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2005年10月31日
パターンテストをしたことで、距離に応じた散弾の広がりがイメージできた。
中心部周囲に密集した弾痕は散弾の先頭から最後尾にかけて続くショットコロンを連想させる。
的を高速で横移動させて固定銃身からヒットさせればコロンの前後差が的に横に広がって距離が測れる。弾速と的のスピードとして三角形に展開すれば、コロンの長さは割り出せるだろう。そういう専門的な実験はメーカーにまかせるとして、ま、1メートルくらいじゃないのぅ?程度に簡単に想像した(なんか最後すごく強引な感じが)。
今日は19点をはじき出したなじみの射撃場にまた向かった。
講師に言われたように、当面20点をコンスタントに出せることが目標だ。
到着してサロンに顔を出すと、どうやらお客はもう引けたらしい。
場長と受付のおばちゃん、そして場長助手のおじさんの3人だけだった。
いつも通り元気良く挨拶して、そしてシングルトラップを申し込む。
今日は場長がプーラーをやってくれることになった。
「僕は隣町に住んでるんだけど、射撃が好きだからさ、だいたいここに来ているんだ。」と助手は控えめな笑顔で話してくれた。「忙しいときとか、大会があると、だいたい手伝っているんだよ。今日は僕も一緒に射台に入っていいかな。」
ぜひお願いする、と僕は答えた。
「今日は何枚だ。」と、板前が注文を聞くような笑顔で場長が言った。
「20枚、やります。目標っスけど。」僕が答えると、場長はかたかたと笑った。
当たり前だ、教習受けたのが9月末だ。
1ヶ月少しでどれだけのことが出来るというのだ。
前回19枚はまぐれ当たりということだってある。いや、むしろ実力というにはあまりにもスキルがなさすぎる。よくもまあ、大きいことを宣言したものだ。
1番射台に入り、僕はバックストップを眺めた。
山あいのクレー射撃場は陽が短い。北の斜面に広がる紅葉を傾いた太陽があたたかく照らしている。
温泉の香りが緊張した心を解きほぐしていく。ややもすると立ち昇る噴煙の音が聞こえてきそうだ。
「やれることをやるだけだ。基本をしっかり踏もう。」
はじめての射撃を思い出し、僕はひとつひとつ発砲までの手順を踏んだ。
肩の脱力、足の位置、ヒザのスイング、ストックの当て位置、先台の握り、銃床への頬付け、重心位置、照準、両目開眼、そして集中と、それからすこしの心の空白。
「あいっ」
左にオレンジ色の小粒がすっ飛んだ。そして轟音二発を振り切って、クレーはそのまま何事もなかったように飛び、減速して下降を始め、バックストップにこつんと当たり、崖の底へ転がり落ちた。
5番射台までに僕は2本を外した。
1番射台に戻り、そこでさらに1本外してしまうと、僕は観念した。
20枚なんて目標はムチャだった!!
あきらめて、残り集中しよう。リズムをつかむんだ。そしてステップを間違えずに刻んでいくんだ。
僕は残された1ラウンドを何も考えずに突き進んだ。
5番射台でどうにかクレーを捕り、後ろを振り返るとプーラーの窓を場長が開けているのが見えた。
そうか、ラウンドが終わったんだ。正直自分が何枚撃ったかさえ覚えていない。
「8割選手、おめでとう!」場長は叫んで、そして僕に向かって手を差し出した。
何を言われたかイマイチよくわからないまま、僕は場長に歩み寄った。
ま、まさか! おい、まさか!
そう思いながら僕は場長と握手して、そして聞いた。
「8割って、20枚っスか?」
「20枚だ。だから8割だ。本当におめでとう。」場長の握る手に、力が加わった。助手が銃架に散弾銃を置いて、拍手してくれた。
8割選手、そんな言葉があるの本当に?
僕がうれしさで舞い上がるなんて、あったっけ?
け、結婚式?。。。あれは緊張しただけだったなー。失敗できないもんなぁ。
ふ、筆。。やめとこ。
とにかく、20/25を僕は撃破した。
舞い上がって臨んだ2ラウンド目は19枚だったけど、なんかいいや、もう。
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