれらの重要問題が選挙争点になるのを阻止した。 アベノミクス・政権選択などと争点を完全にすり替えた。 だから、消費税増税は、国民の判断なしに断行されたのである。 2013年7月参院選では、 「ねじれの解消」が最大の焦点、 「アベノミクスの評価」が最大の争点 とされた。 御用放送局に完全に成り下がっている。 田崎史郎氏の記述を地で行っているのがNHKだ。 集団的自衛権を掘り下げずに、韓国のイメージ悪化誘導に全力をあげている。 NHKがもうひとつ力を入れているのが中国のイメージ悪化誘導である。 その裏側に、安倍晋三氏による「NHK私物化」の醜悪な現実がある。 「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」 http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/ 共同代表である東京大学名誉教授の醍醐聰氏が、次々に重要情報を提供くだ さっている。 そのなかでも、メガトン級の重要情報が紹介された。 4月22日に開催された経営委員会議事録のなかにある、NHK新理事に起用 された井上樹彦氏に関する記述に関連して、極めて重要な情報が提供された。 経営委員会では、2名の新理事承認に関して籾井会長と上村委員長代行、美馬 委員らとの間で議論が応酬された。 2名の新理事のうちの1人である井上樹彦氏について、籾井会長は経営委員会 で次のように紹介した。 (籾井会長) 井上樹彦は昭和55年の入局、記者出身で政治部時代には外務 省キャップや官邸キャップを歴任し、平成17年からは3年間政治部長として 第44回衆議院選挙などの取材を指揮しました。 その後、編成センター長や編成局長を務め、東日本大震災の復興を支援する番 組の編成等に携わりました。 醍醐氏が紹介するのは、この井上氏に関して『日刊ゲンダイ』が、本年2月4 日発行の『日刊ゲンダイ』が次のように報じた内容。 この文章のなかの「局長」が井上樹彦氏を指すと考えられる。 「昨年の暮れも押し詰まった頃、菅官房長官は、都内某所で籾井次期会長と密 かに会談し、その席に井上局長も呼んで籾井氏に紹介した。 その上で、井上局長を報道担当の理事にするよう要請し、籾井氏も了解したと いわれています。 井上局長は、政治部長時代から当時、総務相として初入閣し、放送行政に力を 振るい出した菅氏に急接近。 選挙情勢など政治部記者を通じて集めた情報を菅氏の耳に入れるなどして信頼 を得ました」(NHK関係者)」 現在の理事の任務分担表によると、井上氏は「経営統括」となっており、上記 『日刊ゲンダイ』記事通りの人事が行われたことになる。 菅義偉氏は、総務省時代にNHK操縦法を確立したと見られている。 NHKの放送内容をコントロールするのに、もっとも有効な方法は人事に介入 することである。 しかし、NHKトップのNHK会長、NHK最高意思決定機関である経営委員 会を支配し切らないと、NHKの完全支配は難しい。 安倍晋三氏はNHK経営委員人事を私物化して、経営委員会を支配。 次にNHK会長を完全支配下に置き、いまや、NHK人事を完全に思いのまま にする状況を確立した。 NHK内部には、島田敏男氏や大越健介氏に代表されるように、権力に迎合し ようが、権力にひざまずこうが、とにかく出世したいという、ヒラメ族が跋扈 している。 だからこそ、政治権力はその気になれば、NHKを完全支配できる。 政治権力とマスメディアが結託して、アベノリスクが全開の状況に陥っている のだ 集団的自衛権の行使は憲法違反である。 だから、集団的自衛権の行使を容認したいなら、憲法改定実現を目指せばよい のだ。 しかし、憲法を改定するのは容易ではない。 そこで、安倍晋三氏は憲法無視=憲法破壊の暴挙に突き進もうとしている。 公明党が連立を離脱してでも、安倍政権による憲法破壊行為を阻止しようとす るなら、主権者国民はこれを歓迎する。 公明党は連立政権を離脱して、安倍自民党は極右勢力と連立政権を作る。 これが一番分かりやすい。 そうなれば、リベラル勢力の結集も実現しやすくなる。 しかし、公明党がそのような矜持を示せるか。 大方の見方は、公明党は「下駄の雪」のように安倍政権に追従するだろうとい うものだ。 しかし、それなら、公明党は「平和と福祉の党」の看板を下ろすべきだ。 だが一方で、現在の小選挙区制度の下においては、大多数の自民党衆議院議員 は公明党の支援なしに当選できない。 公明党がリベラル勢力の統一候補の支援に回れば、自民党議員の多数が落選 し、衆議院であっという間に政権交代が実現する。 集団的自衛権の行使容認問題は、今後の日本政局に重大な影響を与える可能性 を秘めている。 ※有料メルマガ版第868号植草一秀の『知られざる真実』2014年5月20日より「転載」
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