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 NYの大学院生ベーブ(ダスティ・ホフマン)は日課のジョギング中老人の交通事故死を目撃するが、それが自分に降りかかる災難の発端になるとは知る由もなかった。図書館で知り合ったエルサ(マルト・ケラー)の事をパリ在住の石油商の兄ドク(ロィ・シェルダ―)に手紙に書いて知らせたら突然兄が帰国、スイス人と称していたエルサがドイツ人と見破る。ドクは米国の秘密情報部員でありながらナチ戦犯ゼル(ローレンス・オリヴィエ)と深い関わり合いがあった。冒頭で亡くなった老人はゼルの兄でドクは彼から譲り受けたゼルが隠し持ってるダイヤを横取りしパリで売り捌こうとしていたのだ…。
 
 ニューシネマの傑作『明日に向かって撃て!』(69)やスティーブン・キングの『ミザリー』(90)などのヒット作の脚本家として知られるウィリアム・ゴールドマンが、自作小説を自ら脚本化し英国監督のジョン・シュレシンジャーが監督したサスペンスアクション。ごく普通の大学院生が兄が殺された事からナチ戦犯が率いる組織に囚われる身となり、それをきっかけに思ってもみなかったバイオレンス性に目覚めていく。ダスティ・ホフマンが『わらの犬』(71)に続いて止む無き理由から暴力に走る主人公を熱演。
 
 傑作『真夜中のカーボーイ』(69)の主演ホフマン、監督シュレンジャーコンビの期待作でありながら封切時には見逃していた一作。今頃になって初見する機会に恵まれるとは(涙)。しかし原作脚本がこれまたニューシネマ世代の俺にはお馴染みのウィリアム・ゴールドマンとは知りませんでした。ちなみに俺の知っている外国の脚本家の名前はゴールドマンと監督に転向したポール・シュレイダーのみ。
 そのポール・シュレイダーの脚本家としての代表作である『タクシー・ドライバー』は本作と同じ年に製作されたのと暴力衝動をテーマにしている事で共通項があるが、暴力性を完全に自覚してる『タクシー〜』の「トラヴィス」とは違い、本作の主人公は巻き込まれて自衛の為に奮った暴力がやがて首謀者への復讐へと繋がるという巻き込まれ型。突然目の前で兄の死を目の当たりにした上、自部屋に押しかけてきた手下に捕まり拷問を受ける。何とナチ戦犯は元歯科医でその経験れを生かし(笑)麻酔無しで主人公の歯を虫歯治療用の器具で直接歯をグリグリ甚振るという、見た目にもかなりエグい責め方。兄を殺された上にこんな事されたらいかに非暴力主義的なホフマンでも、藤子不二雄Aの「魔太郎」でなくとも「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」ってなるよね…。
 
 ストーリーの設定上パリのシーンもあったりするものの、やっぱりリアルなのは今の目で見るとえらい昔に見えるNYの風景。特に悪党の手から命からがら逃げ出した半裸の主人公とそれを追い駆ける悪党との真夜中のマラソンシーンは、どす黒いユーモアをも感じさせる。もっと若い監督だったらこの追っ掛けシーンを延々と撮りそうだが既にベテラン監督だったシュレシンジャーにはそういう部分の演出的執着は薄いみたいで、そこんトコがやや残念。主人公以外の登場人物は全て死に絶え、観終わっても爽快感が全然ないのは作品の性質上致し方なしか。20世紀の名優ローレンス・オリヴィエは俺でもリアルタイムな俳優ではないのでイマイチ起用の有難味が薄いのだが、さすがに凡百の悪党演技とは一味違う存在感があった。所々で挿入される「裸足の英雄」ビキラ・アベベのレース映像は金メダルを取った60年のローマ・オリンピックの物と推測される。
 
 ヒロインのマルト・ケラーは70年代後期には売れっ子だった肉感型の女優で今何してんだろうと常々思ってたら、去年封切のクリント・イーストウッド監督作『ヒア アフター』でウン十年振りにスクリーンで再会。悪役で印象的演技を見せているウイリァム・ディヴェインは反ベトナム映画の傑作『ローリング・サンダー』(77年。脚本はこれまたポール・シュレイダー。但し日本では超不入りで即上映打ち切りに)の主演俳優。いや〜、映画懐古趣味って本当に素晴らしいですね〜(★★★)

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