王野球と、王野球に関する感想を求める何本もの電話にうんざりした数日前、吉本興業に勤めている友人のT君から、素晴らしい電話がかかってきた。 「もしもし。えらい夜遅うにすんまへん。 いや、べつに用事やないんですけど、久し振りにナンバ球場(大阪球場)へ野球を見に行って、ごっつう感動したもんで、ちょっと話がしとうなって電話かけましてん。 今日、ミナミのいつもの飲み屋で酒飲んどったら、珍しいことにテレビで南海と日本ハムの野球中継なんちうやつをやっとって、ふと見たら、七対七の同点で延長戦になってまんねん。 ほいで、こら面白そうや、ちょっと見に行ったれ思て、飲み屋飛び出して球場のほうへ走り出したら、あっちの飲み屋からもこっちの飲み屋からも人が跳び出して来て、皆、ナンバ球場のほうへ一生懸命走りよるんですわ。 ほんで五十人ぐらいが列になって、『早よ行かんと、また南海がコロッとコケて、試合が終わってしもとるで』とか『なんや団体で深夜のジョギングやりよるみたいやなあ』とか、阿呆なこといいもって三〜四分で球場に着いたら、切符売りの女の子が『いまは御招待させていただいております』なんていいよりまんねん。 何のこっちゃいなあと思たら、早い話が試合の終わりかけに行ったら無料(タダ)で入れるいうこって、『儲けた、儲けた』いいながらベンチ裏の席についたら、もうスコアボードの十回表の日本ハムのとこにあんじょう一点が入ったある。 なんや、せっかく走ってきたのに、また負けかいなあと、まあ、結局、南海はそのまま負けてしまいよったんでっけど、十回裏の最後の攻撃が結構面白かったんですわ。 というんは、一死(ワンダン)一塁でバナザードいう、ほら、今年新しい入りよった大リーガーが三振しよったんですけど、そのあとヘルメットをパカーンって地面に叩きつけよって、ほんでそれをポカーンって蹴っ飛ばしよって、おまけにバットをヒザに当ててベキッと折ってしまいよったんですわ。 ヒビも入っとらんバットをベキッとやりよったんでっせ。 それを見た子供が、『お父ちゃん、あのバッター、力あるなあ・・・』 いや、これ、ワテの作ったギャグとちゃいまんねん。 ほんまにあった話でんがな。 ほいで、その子供が『お父ちゃん、南海の野球もなかなか面白いもんやなあ・・』いいよりましてん。 よう見たら、その親子は、親父さんのほうが南海の緑の帽子かぶっとって、子供のほうは何もかぶってまへんねん。 これ、甲子園なんかとは完全に逆のパターンですわ。 それはともかく、バナザードがヘルメット蹴っ飛ばしてバットへし折りよったん、ほんまに迫力ありましたで。 そんなんジャイアンツの選手やったら、罰金でっしゃろ。 いや、まあ、罰金は取られいでも、行儀が悪いとか何とか、マスコミに叩かれまんのやろなあ。 可哀想なこってすなあ・・・。 けど、一年ぶりくらいに野球をナマで見ましたけど、やっぱりナマは面白おまんなあ。 だいたい、ミナミのど真ん中に野球場があるということ自体が凄いこってっしゃろ。 あないに広い土と芝生のスペースが、町の真ん中にドッカーンとあるんでっさかいな、改めてびっくりしましたわ。 ほれ、演出家のピーター・ルックが、東京で『カルメンの悲劇』やったときに、銀座セゾン劇場に土運んで、コンクリートの都市の真ん中に土の舞台をつくったとか何とか、えらい大層な理屈つけて話題になったことがありましたけど、そんなことしてわざわざ仰山の土運ばんかって、大阪には町の真ん中に、ちゃんと野球場がありまんのやさかいね。 ナンバ球場いうんは、偉いもんでっせ。 その広い土と芝生のスペースで、缶ビール一本飲んで、バナザードがバット折りよるん見て、ほんでまた飲み屋に戻って飲み直したんでっけど、ほんま気持ち良う酔えて、満足できましたで。 まだ行ったことおまへんけど、東京ドームいうような人工芝の屋根付きでは、こないなええ気持ちにさせてくれまへんやろなあ。 せやのに、近いうちにナンバ球場を壊すとかなんとかいうとりまんねん。 ほんま、惜しいことでっせ・・・。 けど、まあ、今度大阪へ来やはったら、声かけてください。 ナンバ球場のあるうちに、そこでバナザードのプレイを見まひょうや・・・」 『愛と幻想のベースボール』(玉木正之著・JICC出版局刊) 「最後まで読んでくれる方なんて、おらんやろなぁ・・」と思いつつ、でも、「ひとりでもふたりでも、読んでくれるひとがおったら最高やなあ」という願いに負けて、一生懸命、引用しました。 (著作権、大丈夫やろか・・) 1989(平成元)年5月発売。 学生時代に購入した本ですが、いまでも大好きで、愛おしくて、大切に本棚に置いてあります。 野球をより一層大好きにさせてくれた、「一生ものの宝もの」です。 福岡に嫁いでいったホークスが、25年ぶりに里帰りします。 「実家」はもうないけれど、「愛してくれたたくさんの家族」はきっと、大歓迎で迎えてくれることでしょう。 私も東京から、「”墓参り”ついで」で、馳せ参じますよ。 |
プロ野球の本
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四半世紀を経て「南海ホークス」に大阪で会える・・・もう感慨無量です。
2013/4/14(日) 午後 11:28 [ aout58 ]
>aout58さま
正直に言うと、試合そのものよりも「大阪で一杯やりながら昭和のお話が出来る」ことのほうが楽しみ・・という気分・・です。
また試合後に「グリコの前」で南海話、したいですね。
2013/4/15(月) 午前 0:02
相手側のチーム(オリックス)にきちんとネタ合わせをするホークス最高です!
マリーンズもオールドユニあるならビジターでもあわせてほしいです。。。
ファイターズはこの時代は黒歴史しかなく(爆)
2013/4/15(月) 午後 7:22