柴田よしき

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四十九院香澄は“その道では有名な”鉄道旅同好会に入会した。
鉄道に興味はなかったが、彼女には同好会に絶対に入らなければいけない理由があった。
急行能登、飯田線、沖縄都市モノレールゆいレールに、こどもの国、越後湯沢、雨晴、日光…。
一つの線路、一つの駅に集う多くの人々、様々な人生と交錯する中、彼女自身も自分のレールを敷きはじめていく。ありふれた日常をちょっぴり変える、珠玉の鉄道ロマン。          (内容「BOOK」データベースより)
 
 
最後のあとがきで知ったのですが、柴田さんは“鉄子さん”だったんですね^^
確かに今は“鉄子”と認められ、そんな冷たいあしらい方はされないと思うのですが、昔は違いましたよね。
いえ、私は別に鉄子ではなかったのですが、クラスにいたんですよ。
特にいじめられるとかでなく、必死に話されると周りがササーっとひく感じで。
また鉄道だけでなく今では“歴女”と言われるような人たちも「変わってるよねー」という目で見られたり。
どんなことであれ、その道(?)に詳しい人たちって尊敬できると思いますけどね。
 
さて本作。
うむ、電車に乗りたいぞ〜〜〜!(笑)
先程も言いましたが、わたくし、決して鉄子ではありません。
でもこれを読んでいると鈍行でガタンガタン揺られながら旅をしたくなるんですよ^^
ちょうど夏休みだし、息子を誘ってチョロっと行ってみようかしら♪
こんな気分になるのも柴田さんの「電車愛」が文章に見られるからでしょうね^^
飛行機と比べて、車と比べてどれだけ電車が魅力的か。
言われればなるほど〜と思うんですよね。
特にお酒を飲みながら移動できる・・・って私、お酒は飲まんやん!(笑)
いやいや何もしなくても連れて行ってくれる魅力が電車にはあるんですよね、うんうん。
ただ残念なことはどの沿線も全く知らないということ。
あまりにも地方色を濃く出されてしまうと、その地を知らない人にとっては少々距離を感じる面も。
行ってみたいとは思ってもあまり遠方だと難しいし^^;;
一番可能性があるのは「ゆいレール」かなぁ。
 
また、ぶらり電車旅の中でちょっとした謎もあり楽しめます。
しかし大きな謎、主人公四十九院(つるしいん)香澄が“鉄道旅同好会”に入った理由でもあるのですが、
行方不明となっているタカ兄ちゃん(じっさいはオジにあたる)のことはまだ未解決。
続編が出るようなので、楽しみに待っていたいと思います。
 
 
 
それにしても柴田さん、野球もお好きで電車もお好きで・・・他には何がお好きなのかしらん^^
天才ピッチャーでスターの麻由とくらべたら、わたしは等級の劣る地味な星。
でもそんなわたしの方が、素質が上だなんて…。
日本プロ野球のチームに、女性選手が入団。
東京レオパーズ所属の楠田栞は、左腕でアンダースローの中継ぎ投手。
客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由と励まし合いながら、プレイに、恋に、奮闘中。
プロ野球は、才能と運、その両方を掴んだ者だけが成功できる過酷な世界。
時にはくじけそうになりながらも、女であることも「幸運」のひとつなのだと、栞は自らに言い聞かせている。
そんなある日、栞は臨時投手コーチの雲野と出会う。
雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。
そして、とある目標のための特別指導が始まった…。         (内容「BOOK」データベースより) 
 
 
久し振りの柴田さんの新刊^^
緑子シリーズでも花ちゃんシリーズでもないのが少し残念ですが、柴田さんお得意の頑張る女性作品。
野球という特殊な世界ではありますが、野球をあまり知らない人でも十分に楽しめる作品だと思います。
 
天才ピッチャーの麻由に対して栞は普通のピッチャー。
しかし食生活や睡眠時間など生活の面から見ると栞の方がプロっぽかったですね。
ただ高梨との関係はいかがなものかとは思いましたけど。
いやいや麻由の恋愛についてもどうなんだか^^;;
普通に恋愛してよー。
もしくは一切ナシの方がよかったのか。
でもこんなドロドロが少し混ざることで女性プロ野球選手というちょっと離れた印象だったものが
グーンと近くなるんでしょうね。
なーんだ、彼女たちも普通じゃん!って。
・・・って普通じゃないか、こんな恋愛^^;
 
かなり自分の才能のことを卑下していた栞でしたが、雲野と出会うことで才能開花。
あ、まだ開花まではいかないのですが、これは大輪の花が開くでしょうね。
それも2時間そばにいたら骨まで溶けるという二枚目の片桐が女房役(キャッチャー)!!
麻由じゃなくともこれは嫉妬するよなぁ。
才能だけでなく男まで手に入れるのかぁ。
私も骨まで溶かされてみたいなぁ。
いや、好みとしては雲野のほうかしらん♪・・・と少々横道それながらも栞の活躍を応援したくなるんですよ。
横道それるのは私だけだと思いますけどね、えへ。
 
また栞だけでなく、麻由も高梨も成長していく話で読んでいてスッキリ。
ただ!!!
ラストがちょっと物足りなかった。。。
もう少し見ていたいよ〜と思っていたら“あとがき”に続いてしまって。
あー、試合の様子が見たかったなー。
続編が出ることはないだろうから、頭の中でよい方向で色々想像しとこーっと^^
 
 
 
そろそろ山内が恋しいんだけどな^^
 

柴田よしき 『輝跡』

野球の才能に恵まれ、中学生で「怪物」と呼ばれた北澤宏太。
家庭の事情で一度はあきらめた夢を追い、プロ野球選手になった彼を取り巻く女たち。
故郷の元恋人、妻となった女子アナ、ファン、愛人…。
女性の視点からプロ野球を描く切なさあふれる物語。    (内容「BOOK」データベースより)
 
 
あー、この形は面白い。
北澤宏太という野球選手を中心にしているが、主人公は全て女性。
それも上のあらすじにあるように色々な立場の女性の話です。
 
「星霜」はまだ宏太がプロに入る前に付き合っていた(?)穂波の話。
「ダーキニー 冬」「夏」「秋」「春」は高橋信之という野球選手を追っかけていた慶の話。
「手紙」はプロ野球雑誌を任されることになった美潮の話。
「菊姫」は元プロ野球選手の夫を持つ雪菜の話。
「ディーバ」は歌手のマリアが沖縄に行った時の話。
「洋紅葉」は宏太の別れた妻、茉莉の話。
 
で、困ったことにこの女性たち、あまり良い印象の人がいない^^;;
唯一、あまり屈折を感じなかったのはマリア。
あの「本気で聴きたいなら歌う」というのが印象的でした。
本だしマリアの声が聞こえるわけないけど、想像ができた^^
漫画の『サイファ』(古いなぁ^^;)に出てきたビッグママの歌声とダブったかな。
 
穂波はかなり「なんでー?」と思った。
その後、出てこないならまだしも「手紙」で再登場。
うーん、苦手なタイプ^^;
慶はひたすら信之ファンなんだけど、そっか〜、こういうファンもいるんだよねぇと
ちょっと遠くから眺める感じで^^;
私も野球選手にキャアキャア言っている時期はあったけど、短期間だったもんなあ。。。
美潮はその後、「え?」という立場で登場するけど、この話の時から嫌いだった^^;
雪菜は嫌な性格を見せているんだけど、憎めなかった。
最終的には落ち着くところに落ち着いているし。
茉莉は宏太の妻という立場になったものの、悲しい結末に。
野球選手の妻というのに憧れを持っている人は勉強になるかな。
 
で、宏太本人はと言うと多分とてもいい人、それで不器用。
魅力を感じるかと言われたらそれはない!(笑)
茉莉だって宏太に限っては・・・と思っていて裏切られたんだしねぇ。
あか抜けない真面目な青年が東京で東京色に染まりながら成長し、
その結果、やっちまったことなのかもしれないけど、どうしても宏太らしくなくって。
家族想いでいい人な分、読んでいる方もどーんと裏切られた気分でした。
 
それにしても熊本に福岡と私の住んでいた地域が出てくることがうれしかった♪
ここまで方言丸出しにしている若者は少ないと思いますが、変な言葉遣いにはなっていなかったと思います。
 
 
こういう女性ばかり読んでいると自分がいかに平々凡々な人なのかというのが分かるなぁ^^;;;

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東京丸の内、古びた雑居ビルの「ばんざい屋」に一人の男が訪ねてくる。
ばんざい屋と立ち退き交渉をするためだった。
一等地にある古いビルは建て替えられることになっていた。
ばんざい屋の女将・吉永は、立ち退くか、高額なテナント料を払い新しくなるビルにはいるか決断しかねていた。そんななか、常連客・進藤が女性の客を連れてきた。
一見、洗練されたキャリアウーマン風、だが、疲れていた。
その女性・川上有美が「竜の涙」という奇妙な言葉を発した。
死んだ祖母が、これさえ飲めば、医者も薬もいらなかったという。
客の誰もが不思議がるなかで、女将が推理した「竜の涙」の正体とは?
そして、有美が心に秘めた想いとは?         (内容紹介引用)
 
 
これは『ふたたびの虹』の続編になるんでしょうかね〜。
あらすじを探していて知りました^^;
柴田さん、かなり読んできたつもりでしたが、どうも抜けていたようです。
これだけ読んでも支障はないのですが、なんとなーくこの店の常連客になりそびれた感じがして、
読むのに時間がかかってしまいました^^;
 
読みながら思い出したのは北森さんの“香菜里屋”です。
料理がねー、たっくさん出てきます^^
それも京都の家庭料理というんですからお上品で美味しそう♪
なんとなく私にもできそうな料理ばかり(味は保証できないけど)というのがいいんです。
これがお店でないと食べられないものなら「いいなぁ〜」とヨダレを垂らして読むだけなのですが、
大根に柚子味噌を・・・なんてできそうじゃないです?
ちなみに読み終えた本日の目ニューはブリ大根。
完全に影響を受けています^^
 
と、料理に重きをおく分にはとっても面白かったと思います。
しかし謎の方はどれも覚えていないほど印象が薄い^^;
「霧のおりていくところ」は内容をすっかり忘れてしまっているし(昨日読んだのに^^;;;)、
「届かなかったもの」なんて謎でもなんでもない。
ただ「届かなかったもの」は鼻の奥にツーンとくる話で好きです^^
「気の弱い脅迫者」が一番謎らしい謎だけど・・・
ま、この竹下くんがとても良い人だから悪いことを書くのはやめよう。
美味しい料理を前にして物騒すぎる話というのも嫌ですからね。
これくらいの「おや?」という謎ぐらいでちょうど良かったということでしょう。
 
人物は有美、麻由、洋子の区別がつけにくかったです。
有美はさすがに問題を抱えてしまったので分かるようになったのですが、
洋子は年配ながらもその年を感じさせないせいかなぁー、麻由とよく間違っていました^^;
男性の話もあるのですが、どうしても女性が中心にあるように感じました。
やはり女将さんがメインだからかな。
 
 
内容は1週間もすれば忘れてしまいそうです。
でも『竜の涙』=「美味しそうな作品」ということだけは忘れません^^
 

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「家族」のかたちが見えればいいのに。
壊れはじめたら、すぐに分かるから。
借金まみれのキャバクラ嬢。
猫の集会を探し求めるカメラマン。
夫が死んだ日のことを忘れられない未亡人…
ひとりぼっちの人生がはじまった、それぞれの分岐点。
著者会心の傑作連作集。    (内容「BOOK」データベースより)


団地が舞台でその住人たちがそれぞれ主人公となっている作品です。

章ごとにそれぞれのあらすじと主人公を。

「最後のブルガリ」
絵里は悪くない人生を送っていた。
しかし母親の死とともに運命の歯車は回っていく。
借金地獄、父親が亡くなったと同時にその借金もなくなったはずなのに
キャバクラに勤め出してからは再び追われる身に。
その時救いの手を伸ばしてくれたのは高校の同級生、朱美だった。
転がり込んだ朱美の住まい、そこはニュータウンとは言えない団地。
そして朱美は「3日したら帰るから」と出て行った。
朱美が出て行って5日目、売れるものがないかと思っていると玄関のブザーが鳴り・・・
――絵里の話を見ていると怖くなりますね。
きっかけは病気だったわけですし。
まぁキャバクラに勤めてブランド品を買いまくるというのは私の年齢では無理ですけど(笑)。


「黒猫の団子」
朱美は高校を中退、その頃父親と母親の離婚は決定した。
いくつものアルバイトを経て現在はキャバクラ嬢。
ある日父親とバッタリ再会を果たす。
そしてなぜか父親の住む団地へと転がりこむことに・・・
――朱美と絵里の関係、女子だなぁ^^
朱美は本心から絵里のことを嫌いではないというのは分かりますね。
ただただ「何もしないことに腹を立てている」というだけで。
それにしてもこのお父さん、本来なら浮気で家を出て行ったということで恨みたくもなるのですが
なんだかいいキャラで憎めないんですよねぇ。
でもいずこへ・・・?


「遠い遠い隣町」
塚田里子の人生はどこで間違ったんだろう?
夫に先立たれ、隣町に住む息子夫婦とは疎遠になってしまった。
きっかけは何だったんだろう・・・
――うーん、嫁の立場からすると確かにこういう義母は敬遠したくなります^^;;
あ、煮物の一件はいいんですよ。
逆に大感謝♪♪♪
実際に私の義母の作る料理はどれも美味しくってありがた〜く頂いています*^^*
ただこの息子の嫁は違っていたんですよね。
そこからはダダダーっと溝が一気に深まるばかり。
育児に関していろいろ言われるのはつらいんですよねー。
現代は“楽に”育児ができるようになっているんだから、それを利用しない手はないと思うのですが。
あー、堕落母の言葉^^;;;
里子の
 五十五歳では遅過ぎる。
 五十五歳では早過ぎる。
これはなかなか重たい言葉でした。


「いつか響く足音」
宮前静子は3度目の夫と結婚したときにこの団地へとやっていた。
長男は暴力団構成員となり連絡もとっていない。
次男は医者になって幸せな人生を歩んでいる。
ようやく夫婦の幸せを手にしたと思ったのに、静子は再び不幸に襲われる・・・
――神様は意地悪だ^^;
こんなにも背負わせなくてもいいのにと思うくらい不幸が襲います。
静子がアクの強い人物ならまだしも、存在感の薄い人ですからね。
静子が犯した罪。
これも考えてやったこととするなら・・・やはり怖いなぁ。


「闇の集会」
猫の写真ばかり撮っている米山克也。
幼い頃住んでいたアパートの階段には母子の猫がおり、怖くて上れなかった。
そんな克也を見て母親は“男の子なんだから”と言う。
その母子猫が消えることを、死ぬことを願ったら本当にいなくなった。
それ以来、猫の復讐が怖い。
猫の集会のあと、自分を襲いに来るのが怖い・・・
――ということで、それ以来、猫の集会を探しまくる克也、なのです。
この章を読むまでは年齢不詳でしたが、多分若いですよね?
それにホモから好かれるみたいだし、いい男?
何かを願うことをやめるなんて人間には無理なことだと思います。
最後に克也自身も言っているけど、何かを望まないと次の一日が始まらない気がしますからね。
それにしても克也母、不幸なのですがそこまで息子に固執しなくても^^;;


「戦いは始まる」
絵里の人生、どうやったら立て直せるか?
ここに全員集合!!!
そして初登場の仲島恭平はどういう人物なのか?
――恭平の話は重かったです。
今ではそれこそ医療は発達していますし。
恭平夫婦が若かった頃には難しい、更に環境が環境ならば。
これだけ個性豊かで頭の回る人たちが揃えば、怖いもんなしですねー。
他人だし年齢もバラバラなのに一緒に過ごせる時間を持てるというのは羨ましいです。
それもこれも里子さんの料理のおかげ?!
美味しそうだもん*^^*


と、団地住人6人の話を読んだあとに迎える朱美視点のエピローグ。
きれいにおさまっていますね^^
団地というとそれぞれの部屋が家と思うけど実は・・・そう思えたことは幸せだと思います。



一つ一つの話はかなりどよーんとしているけど、トータルで見たら明るいようです(←何この言い方)。

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