7月は霞が関にとって人事の季節。
各省庁の異動情報が連日、新聞紙上をにぎわしてきたが、アノ男の名前がちっとも出てこない。財務省の「天皇」と呼ばれる勝栄二郎次官(62)だ。
10年7月に着任した勝は、今年6月19日に満62歳の誕生日を迎え、本来なら7月末で退官の予定だった。「事務次官の定年は62歳まで」が国の基本指針。今年3月、野田が本部長を務める「国家公務員制度改革推進本部」は、そう定めたばかりだ。
ところが勝は「増税法案の成立を見届けるまで続投する」 (財務省関係者) というのである。
野田の打ち出した指針をいきなり破り、8月1日から異例の任期3年目に突入。財務次官は通常1年間で交代し、2年目に入ると「大物次官」とされる。「10年にひとりの大物次官」と呼ばれた斎藤次郎元次官(現・日本郵政社長)でさえ、任期は1年11カ月だった。3年目なんて異例中の異例だ。
過去には、民主党の人事不同意で日銀総裁になり損ねた武藤敏郎元次官
(現・大和総研理事長)が00年6月から2年半務めたが、その前となると、
任期3年目に入ったのは1950年代の話。勝は50年にひとりの超大物次官の
つもりなのか。
「法律上、事務次官の人事権は各省大臣にあることになっていますが、あくまで
形式的なもの。トップ人事は省内の事情で決まります。特に財務省の場合、人事
に政治を介入させないことが不文律。その辺り、勝さんは抜群にうまいですから、
事前にあえて辞意を漏らし、官邸側に慰留させるよう仕向けたと聞きます。 しか
も、今回の人事で、勝さんが主導した“増税ライン”の主流派人事はほとんど動か
なかった。勝さんの後任次官は真砂主計局長が1年間務め、その次はエースの
香川官房長が既定路線。勝さんは周囲に“野田総理は思った以上によくやって
くれた”と話していて、増税法案に道筋をつけたことで、野田さんはもう用済みだと
におわせています」 (霞が関事情通)
増税法案の成立を花道に、年内で退官の絵を描いている勝次官。“半世紀に
ひとりの大物”ともなると引く手あまたで天下り先にも困らないだろう。
いつまで民主党は財務省のやりたい放題を許しているのか。