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プロセス・デザイン

今回は危機評価と目的の設定に引き続き、目的を達成するためのプロセスをデザインするための思考についてである。

プロセスとは何か。プロセス=手段の開発、評価、選択、実行である。

目的を達成するためにどのような手段があるのか、そしてその手段の有効性はどうか、第2、第3の手段との比較評価はどうか、そしてどの手段を選択するのがもっとも目的達成に有効か、ということを考察することがすなわち「Processing」「Process Design」である。

ここでひとつ注釈を入れるならば、時間軸と準備計画との関連性について触れておきたい。
考察する時間があればあるほど手段は数多く開発でき、またじっくり考えることができる。
つまり前もって考えておくことにより、有効な手段をしっかり吟味した上で、オプション・プランも含めて用意できるが、事前準備なく突然危機的状況に遭遇した場合は心理行動そのままに動き、得てして危険を脱することができないことになる。なぜならばそのための時間がないからである。

また、一般にありがちなのは手段そのものを考察しているうちに目的を失していることである。
目的を最初に設定するのは、あくまで目的を失しないためなのだが、手段に固執するうちに目的の本質が変化してしまうことがよく見受けられる。それを防ぐためには1、十分に手段の評価をすること、平行している現状と比較することである。

前回に続いて例題に則って解説を続ける。

ここでは現状(前回の例題をそのまま使用)を仮に「寺の脇の路地以外にはやや遠回りで坂道になっている住宅街の道があり、道幅はやや広い。少しでも家に近く平坦な道を選んで通勤路に使っている。最近痴漢が出たという近所の話を聞いた。TVで紹介されていた防犯スプレーを購入しバッグに忍ばせている。またすぐに電話をかけられるよう携帯電話をかけながら歩くようにしている」と設定する。
この時点でこのケースでは「回避」ではなく「排除」を目的とした行動になっていることがはっきりしたので、第1目標との誤差を修正する必要がある。

誤差修正のポイントは通勤路だ。もし住宅街の遠回りの道であっても明かりがあるのであれば、明るく周囲に目を配りやすく、広く動きを取りやすい道を選びたいところだ。つまり「痴漢の情報がある道を避け、明るい安全度の高い道を選択」することで具体的な危機に遭遇する可能性を排除し、同時に潜在的な危険の可能性も回避することが可能となり、この行動によって第1優先目標にアプローチしたことになる。だがこの選択肢についても危機評価をしなければならない。常に危機評価は選択肢の比較の際にも実施しなければならない。

もう一つのポイントは防犯スプレーと携帯電話だ。もし防犯スプレーをバッグの隅や底などにしまっていたのでは、肝心なときには出せないため、せっかく持っていても出番がない(手段の未熟)。また携帯電話をかけながら歩くのは耳に意識が向き、目は見ているようで見えていない状態になる(手段の喪失)。また目はその向いているほうにしか効かないため背後などは耳が頼りなのだが、耳も会話に注意が向いてしまうため全く機能していないのに等しい。この状態で選択するべき行動は、催涙スプレーをポケットの中などで手に隠し持ち、周囲の人の気配などに意識を向け、物陰などに注意しながら歩くことだ。なるべく離れた距離から柱の影や曲がり角に注意を払い、早めに発見できるように意識する。
どんなにいい道具を持っていてもそのための準備がなければ結局使えずに役に立たないということになる。
また、携帯電話をかけるふりをして歩くという人もいるようだが、芝居をすることに意識がとられたり、または片手がふさがった状態になるなど、さほど効果は見込めないであろう。むしろ隙を作って犯意のある者にとっては格好の標的となっている。

手段を開発、評価、選択する上で以下の基準が指標となる。
・回避(事前の回避)
・監視
・反応
・脱出

このプロセス・デザインを組み込んで危機評価→プロセス→目的がきれいな一直線になるのであれば危機管理プロシージャーの基本部分が出来上がったことになる。
同時に別の手段も用いての第2、第3オプションプランを設定しておくことが望ましい。


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