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(写真1枚目)ソウルの梨泰院(イテウォン)にあるモスク
(写真2枚目)モスクの入り口
(写真3枚目)ムスリムのための旅行会社
(写真4枚目)ムスリム食品店
(写真5枚目)ムスリムレストランでのティータイム。トルココーヒーとお菓子(名前を忘れた!)
(写真6枚目)お土産に買ったトルコのお菓子
もう半年も前のことになるが、私はロシア人の友人と一緒にソウル梨泰院(イテウォン)にあるモスクに行ってきた。
梨泰院は、近くに米軍基地があることもあり、古くから外国人の多い地区であったが、最近は米軍基地とは特に関係のなさそうなムスリムが増えているという。
梨泰院(イテウォン)の名前の由来としてよく挙げられるのが、「異胎院(イテウォン)」伝説である。1592年〜1597年の間に行われた秀吉の朝鮮出兵(いわゆる「文禄・慶長の役」)によって日本人と朝鮮人のあいの子がたくさん生まれ、その子供たちをこの地に集めたため、異胎院(イテォン)と呼ばれるようになり、その後発音が同じ「梨泰院」に名前が改められたというものである。
この伝説は、観光ガイドブックなどにもよく載せられているため、知っている人も多いとは思うのだが、私はこの伝説はただの言い伝えに過ぎないと思っている。
その理由は、「イテウォン」という地名が秀吉の朝鮮出兵以前にあったためである。15世紀後半に編纂され、16世紀初めに増補された『新増東国輿地勝覧(しんぞうとうごくよちしょうらん)』という地理書の中に「利泰院(イテウォン)」という地名が見られ、これが現在の梨泰院の名前の由来であると思われる。
また、「異胎院」伝説を主張する人々がよく典拠として用いるのが『林下筆記』という本であるが、これは19世紀の李裕元(イ・ユウォン)という人物が書いた後世の記録であり、当時そのような言い伝えがあったことはわかるが、歴史記録としてははなはだ疑わしい。
そういうわけで、私は「異胎院(イテウォン)」伝説については、疑問視せざるを得ないのである。
さて、ウンチクはここまでにしておいて、梨泰院(イテウォン)のムスリム街についてのレポートをしよう。
モスクは地下鉄梨泰院駅を出て東南側の坂を登ったところにある。近くに「梨泰院ランド」というチムジルバン(日本の健康ランドみたいなもんか)があるため、知っている人も多いかとは思う。
坂を登っていくと、少しずつイスラム系の文字や物品が増えていく。建物のつくりは完全に韓国の街なのにもかかわらず、文字や品物や、ムスリムっぽい人たちが増えてくるので、何だか不思議な気分だ。
イスラム書店があったので、同行のロシア人と一緒にそこに入ったところ、店番をしていたムスリムのお兄ちゃんに熱心に布教をされてしまった(笑)。
その後、ムスリム街を抜けてモスクへと入った。モスクの事務室に行き、モスクの中を見せてほしいと言うと、正門を開けて中を見せてもらえた。
このモスクには二つの入り口があった。正門は男性信者のための入り口で、女性は別の小さな入り口に回らなければいけないようだ。ムスリム版「男女七歳にして席を同じくすべからず」という考え方によるものであろうか。
このモスクはテクォンドー道場の一部を借りて(明らかに道場そのものより大きいけど)作ったもののようで、そのためかモスクの中にテクォンドーの車が止まっていた。
韓国的なものの象徴とされるテクォンドーと、思いっきり異国的なモスクが同居していることに面白さを感じた。このモスクも、また韓国内のムスリムたちも、韓国社会と共生しつつ自分たちの信仰や生活を守っていくためにこれまでたくさんの努力をしてきたのだろうと思うと、胸が熱くなった。
モスクを出て「お茶でも飲もうか?」という流れになり、ムスリムレストランに入った。
そこでトルココーヒーとお菓子を頼んだ。トルココーヒーはコーヒー豆を粉状にしてそのまま煮出して飲むコーヒーだった。西洋式のフィルターで漉す方式ではないため、コーヒーカップの下にコーヒー豆が残って、飲んでいると口の中がジャリジャリする。奇妙な感触だった。
お菓子の名前は忘れてしまったのだが、パイ生地の下に豆をつぶしたあんのようなものが入っていて、とても甘かった。苦いトルココーヒーとはよく合っていた。
店員はフィリピン人だった。まだ韓国に来て日が浅いのか、韓国語はあまりうまくはなかった。「韓国は寒くて大変でしょう?」と聞くと、「そうです」と言っていた。
支払いの時に驚いたのは、料金に付加税が加算されたことである。韓国のホテルの食堂などで食事するとたまに付加税が加算されることがあるのだが、それと同じものだろう。この付加税というのが何なのかわからないのだが、特定の店にだけあるもののようである。
その後、ムスリムマートでトルコのお菓子を買った。同行のロシア人が、「子供の時よく食べてた。これがおいしいんだ」と言うので、一つ買ってみて二人で分けて食べることにした。
甘〜〜いグミ状の中身に粉砂糖をこれでもかとまぶしたものすごく甘いお菓子だったが、中にナッツが入っていて結構おいしい。食べ始めると止まらなくなる不思議な魅力があった。
(ロシア語で「рахат-лукум(ラハト・ルクム)」ということを後になって知った。)
さて、梨泰院のムスリム街の話はこれでおしまい。
ムスリム街といってもそんなに広いものではなく、モスクに向かう坂道一本分にムスリム関連の店が立ち並んでいるだけなのだが、韓国でこんな風景は珍しい。これを読んでいるあなたもソウルに行く機会があれば、一度立ち寄ってみてはいかがだろう?
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