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【史上最悪TPPで問う】
東京大学教授 鈴木宣弘氏 日本農業新聞[万象点描] 2012年4月19日第2面 『なぜ政治家になったのか』 環太平洋連携協定(TPP)問題が大きな正念場を迎えている。ゴールデンウィークに野田佳彦首相が訪米し、オバマ大統領に、正式に日本のTPP参加の「決意」を伝える計画が進んでいる。両首脳が「合意」したという形になれば、米国議会に対する日本の参加承認についての通告がどのように行われるにせよ、日本のTPP参加が実質的に約束されたことになりかねない。今回は、「与党での意見集約はするが、政府の判断はそれには制約されない」としており、強行する姿勢があからさまである。 昨年11月の日本の表明を受けて、米国が日本の参加を認める前提条件として、山のように突き付けてきた懸案事項に、日本が 日本が「何でもやります」と決意表明して、初めて日本の参加が承認される。しかし、米国の要求があからさまになれば、日本は騒ぎになる。例えば、自動車についても、軽自動車の区分、車検、エコカー減税などの廃止、米国車の日本市場におけるシェアの目標設定など、まさに「いちゃもん」に近い。
米国からの無理難題を白日の下にさらして議論し、「できないことはできない」と言えば、TPPの正式参加は止められるが、政府は、国民には曖昧にしておいて、正式参加にこぎ着けようと、必死の画策を行っている。「密約条件」をお土産に、米国にお願いして個別事項の表面化を押さえ込もうとしている。 各種説明会で政府から提出される文書には、TPPに対する懸念に対して心配がないことを意図的に強調しようとする工夫があからさまである。質疑時の回答も、懸念があることを認めるのは農水省のみで、あとは、まともに質問に回答しない。 一部の巨大企業とその資金に依存する一部の政治家、人事交流などで企業と一体化している一部の官僚、スポンサー料でつながる一部のマスコミのために、多数が雇用を失い、食料や医療も十分受けられなくなるようなTPPへの暴走が止まらない。 ごく一部の人々の目先の利益のために、国民を売り飛ばすのが、官僚、政治家、企業、マスコミの使命なのか。「良心の呵責(かしゃく)」というものはないのか。失うものが最大で、得るものが最小の史上最悪のTPPと明確に一線を画して、日本、アジア、そして世界にとって、均衡ある社会の発展と、人々の幸福につながる、真に互恵的な経済連携を、日本が先頭に立って提案していくことこそが、日本の使命ではないのか。 全国民に問いたい。国民に情報を与えず、米国からの要求を水面下に置いて、密約条件でごまかし、米国には、何でもやりますから参加させてください、と言ってしまいかねない政府を、国民として許していいのか。
そして、反対表明された良識ある政治家の皆さん、いま動かなくて、いつ動くのですか。何のために、政治家になったのですか。
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