えぇ!?獣医さんが鉄砲持つってヤバくない?

鉄砲もって、9年もたっちまった!あと1年で。。。

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2006年9月23日(土)

平成18年度東北地区獣医師大会公衆衛生学会に出席し、E型肝炎についての最近の知見を得たので報告する。




が、ひとつ前置きしておきたい。

「シカとシシのレバ刺し喰うときゃ命の覚悟キメとけよ!」

知らねーぞ、ホントに。

「加熱して喰えば安全なんだからな!」

もひとつ。

「ド勘違いして不買運動とかやらかすんじゃねーぞw」

たのむよホント。
えー、おほん。



講演で招かれたのは品川区東芝病院研究部長 厚生労働省E型肝炎研究班班長三代俊治先生であり、氏は1973年に東大医学部卒業から一貫して肝炎を追求している。
今回は「ZoonosisとしてのE型肝炎」という題目での講演であり、アガサクリスティの探偵小説の一節を借りて「未然の犯罪を防御する」と紹介するや、絵巻物を紐解くがごとく弁舌を披露した。
聴衆は見入り、時に笑い声をあげ、神妙な面持ちでメモをとった。
これ程のエンターテイメントな講演も稀で、筆者は途中ノートパソコンのキーを叩くのももどかしく、つたない情報提供であるが以下参照されたい。


キーワード:猪(Boar)鹿(Deer)豚(Swine)←花札の蝶にブタの顔が。。。

E型肝炎ウイルス(HEV)はこのほかにもネコ、沖縄のマングース(ジャコウネコ科)、ニホンザル、ネズミ 海外では牛、羊、山羊、犬、馬にも感染形跡(抗体)がある(RNAは未見)。

遺伝子タイプは大きく4区。日本へ上陸しているのは3型に属される。各動物により専属の遺伝タイプを持つ。RNAタイプウイルスであるため、変異性は激しい。

元来E型肝炎は海外渡航暦を持つものだけに発症すると考えられていた。ところが2000年に渡航暦のない患者がみつかったことで国内のE型事情は一変した。

E型肝炎の感染形態は、沖縄でワーフルと呼ばれ、韓国の一部地域で散見される人の便を豚が食べて感染する「糞口感染」(クロスコンタクト状態)が代表的だ。

ジビエと濃厚に関係しているフランス、ピレネー山脈でも野生動物を食し、トリュフを豚に探させることでヒトとのあいだに直接的間接的感染が起こっている。
ちなみに日本人のE型肝炎はアメリカ型に近く、ヨーロッパ型との関連性は薄い。
いずれも猪、鹿、豚のナマギモすなわち肝臓の刺身を食したことによる発症であり、劇症型E型肝炎のレポートがある。

自治医大岡本らによれば全国どこでも100%の飼育豚が感染していると報告されている。
ただし東北からのサンプリングはされていないし、経胎盤感染が成立しないため、SPF農場では陰性だ。

豚は1900年にイギリスから日本に輸入されている。
この時、英国から移民や文物の交流が盛んであり、3型代表であるアメリカカナダと遺伝学的祖先が一致していることからE型ウイルスもこの頃日本にもたらされたと考察されている。
豚から鹿、豚からマングースへのウイルストランスミッションが起こると考えられている。
沖縄ではハブを食べてもらおうと1910年にマングースを放獣したが現在ではヤンバルクイナを襲うなど、益獣よりは害獣として扱われており、駆除も開始されている。

現在判明している感染経路の26%は経口感染、渡航8%、輸血2%、そのほかのほとんどはunknownである。

お盆。北海道北見地区に13人の親戚が集まり、焼肉パーティをやろうじゃないかということになった。感染したうちの7人に抗体があり、2人にウイルスを検出。1人死亡。この中で1人が献血に行っていたことが判明。調べると、既に輸血が終了していた。発症するまえに肝機能を調べてみると、案の定肝機能増加。本来適用する段階にないINF製剤を厚生省に直談判し使用にこぎつけるなどして劇症肝炎発症前に取り留めた。

1年後。網走でも肝炎が確認された。前回の13人のウイルス型と一致する型があった。完全解決していなかったわけだ。今でもそのウイルスは北海道のどこかで生きている。
(筆者注:今年の3月にも、北海道で同じ型でヒトに発症報告があった。的中!)


「飛び火」

北海道の株が千葉、新潟、鳥取まで移動した。人の北海道への渡道暦がないことから「感染源」が移動している。
現在も日本のどこかにそのキャリアはひっそりと生きている。

---以下三代氏の講演資料より抜粋---
ブタ
我国の食用ブタのほぼ100%が飼育中にHEVに感染する。その感染は一過性で、食肉として出荷される6ヶ月齢には大半のブタがウイルス陰性になっているが、血中では陰性でも複製母地臓器(肝臓、脾臓、消化管粘膜等)や糞便中にはまだウイルスが残存しているという個体も稀ながら存在する。市販されているブタレバーの中にはHEV RNA陽性のものが若干含まれており、それを食して感染したと推定される事例も北海道から報告されている。
現在までに判明している「ヒトへのHEVの感染源たり得る動物種(HEV reservoirs)」の中で、ブタは、ヒトへの感染源として最も重要視すべきものである。例えば、インドネシアで行った調査で、ブタを食べるヒンズー教徒とブタとの接触すらタブー視されているイスラム教徒との間には、約10倍の抗体陽性率があった。(ヒンズー:イスラム=20% vs 2.0%)

(筆者考察:ということは、大昔からヒトとブタとでウイルスをやり取りしてきた歴史があるのかな。発症して死んじゃうヒトもいる一方で、感染しても発症しないヒトの方がずっと多かったんだなー。)

イノシシ
関東・紀州・兵庫・山口・愛媛・徳島・福岡・長崎・佐賀・沖縄(西表島)等の野生イノシシがこれまでに調査されているが、程度の差こそあれ、どの地域でも10-50%のイノシシがHEV抗体陽性であり、HEV RNA陽性個体も見つかっている。また、イノシシは、ヒトへの感染源になるのみならず、同じ森に棲息するシカへの感染源になったことを証明するデータも得られた。

ヒト
日本人のHEV抗体陽性率は上記のイノシシのそれに近いが、ヒトは感染源としては弱い。即ち、これまでに本邦でhuman-to-human transmissionが証明された事例は輸血例に限られており、A型肝炎でよく見られたような『患者家族内での二次感染』は未だ我国では一例も経験されていない。

シカ
イノシシで述べた兵庫県での事例が脚光を浴びたのでシカは非常に注目されたが、ヒトあるいは他の動物への感染源としては弱く、抗体陽性率もRNA陽性率も、シカはイノシシの1/10程度でしかない。
(※講演では北海道で2%のシカに抗体陽性であると報告された)

市販食品
可能性としては、上述した全ての動物に由来する食品が感染源となり得るが、これまでに報告されている『感染源となった市販食品』は、上述の、北海道で市販されていた『生ブタレバー』だけである(約2%がHEV RNA陽性)。シカの刺身を食べて感染した事例が確認されてはいるが、そのシカ刺しは市販のものではなく、猟師から分与されたものであった故、厳密な意味での『食品』とは云い難い。
イノシシ生ギモによる感染事例の場合も同様である。
狩猟で捕獲した動物を能動的に食べて感染する場合(=自己責任)と、市販食品を受動的に食べて感染する場合(=他者責任)との間には一線を画し、峻別して考えるべきであろう。

以上

閉じる コメント(22)

焼肉屋でモツとかレバーとか割り箸でつまんで焼いて、同じ割り箸でそれを口に放り込んでペロペロしてたらさ、やっぱ感染するよな。でもやっちゃうんだよねー。ビールとか飲んでると特に(笑)。まいったなー、もう。

2006/11/19(日) 午後 9:25 べと

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道庁主催のエゾシカ衛生講習会で話していた更に濃い内容ですね この頃、レバーは薫製かレバニラで喰ってますわ 気を付けなきゃね

2006/11/19(日) 午後 10:00 [ はんてぃんぐねっと ]

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最近ぼぇっと先生が獣医であるような気がしてきました・・・・

2006/11/20(月) 午前 8:21 [ おとうたま ]

社っ長さん、コメントありがとうございます。エゾシカ衛生講習会のご紹介内容、永久保存版でございます。私も勉強になってます。つーか、社長さんのエリアに養豚場とかなければ、普通に全部陰性かもしれません。東京の東芝病院研究部にシカのレバーでも送りつけて調べてもらってから食べるのもアリです。全然アリです。事前連絡が必要ですけどw

2006/11/20(月) 午前 8:35 べと

(まちゃ風で)であるような気がしてきましたァ!?・・・・ハァ?・・・・よろしい、合ってる!カンカンカン! カン!

2006/11/20(月) 午前 8:37 べと

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ずっーと・ずっーと大昔、肉の生食がメインディッシュだったころ、保存のためとか、食べやすくするためとかで、火を使って調理することを覚えたって聞いたことがありますか゜、肝炎でバタバタ死んだことも本能的に火を使うきっかけの1つになったのかも知れません。火を使わなかった者は自然に淘汰されたかも、肉の生食に対して極端に抵抗がある人がいますが、きっと、遺伝子にこのころの刷り込みが強いのかも、「残弾」はまったく抵抗がないから、自然淘汰されないように注意しよう...

2006/11/20(月) 午前 11:26 [ 残弾なし ]

残弾なしさん。人間の遺伝子を解析すると、ウイルスとの戦いだったようですよ。遺伝情報のそこかしこにウイルスの断片とおぼしき形跡が。遺伝子に残るくらいだから、レトロウイルスの類いであって、E型肝炎ウイルスとは全然違うんですけどね。結果的にその戦いの末に生き残った勝者の末裔が私たちですから。ま、強いわなぁ。 本当はエスキモーみたく、ナイフで腹かっさばいて生レバー口に放り込みたいのですが、じゃ、やれと言われて、やれるかなぁ。べとでもちょっと抵抗あるなぁ(笑)

2006/11/20(月) 午後 0:49 べと

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トラックバックをお送りいただきましてありがとうございます。E型肝炎のお話、ものすご〜く勉強になりました。私も焼き肉屋で食べるレバ刺しや肉の刺身などは大好きなのですが、さすがに今ではエゾシカ肉でそれを試そうという気にならなくなりました。しかし私の周囲には未だに「シカ刺し喰いてぇな〜」という人が少なくありません。こうして正しい情報が発信されることで、生食の被害が少しでも少なくなることを願います。

2006/11/20(月) 午後 1:53 [ 桔梗屋 ]

トラックバックをお送りいただきありがとうございます。E型肝炎についてはネットでの知識くらいしか無かったので大変勉強になりました。鹿のレバーを切った包丁、まな板なども注意しなくてはなりませんね。鹿刺しは何度も食べているのでもしかしたら過去に感染しているかも知れませんね。

2006/11/20(月) 午後 2:31 セラヴィ

桔梗屋さん、コメントありがとうございます。現場でノート叩いたメモそのままなんで、読みにくくてすみません。エゾシカが2%の保菌なのに対して、本州のシシが10〜50%の保菌。けれど、急性肝炎は北海道に発生。これってウイルスの強毒性が北海道では強いのかもしれません。北見周辺以外のシカなら安心!?(笑) 「シカ刺しはたまんねーぞ。死ぬ前に喰っておかないと損だぞ」と言い合って食べて、肝炎でひとり死亡。死ぬ前に喰えたので、幸せかな♪。。。なわきゃない!

2006/11/21(火) 午前 8:53 べと

seraviさん、シカ刺し食って、おいしい思いして、しかも生きてるなんて、ウラヤマシ杉♪ レバー切った包丁でサラダを作らないようにネ♪

2006/11/21(火) 午前 8:55 べと

始めまして、かなり興味深く読ませていただきました。なるほど、僕なんかこのような事は全く無知でバクバク食べていました、、、。 次回から調理するときに、気をつけたいと思います。手遅れじゃないといいのですが、、、。(怖)

2006/11/22(水) 午前 7:31 masyashi034

うろ覚えだったので調べてみました。北海道での感染は市販の豚の生レバーで、また兵庫県はニホンジカからの感染ですね。う〜ん、エゾシカの抗体陽性は2%か・・・。他人には絶対に禁止しますが、あとは自己責任ですね。

2006/11/22(水) 午後 1:14 セラヴィ

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いつもROMさせて頂いていましたが、この記事をTBをさせていただいたのでコメントも書かさせて頂きます。 非常に詳しい内容で本当に参考になりました。私事になりますが、丁度学校の卒業認定試験でE型肝炎がらみの問題が出たこともあって本当に参考になりました。 これから国試に向けて大事な時期なので大好きなナマレバ(豚)は少しの間だけ封印します。終わったら心おきなく喰いまくりです!

2006/11/22(水) 午後 8:11 [ 鍼灸あましのたまご ]

Masyashiさん南フランスからですか!しかもピレネー山脈!をー。らぶりー♪ ブタに探させたトリュフに付着したウイルスなんて、半日かまる1日ほっとけばもはや感染力なんてないですよ。ブタの鼻水付いたホクホクトリュフの匂いをばひばひ吸っちゃうから感染するんで。ま、感染してから1ヶ月後っていうのが急性肝炎発症期なんで。1ヶ月後が楽しみですね♪

2006/11/23(木) 午前 8:52 べと

seraviさん、ご丁寧に調査いただけて!感謝です。「あとは自己責任ですね。」。。お、なんだか強気むんむんですね。その意気込みやよし!べとも死ぬまでには一度人々が「くー、たまらねー」と口にする誉れ高いシカ刺しを。。。

2006/11/23(木) 午前 8:57 べと

鍼灸あましのたまご さん、こんにちは。TBありがとうございました!「大好きなナマレバ(豚)は少しの間だけ封印」。。。お、こちらも強気むんむんDeath!!なんかねー、千葉とか北海道あたりから「ブタの生レバは美味い」って声が聞こえてくるんですよー。美味いのかなー。危ないなー。でも魅力的だなー。なんで人間って、こういうちょっと危険な大人の遊びに魅力を感じてしまうのでしょうねー。。。。飲み屋でべろんべろんに酔っ払って、生レバ出てきたら、同僚から口に突っ込まれそう。。。勢いって、怖いですぅ♪

2006/11/23(木) 午前 9:02 べと

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べと 様
はじめまして、こんにちは。wildduckと申します。
自分も狩猟者です。先日、御ブログを知り、読ませて
頂いております。獣医師という専門的なお立場からのご意見
とても参考になります。勉強になります。ありがとうございます。
ところで、狩猟獣の生食によるE型肝炎の感染は、新聞紙上で
報じられているところでありますが、
先日、猟友から「ニホンジカには虫(住血吸虫?)がいるので、
さわらぬ(解体しない)方が良い」と忠告を受けました、その方は
ニホンジカの血液?から虫に寄生された猟友がいて、体調が悪いので
病院で診察を受けたところ、単位はわかりませんが、500匹オーダーの虫に寄生されていることが判明したが、駆除目的で投薬すると、
赤血球の数が減ってしまうの、投薬できないと医師に言われたらしい
のです。ニホンジカだけでなく、野生のイノシシなどには、住血吸虫
が寄生している可能性があり、また、獲物の解体(血液に触れる)
などで、人間に寄生してしまうものなのでしょうか?
アドバイスを頂けると幸いです。

2007/12/1(土) 午後 11:16 [ wildduck ]

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日本住血吸虫についてまずwikiで調べてみてはいかがでしょうか?
住血吸虫は偶蹄目から人へは直接感染しません。
ご安心ください。

いや、まてよ?
するかなぁ。
やせ細って逃げるのもおぼつかないような病気の鹿を
撃ち獲って、腹かっさばいて肝臓ナイフで切り取って
「生肝最高(゚∀゚)!」とか「うはwww十二指腸生食いwwヤバす」とかやればどうかな。なるかも。

そんな確率よりは、解体するときや肉を冷やす目的で生足になって小川に入る時のほうがセルカリヤの皮膚感染する確立の方がはるかに高いでしょう。
猟友さんは、川に入らなかった?

2007/12/3(月) 午後 3:44 [ べと ]

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べと 様
こんばんは、千葉県のwildduckです。
お忙しいところ、早速のご回答ありがとうございます。
あああ、安心しました。
自分も山梨県の笛吹川流域の昔話は聞いたことがありますが、
現在は撲滅した?らしい?というぐらいしか、知りませんでした。
とても勉強になりました。猟友が間違った認識をしているか?
勘違いといったところでしょうか。(解体のゴム手袋は必需品と思っていますが)
千葉県立博物館の研究者によると、千葉県最後の宮入貝の繁殖
地も、数年前には絶滅したようだ。と、言ってました。
(専門は二枚貝なので、吸虫は専門外、あくまでも貝の生息情報とのこと)
しかし、他の場所に絶対生息していないとの保障はありませんので、
素足で沢に入らないなど、十分注意したいと思います。
また、再度、その猟友に「沢に入らなかったか?」「吸虫感染」か
どうか確認してみたいと思います。
ありがとうございました。

2007/12/4(火) 午前 0:10 [ wildduck ]

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