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(上の写真)ネット上で適当に拾ってきてマリア・テレジアの写真(というか、肖像画の写真)。これって、著作権は大丈夫だよね?(笑)
歴史を勉強していると、すごく単純な疑問ほど難しいと思うことがあります。
たとえば、男系相続の問題などもそうです。
世界中の王家(もちろん日本の皇室も含む)の相続のやり方を見ていると、女系血族による相続よりも男系血族による相続の方が圧倒的に多いことがわかります。(中国しかり、ヨーロッパしかり、日本しかりです)
これは何故なのでしょう?
「君主が男性であることが多いから」というのが一つの答えでしょう。
でも「じゃあ何故男性君主が多いのか?」とさらに突っ込んで質問してみると、答えられる人は少ないと思います。
今回はこの謎について、私なりの仮説を述べていきたいと思います。(基本的に私の頭の中だけで考えた妄想なので、私の独断と偏見に満ちておりますが、そこはご了承ください)
以前から「男系相続には一つの危険性がある」と考えていました。
それは、「世継ぎとして生まれた子供が君主の子供でない可能性がある」という問題です。
女性の場合は自分が出産するわけですから、生まれてくる子供の母親であることは明白です。
でも父親は誰だかわかりません。
君主以外の男と性交したとしても子供は生まれるわけですから、もしお妃様が不倫していたら、君主の血をひかないお世継ぎが生まれてしまう可能性があるわけです。
もしその子の血筋を誰も怪しまなければ、君主の血を継がない子が次の君主になってしまうわけです。
これは実質的には王朝の断絶であり、血の連続性を尊ぶ王室においてはとても大きな問題でしょう。
だから中国などではそういう事態を防ぐため、皇帝のお世継ぎを生む可能性のある女性をすべて宮廷の一角に隔離して、普通の男(=生殖能力のある男)との接触を禁じたわけです。いわゆる「後宮」の誕生です。
しかし、この後宮の維持費というのは常に国家財政を圧迫しますし、後宮は一般官僚が出入りできない「密室」であったために様々な陰謀の舞台になります。
それほどのデメリットを背負ってまで、男性君主、ひいては男系相続にこだわらなければいけない理由は何だったのでしょう?
日本の女系天皇問題に関して、男系相続の根拠をY染色体の継承という面で説明しようとする人もいますが、私はこれナンセンスだと思っています。
だって天皇制が始まった時代の古代人達がY染色体の存在を知ってたはずがありませんから。
日本の皇室で男系相続が続いてきた理由は、別のところに求めるべきでしょう。
「君主の血を継がない世継ぎが生まれる危険性を内包しながらも、何故男系相続が一般的なのか?」
という問題に関する私の答えは単純明快です。
それは、
「女性君主よりも男性君主の方がたくさんの子供を作るのに有利だから」
だと思います。
言うまでもなく女性の場合は妊娠から出産までを自分が引き受けなければいけません。
妊娠してから出産するまでの1年足らずの期間には次の子供を作ることができません。
さらに前近代において出産は死の危険を伴うものでした。
そのために一人の女性が、生まれてから死ぬまでに産める子供の数はたかが知れています。
生殖可能な期間も女性より男性の方が長いです。
女性の場合50過ぎて子供を生むことは珍しいですが、男性の場合は十分ありえます。
そういうわけで、女性君主よりも男性君主のほうがたくさんの子供を作るのに有利なことは明らかです。
生まれた子供がほぼ確実に大人になれる時代なんて、人類の歴史の中で見ればほんのここ数十年の現象です。
それ以前の時代においては乳幼児の死亡率はとても高かったのです。
そういう時代において王家のように、「絶対にお世継ぎを残さなければいけない」家の場合、とにかくたくさん子供を作る必要がありました。
そんな状態で、女性君主がひたすらたくさん子供を生もうとしたとしても、ほとんど不可能です(マリア・テレジアのように治世と出産を両方こなしたスーパーウーマンもいますけど、あれは例外でしょう。普通の女性には真似できませんよ)。
王朝というものは、「始祖から連綿と血によってつながっている」という共同幻想のもとに成り立っているシステムです。
お世継ぎが生まれなければ即崩壊してしまうシステムなのです。
そういうシステムのもとでは、「生まれた子供が君主の子じゃないかもしれない」というリスクは、「お世継ぎがいない」という絶望的な状況に比べれば小さなものなのです。
だって「お世継ぎがいない」というのは誰が見ても明白な事実であるのに対し、「お世継ぎが前君主の血をひいていないかもしれない」という問題はどこまでいっても疑惑の域を出ないからです。(今ならDNAを調べたりすればわかるのでしょうけどね。昔はわからなかったでしょう)疑惑ならば握りつぶしてしまえばよいのです。
というわけで、世界の王家などで男系相続が一般的な理由として、私は「男性と女性の生殖能力の差異」を挙げたいと思います。
他にも面白いご意見などありましたら教えていただけるとうれしいです。
それでは、また。
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