●のらいぬ【野良犬】 その最上級生らしき学生さんが、言いました。 「よしッ! 今日はみんな映画につれていってやるぞ」 「オース、先輩ありがとうございまーす」 「なんの映画にゆくんですか」 「よーし、今日は特別に黒沢明の名画だ、三船敏郎主演のノヨシケンというやつだ」 ”ノヨシケン”。 ま、その四年生の方は、実は、その、申しあげてよいやら、悪いやら。 あの、今をときめく巨人軍の監督をなさっていらっしゃる方なんですけど・・・。 (久保田二郎『手のうちはいつもフルハウス』話の特集より。註・この本は1979年に出版されたものである) 「新潮プロ野球大事典」(新潮文庫・刊) 何度もテレビ放送されている名画なのですが、有名な野球シーン以外は、きちんと観たことがありませんでした。 古本屋で1,000円で販売されていたので、購入。 ようやっとじっくり、鑑賞することが出来ました。 終戦直後の東京を舞台にした、サスペンス映画。 後に続く「刑事もの」の先駆けになった作品とも言われています。 復興に向けて歩き出したばかりの東京の街がリアルに記録されていて、それだけでも大変に貴重な作品になっています。 ほぼ全編に亘って、当時の「暑い暑い真夏の東京」が描かれていることも、興味深い。 あえてクーラーも扇風機も止めて、「暑かった日本」を思いながら鑑賞してみました。 三船敏郎さんの「目ヂカラ」は、やはり強烈。圧倒的な存在感。 志村喬さんは「黒澤映画の象徴的存在」と言われるけれど、個人的には「ゴジラの科学者役」というイメージが強かった方・・です。 前田吟さんの「憧れの俳優」だったそうですが、後年「親子」になったのはなんとも因縁深いですね。 黒沢監督の名前が刺激的なのは、『野良犬』の野球シーンが誇張でなしに、世界一すぐれたものであったからである。 クロサワが汎世界的な名声を博する監督であることは、『野良犬』の野球シーンに関するかぎりでは、絶対に疑いのない事実である。 (虫明亜呂無『スポーツへの誘惑』より) (同) 後楽園球場で”実際に”行われている「巨人VS南海」のゲームが登場します。 「赤バット」川上哲治さん・「猛牛」千葉茂さん・「ジャジャ馬」青田昇さん。 南海ホークスの投手は、武末悉昌さん。 杉浦忠さんが登場する前の、ホークスのサブマリン投手です。 「公式戦の実写映像」ゆえ、これも大変に貴重な記録映像。 虫明先生のお言葉を拝聴せずとも、その素晴らしさに感涙します。 正面玄関横にあった「丸窓」も、懐かしい。 「古きよき後楽園球場」が、蘇ります。 それにしても、「ノヨシケン」・・(笑)。 長嶋茂雄さんに、ぜひとも「映画の感想」を拝聴してみたいものです。 「巨人VS南海」というのもまた、なんとも示唆的・・ですね。 「世界のクロサワ」。 「羅生門」「七人の侍」も、もう一度じっくり観てみたいと思います。 |

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1リーグ時代ですね。たまには映画も見ないと。。。
2010/7/4(日) 午前 10:03
>ファイティさま
1リーグ時代です。そう考えても、非常に貴重です。
私も最近、映画を観る時間がありません。野球も、ほとんどがニュースのみです。。
2010/7/4(日) 午後 6:55
ノヨシケン・・・・・
韓国人の名前でも言っているのかと・・・・(笑)
2010/7/5(月) 午前 0:01
「ノヨシケン」発言は、あの方の「いわゆる一つのレジェンド」の代表として、これからもロングタイムで語り継がれることでしょう。
「刑事もの」の先駆けであるこの映画は、公開されてから60年経った今、「終戦からやっと4年」と「終戦からまだ4年」の両面をしっかりと描いた作品としての歴史資料的価値のある作品となっています。
そう考えると、三船演じる村上刑事と木村功が演じた犯人・遊佐が同じ境遇であるという設定は、「終戦からまだ4年」という当時の時代背景を踏まえた見事なものだと思います。
『野良犬』というタイトルが、自分の拳銃と事件を追う村上刑事だけでなく、世間からドロップアウトしてしまった遊佐のことを指しているようにも思えます。
「巨人―南海戦」は、『野良犬』が公開された昭和24年当時最も注目を集め、人気を呼んだカードでした。ここにも当時の世相がよく表われていて、黒澤の時代を見る眼の確かさとこの映画の持つ歴史資料的価値の高さを感じます。
その後の両チーム、そして「魔術師」と「親分」の因縁の対決の原点が観られるだけでもやっぱり貴重な作品ですね。
2010/7/6(火) 午後 8:33 [ mannennetaro2005 ]