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来迎寺そばで出されるのは板そばである。 つなぎなし、10割がそばの質実剛健が売りである。 来店時に空腹にこらえながら板蕎麦を注文する。 身欠きにしんなぞもあてとして添えるのも一興である。 腹が減る。 うずうずしながら待っていると、忙繁期でないときにはたっぷりした大皿に幾種類かのつけものが出されてくる。 それをちんまりつまみながら、セルフで急須に茶を入れつつ、お湯を注ぎつつまったりと過ごす。 やがて身欠きにしんが運ばれてくる。 割り箸で軽くつつくとほろりと崩れる。 どうやって魚のかたちのまま皿に盛ったのか、不思議なくらいのやわらかさである。 口に放ると、甘いような、しょっぱいような、絶妙のあんばいが旨みを引き出す。 そうこうするうちに、真打の登場である。 大ぶりの板に、上品にそばがちりばめてある。 猪口に薬味やそばつゆを入れるのももどかしく、小気味良い音とともにすすりこむ。 うまい。 ごりんごりんののど越しを楽しみつつ、どっしりとした満足感が腹に溜まっていく。 仕上げの蕎麦湯も猪口でいただく。 皿に残ったニシンの欠片なぞをちまちまつつきつつ、蕎麦湯をおかわりする頃には、大きな幸せが満腹中枢を満たしていく。 帰りがけは、店の裏手を流れる最上川を渡って団子屋へと決め込む。 千本だんごの「あんきなこ」である。 ちょっとした缶詰め1個分は使ったんじゃないかと思える餡の塗り加減である。 これで150円。 150円よ、150えん。 大満足の、夏の山形である。 |
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2012年09月16日
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