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「危機評価」と「目的」
「危機評価」とは起こりえる「危険」の具体化とその可能性を認識することであり、また
「目的」とはすなわち当該案件の目指す「安全」を具体的に把握しそのための方策が目指すものである。
このように表現すると難しく聞こえてくるが、わかりやすく言えば「何に対する危機管理なのか」と
「何のための危機管理なのか」を明確にするということであり、実際の危機管理というプロセスの
最も重要な第1段階のことである。
第1回目で挙げた例にある「夜道が怖いので防犯スプレーを買った」というのを例題として、今回は実際の手法としての説明とする。
まず「夜道が怖い」という部分が危機評価すべきポイントである。これだけでは普段の会話なら「日が沈めばどこを歩いても夜道だ」と言っておしまいだが、危機評価はこれを分析することから始める。
「どの道が夜になると○○のようになるから怖い」と具体的に「怖い」の根拠を明確にしなければならない。ここでは仮に「駅から家までの間にあるお寺の脇の路地が、夜になると明かりがなくて、痴漢が出るらしいから怖い」としよう。
この時点で危機評価を始めるが、この例の場合、具体的な危機と潜在的な危機があることに注意する。「痴漢が出る」と「暗くなる=不安(痴漢以外の犯罪者の可能性)」である。
危険の度合いを色で分けると、
ホワイト(ニュートラル)
イエロー(潜在的な危険)
オレンジ(まだ起きていないが具体的な危険)
レッド(急迫している危険)
という分類をしている。
このケースでは「痴漢が出る=オレンジ」、「暗い道=イエロー」とする。これを言葉で表現すると
「具体的な危機に遭遇する可能性が明らかにあり、別に潜在的な危険も多分に有する」ということになる。
次に目的であるがこれは優先度で設定する方法が最もポピュラーである。
このケースでは最も優先すべきは「痴漢の回避」であり、その後に「危険からの離脱」「排除・撃退」とする。つまり、「痴漢を回避する=遭遇しないように行動する」或いは「痴漢などに遭遇した際に自身の生命を保護しつつその場を離脱する」「遭遇した犯意者に何らかの反応行動を起こし自身の絶対安全範囲から排除する」ということである。
これで「危機評価」と「目的」、つまりスタートとゴールを設定したことになる。
このように危機管理のプロセスの中でスタートにあたる「危機評価」とゴールにあたる「目的」の設定が確実にできていないと、プロセスそのものが的外れになってしまい、場合によっては全く意味をなさない代物になってしまうことがあるだけに、如何に重要かということを認識していただけたことと思う。
なお、危機評価は危機管理のプロセスの中の選択肢を設定する際、その選択肢それぞれで同様に実施する必要がある。
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