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前回は誰も頼みもしていないのに、W杯での守備の流れを勝手に復習した。
どんなスポーツも守りからだと、ひとり息巻いている私にとっては楽しいものでした。
今回も頼まれていないが、攻撃の復習。
ある意味、攻撃と守備は相反するものであり、相通ずるものでもある。片方だけでは、そのスポーツの本質は掴めない。でも、バランスだけをとれば勝利に直結するというわけでもない。スポーツって奥が深い。とひとり納得しとる次第です。勝負事だから当たり前なんですが…
前回、今大会の得点数が極端に少なかったことは紹介しました。確かに得点王のクローゼすら5得点。やっぱり、期待されていたほどFW陣の活躍がなかったということか。
でも、それだけで片付けてしまうのはちょっと酷かもしれない。得点が少ないのは事実だが、チーム戦術としてより守備的になっていることも否めない。そのとばっちり受けたのが攻撃陣(FW)。後ろを固めるあまりに前へ人を割かないようになっている。
その際たるものが、FW1人のワントップ。私はディフェンスのシステム3バックか4バックについては大差ないと考えている。
だが、FWが1人と2人とは大違い。これも試合の中で流動的に変わるものだろうが、ワントップと最初から決めているチームは常にその1人が前線で張っている(孤立している?)。
この点を奪う気があるのかないのかわからないシステムがワントップ。
実は今大会非常に目立った。ここ20年2トップが普通中の普通であったのに、今回は半分位のチームが採用していた。これを伝統的に使っていたのはオランダだけのはず。それが優勝候補のチームもこぞってこれを使い始めるのだ。これは大事件だ!と感じていたのは私だけ?
オランダ、アルゼンチン、フランス、スペイン、ポルトガル、チェコ、イングランド、韓国。これらのチームは大会通じてほとんどがワントップ。優勝したイタリア、あの攻撃の鬼ブラジルでさえワントップで戦う時が多かったくらいだ。サッカーファンでなくとも、これだけの国の名が揃えば、どれだけ現代サッカーは攻撃に人を割かないのが常識となっているかをわかっていただけるだろう。
そして、このワントップを採用したチームのエースストライカーは、結果はいかに?
オランダ。ファン・ニステルローイ。1次予選3試合で1得点。最終戦となった決勝トーナメント一回戦のポルトガル戦は、不調を理由にレギュラーから陥落。
アルゼンチン。クレスポ。5試合で3得点。及第点の成績だが、同僚のサビオラ、テベス・メッシ(彼らはスピードタイプのFWだが)の方が評価は高かった。
フランス。アンリ。7試合で3得点。所属チームのアーセナルのパフォーマンスから考えると、やはり物足りない。孤立してイライラする場面も目立った。
スペイン。フェルナンド・トーレス。4試合で3得点。唯一このポジションで結果を残した選手(予想外?)。でも、基本的に真ん中でドデンと構えるタイプのFWではない。
ポルトガル。パウレタ。7試合で1得点。フランスリーグ得点王の彼がこの体たらく。彼の不調がポルトガルは響いたと言われている。のだが…
チェコ。コラー、バロシュ、ロクベンツ。皆ワントップで出場したが、MF陣ばかり目立って、結果を残せなかった。コラーの怪我は確かにいたかったが…
イタリア。トニ。7試合中3試合はワントップ気味。全ての試合に出場しているが、2得点。セリエA得点王としての期待には応えられなかった。
ブラジル。ロナウド。5試合3得点。ワントップとかツートップ以前に体型ばかりが取り上げられていたが。結果的に最終戦となったフランス戦はワントップ気味。ロナウジーニョが周りで衛星的に動いていたが、機能しなかった。全く守備をしないのでロナウジーニョの負担が増えるばかり。
イングランド。ルーニー。先発した2試合はワントップ。得点なし。ポルトガル戦はフラストレーションを溜めこんで暴発。
全体的に言えることは、皆一様にして期待外れ。
特に注目したいのが、ポルトガルのパウレタ。彼はメディアやテレビ解説者にボロクソに叩かれていた。FWなのに全然得点に絡めていないと。
でもこの報道に私は物言いをつけたい。
彼の運動量や献身的なプレス、センタリングに対して忠実にニアへ走りこむ姿勢を見ていないのか?あれだけ汚れ役をこなしているのに。結果、得点もアシスト少ないが、彼はチームとして求められる動きをこなしていた。どれだけ、マスコミや解説者たちがゲームを見ずに、データだけでものを言っているかが伺える。ちなみに彼はポルトガルのチーム事情(両サイドに強烈なドリブラーがいる)でワントップをしている。タイプ的にはセンターフォフードの選手ではない。別に彼のファンというわけではないが、あまりにも不憫に感じられたのでここで擁護しておきます。
パウレタに限らず、彼らは皆かなり嫌な役回りをしていた。
前線で孤立する時が多い。
ボールをもらっても、すぐに3,4人に囲まれる。
囲まれた後もフォローが少ない、遅い、来ない。
サイドに流れてセンタリングを上げても、中央へ誰も走りこんでいない(ニアへ詰めていない)。
相手ディフェンスラインのボール回しを一人で追っかけ回す(取れるあてがなくとも)。
ポストプレーをすれば、後ろからチャージされる。
もう、やっていて楽しいことなんてほとんどない。唯一報われるのが得点なのだが…それがなければマスコミに叩かれるだけだ。こんな割に合わない仕事はない。
そして、相手DFをひきつけるだけひきつけておいて、おいしい所はMFのミドルシュートときた。もうここまできたらやってられんでしょうね。
それでも彼らは文句ひとつたれずに自らの仕事を全うした。その評価されない働きに私は拍手を贈りたい。
FWは点を入れてナンボと言われる。でも、それはケースバイケースだと私は信じている。野球で言えば、2軍で20勝の投手と1軍で10勝の投手。どっちに価値がある?
でも、一人の人間を犠牲にしてまで、守りに人を割くというのが、今大会の特徴でもあった。
日本は、2トップだったような気がするが、試合が始まってしまえば、実質ノートップかと思うほど存在感がなくなった。もし、ワントップにしていたら…なんて想像するとゾッとするが…考えないでおこう。
なんか、ものすごく幅狭い話になってしまいました。でも、今大会が守備的な大会となったと言われるのには、この話を避けて通れない。
この攻撃よりも守りを重んじる戦術(システム)は他にも影響を及ぼしている。
サッカーのような少ない得点を争う競技では、攻撃=チャレンジと言っても過言ではない。だが、今大会はその意識が非常に低く感じられた。
1対1の局面でも勝負しない。
得点を狙うというよりも、流れを切るためとしか思えない枠外ミドル・ロングシュート。
横パスばかりで縦パスが少ない。
リスクの高いボール回しよりも、ロングボールを使う。etc.
ナンボでも挙げられる。単に、それがチーム戦術と言ってしまえばそうなんだろうが。それにしても度が過ぎる。このままではより守備的、いや退屈なサッカーが蔓延していくのかもしれない。事実、クラブチーム単位ではその傾向はより顕著になってきている。
今年の各国のリーグ戦で優勝したチームの戦いぶりを観ると、やはり守備力を意識したチームが多い。唯一、時代と逆行して結果を残しているのはバルセロナくらい。
次回の南アフリカ大会はもっとスペクタル溢れるサッカーを観たい。
そして、亀のようにガードの堅い守備陣をズタズタに切り裂く新鋭ストライカーが出てくることも期待したい。
それが、日本人であればこんな嬉しいことはないんですけど…
ちょっと甘い?
ちょっとどころちゃうな…
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