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私は国際関係や社会の構造を考える際に、いつも身近な例にたとえて考える癖がある。
たとえば、政府と国民の関係なんかは、学校の教室内における先生と生徒の関係にたとえて考えることができる。
とはいえ、これはあくまでも喩えなので細かい部分では食い違っていることもあるだろう。
ただ、知らない人に難しい問題をわかりやすく説明する時には、こういうたとえ話が結構有効なのである。
今回は植民地問題に関する日韓関係を、破綻した夫婦関係にたとえてみたいと思う。
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私の知り合いの韓国(女性)さんは、十年前に夫である日本(男性)さんと離婚した。
もともと好きでした結婚ではなく、日本さんにレイプまがいの行為をされて脅されたうえでの結婚だったそうな。
結婚当時は少しでも反抗的なそぶりを見せると、日本さんから様々な暴力を受けてとても苦労したという。
日本さんが外で暴力事件を起こしてしばらく捕まっていた間に、韓国さんは日本さんの家から逃げ出したそうだ。
日本さんが刑期を終えて出てきた後も、韓国さんは家には戻らなかった。
しばらくの別居期間ののち、二人の離婚交渉は始まった。
結局日本さんは韓国さんに多額の慰謝料を払うかたちで、両者の離婚は成立した。
韓国さんは日本さんを見返してやるためにそれから猛烈に働いたそうだ。
日本さんからもらった慰謝料を元手に事業を始め、それなりに成功したらしい。
私はそれ以前の貧しかった頃の韓国さんを知っているので、「今はずいぶん生活も楽になったみたいですね。」と言った。
「うん。楽にはなったんだけどね・・・」と韓国さん。
「何か気になることでもあるんですか?」と私。
「最近またよくあの男のことを思い出してしまって眠れないのよ」と韓国さん。
「あの男」とは元旦那の日本さんのことだ。
また日本さんに対するうらみ節が始まるぞ。こりゃ、そろそろ退散しようかな、と私は帰り支度を始める。
「あの男はね、私が少しでも口答えしようものなら、殴るのよ。しかも顔をよ。ひどいと思わない?」
「そ、そうですね・・」
ああ、始まってしまったな。この話はもう何度目だろう。
一旦彼女がこの話を始めてしまうと、何時間も延々とうらみ節を聞かされてしまう。
しかも同じ話を何度も繰り返すので始末が悪い。
いつもは快活で気さくな女性なのだが、日本さんの話になると、ひたすら愚痴やうらみ言をリピートすることになる。そんな話を何度も聞かされるこちらの身にもなってほしい。
だからといって、途中で話を切って退席しようものなら、「西さんは私の話を聞いてくれなかった。ひどい。味方だって信じてたのに・・・」と私までうらみ言を言われてしまう。
だから、彼女が日本さんの話を始めてしまうと、私はただ黙って聞くしかない。
二人の夫婦生活が破綻してからもう十年以上になるのに、韓国さんはまだその問題を自分の心の中でうまく解決できていないようだ。
むしろ、離婚後十年の間、日本さんを見返してやるために働き続けてきた彼女にとって、日本さんへの恨みは、生きる原動力にすらなっているのかもしれない。
(続く)
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