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店主の西貢が日々考えたことや体験したことをつづるブログです!

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今朝yahooジャパンの記事を見ていたら、台湾の馬英九総統が「尖閣はわが国の領土」と主張したという。
参考URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110722-OYT1T00130.htm

台湾が尖閣諸島を自国の領土と主張しているなんて話は中学生の時から知っていたので、私は別に驚きもしなかった。単に台湾の総統として政府の公式見解を述べたまでだろう。

しかし、結構多くの日本人がこの発言にショックを受けていたみたいだ。
ネット上の意見を見てみると、「台湾は親日国だと思っていたのにどうしてこんな反日的な発言をするのか」というような書き込みがあった。

こんな発言ができるなんてよっぽどおめでたい人たちだと思う。
どうして台湾は親日国だから、「尖閣は台湾の領土」と言わないと思ったのだろうか?

私がこのような日本人の意見についておかしいと思う点は、二つある。

一つ目は、台湾の国民がいくら日本統治時代をなつかしがり、日本文化に共感とあこがれを抱いていたとしても、そのことと領土問題とは全く別物だということである。「それはそれ、これはこれ」という発想である。
台湾は親日国だから日本にとって都合の悪いことは言わないはず、なんていうのは日本人の勝手な願望でしかない。

二つ目は、ある国を「親日」だとか「反日」だとかレッテルを貼ること自体がナンセンスだということである。
一つの国の国民がすべて同じ考えを持っているなんてことはあり得ない。日本人に色々な考えの人がいるように、台湾にだって色々な考えの人がいる。
元台湾総統李登輝は以前に「尖閣は日本の領土」と主張して日本人を喜ばせたというが、それは李登輝がそういう考えの人だったというだけである。全ての台湾人の意見を代弁していたわけではない。

さらにいえば、一人の人間にしたって、100%親日的(反日的)な人間などいない。
ある程度日本のことを知っている人なら、「日本の〜なところは好きだけど、××なところは良くないと思うな」となるのが当然である。
それを、「〜なところは好きだ」のみを取り上げて「親日」だとか「××なところは良くない」のみを取り上げて「反日」だなんて言ってみたところで、むしろ現実認識を曇らせるだけで、何の役にも立たない。

台湾の「親日問題」をめぐる日本人の発言を見ていていつも気持ち悪いと思うのは、日本人があくまでも日本人の利益のために台湾人の「親日」を褒め称えている点である。
そういう言論の中に登場する台湾人は、日本の支配をなつかしがる親日的国民であり、外省人と中華人民共和国に圧迫されているあわれむべき人々であり、日本が独立を応援してあげなければならない存在として描かれていることが多い。

私は以前からずっと、日本人のもつそういうステレオタイプ的な台湾イメージに違和感を感じてきた。
その違和感の原因は、このような台湾イメージを通して、日本の脆弱な自我が透けて見えるためだと思う。
よく知られているとおり、日本は近代化の過程で台湾・朝鮮を併合し、中国への侵略戦争をおこなった。
その結果、韓国・中国に今に至るまでその責任についての謝罪を求められている。
しかし日本は韓国と中国の謝罪要求に対して真摯な対応を行なっていない。
それは、自分たちの過ちを認めると、近代日本の歩みそのものを否定しなければならなくなり(実際にはそう思い込んでいるだけなのだが)、日本の脆弱な自我が崩壊しかねないからである。

実際には他国に対して過ちを犯していない国など存在しない。どこの国も多かれ少なかれ他国に迷惑をかけながら生きている。
しかし日本は、「他人様に迷惑をかけることは最大の罪」という文化のためか、それとも他国との交渉が圧倒的に少ない島国的歴史経緯のためか、他国に迷惑をかけたという事実の重さに恐怖し、過剰に反応することが多い。
自分たちの過ちを認めようとせず「いいこともしてやったじゃないか」とか「他の国だって似たようなことをやったのに何故ウチだけが謝らなければいけないんだ」といって謝罪を回避する日本政府のかたくなな態度は、一部の「進歩的知識人」が日本の侵略行為を過剰に告発する態度と、基本的には同じ過剰反応の表と裏に過ぎない。

日本人は過去の過ちに対する怯えから、謝罪を回避しようとあれこれ画策するものの、韓国・中国は日本のそんな態度を許してはくれない。
そんな状況下で「日本人はいいこともしてくれた」と日本をほめてくれる台湾は、日本人の傷ついた自我を癒してくれる唯一の存在なのだろう。

日本の「親台派」を自称する人士の中には、台湾を日本の属国程度にしか考えていない人がかなりいる。
そういう人はあくまでも「日本の利益のために」台湾の独立を応援する。
だから台湾の政治家が中国との関係を重視し始めると、その政治家を批判する(馬英九総統もそのためによく批判されている)。
このような日本人は真に台湾を愛しているのではない。自分たちの思い通りに動く「親日国」を愛しているだけであり、それは台湾を対等の独立国と見なしていない態度である。
だから私は台湾独立を訴える日本人の「親台派」に違和感を覚えるのだ。

台湾が独立するか否かはあくまでも台湾人自らが選択すべき問題である。
日本人が日本の利益のために台湾の独立を主張するのはただのエゴイズムでしかない。

台湾人は日本人のために生きているわけではない。
彼らにとって大事なのは日本がどうなるかではなくて、自分たちがいかに生きていくかである。
自分たちが生き延びるためには日本に接近もするし、状況に応じては中国(大陸)との関係の方を重視したりもする。そして、領土問題に関しては自分たちの立場をはっきり伝えることもする。

そんなのは当たり前のことなのだ。
どこの国もやっていることであり、台湾だって同じことをやっているだけなのだ。
なのに何故台湾が「尖閣諸島はわが国の領土である」と主張しただけで、「台湾は親日国だと思っていたのに」とまるで裏切られたかのようなことを言うのだろうか。
台湾は日本の属国じゃない。(国際的に国家として承認されてはいないが)実質的に独立国なのだから、たとえ日本の国益に反したとしても、自分たちの都合で動いて何が悪いのか。


「親日国」とか「反日国」なんていうレッテルを貼るのは、国際関係を見るうえで、百害あって一利無しである。
100%親日な国や100%反日な国なんてものは存在しない。
全ての国は、(自国の利益のために)協力できる部分では協力し、対立すべき部分では対立する。それは時と状況に応じた打算的な行為であり、ギブアンドテイクで動く「大人の付き合い」である。
「あの国は反日国だから、付き合うべきではない」、「あの国は親日国だから協力してくれるはずだ」なんていう極端な意見(実際によくあるから困るのだが)は、「○○ちゃんは私のこと馬鹿にするから一緒に遊ばない」、「××ちゃんは友達だから私と遊んでくれるはず」なんて言っている小学生の仲よしグループとほとんど変わらない。

日本のやることを全て肯定してくれる100%の「親日国」なんて存在するはずはないし、日本を批判する国を全て「反日国」とレッテル貼りして敵視していたら、まともな外交関係なんか結べるはずはない。
それがわからないから、日本はいつまでも「外交音痴」と言われ続けているのではないか。

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