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店主の西貢が日々考えたことや体験したことをつづるブログです!

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研究者はサービス業?

とある学会誌に投稿した論文が、「修正後掲載」という結果になった。
これは、「あなたの論文を雑誌に載せてあげてもいいけど、こちらの要求どおりの修正をしてね」ということである。
それで今、修正作業に取りかかっているわけだが、修正要求というのは結構「無いものねだり」の場合も多く、全て要求どおりに修正できるわけではない。
 
こういう作業をやっていると、「論文の修正要求というのは顧客のサービス改善要求に似ているなあ」と思ったりもする。
相手の要求に全て応えられるわけではないが、なるべく相手を満足させられるようにこちらも努力する必要がある。
それは顧客を満足させることを業務とするサービス業に似た部分がある。
結局研究なんてものもサービス業の一種なのかもしれない。
3、威化島(ウィファド)と北朝鮮レストラン(9月21日)前編

ハオユエンビジネスホテルで快適な一晩を過ごした私は、さらに今日と明日のぶんの追加宿泊を願い出た。
宿の従業員は私がさらに泊まることには了承してくれたが、そのかわりある条件を付けられた。
どんな条件なのか理解できなかったが、書いてもらってようやく理解できた。
その条件とは、「もし公安に『この宿にいつ来たのか?』と聞かれたら、『今日来たばかりです』と答えてほしい」ということだった。
昨日から泊まっていたとは答えてくれるな、ということらしい。
それを知って、「ああ、やはり」という気がした。

やはり「日本人お断り」というのは単なる宿側の判断ではなく、公安の指示によるものだったようだ。
きっと昨日から泊まっていたと答えたら、宿側も何らかの処分を受けざるを得ないのだろう。彼らは私のために危ない橋を渡ってくれていたらしい。

さらにここで新しい事実も発覚した。
私は前日に150元の部屋代(実際にはデポジット込みで300元)を支払っていたが、あの部屋は実際には368元の部屋だったらしい。
(テレビがうまく映らないとか風呂場の電気が点かないとか色々問題はあったけど)チェンシャンホテルの価格に合わせて割引してくれていたらしい。
そのことに感謝するとともに、二日目以降は正規の金額を支払わされるのではないかと私はドキッとしたが、支払いはチェックアウトの時でいいと言われたので、宿泊費が合計でいくらになるかは今のところまだわからない。

部屋で出かける準備をしていると外から爆発音のような大きな音が聞こえてきた。
パンパンパンッ!と銃声のような音がしたかと思うと、ヒュ〜と何かが飛んで行くような音がした。
これが何回も繰り返されるものだから、私は緊張した。

まさか戦争ということはあるまいが、近くで軍事訓練でもしているのだろうかと思った。
宿の人に「爆発音のような大きな音がしたでしょう?」と聞いてみたのだが、宿の人は「そんなの知らないよ」と全く関心が無い様子。

外を歩く人々もきわめて平常どおりなので、別にたいしたことではないのか?と思いながら外に出る。

駅に向かってずっと歩いて行くうちに爆発音の理由がわかった。
街中でやはり前に聞いたような音が鳴り響いているので、音の原因を突き止めようと、音のする方に近づいてみた。
すると、結婚式場の前で男達が数人で打ち上げ花火のようなものを打ち上げていた。
パンパンパンッと爆発して花火がロケットのように空へと舞い上がった。
耳をつんざくような爆発音と大量の煙。
知らない人がこれを見たら市街戦でもしてるのかと思うだろう。
通行人たちはあまりの爆音に耳をふさぎながら通り過ぎていた。

なるほど、結婚式の祝砲だったのか、と私は納得した。
中国ではお正月にも爆竹を鳴らして新年を祝うくらいだから、結婚式の時にもこういうことをするのだろう。

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市街地に立ち込める硝煙。これが結婚式のお祝いなのだから驚く。(遼寧省・丹東にて)
  

私は中国で新年を迎えたことがないのでどれだけ騒がしいのか知らないが、経験者によると中国のお正月はきわめてうるさいそうだ。
これは日本とも韓国とも違う。
韓国は正月になるとみんな帰省して実家で静かに新年を迎えるので、ソウルの町は途端に静かになる。
中国のようなにぎやかさはそこには無い。

駅まで歩いて、そこで瀋陽行きの切符を買った。
硬座(普通の座席)37元。
瀋陽―丹東間のバスが82元だったことを考えると、半分以下の値段である。
長蛇の列に並んでかなり待たされたが、いい買い物ができたなと思う。

中国はどこでもそうなのだが、駅の切符売り場はいつも長蛇の列である。
お客の数に比べて圧倒的に窓口が足りてないのだと思うが、そんなに長距離移動する人が多いのかと不思議になる。

丹東駅はでっかい毛沢東の像がある以外は特に特徴もない駅だったが、一つ驚いたことは、バスの切符売り業者(おそらくダフ屋)がほとんどいないことだ。
私が今までに見たことのある中国の駅には、必ずといっていいほどバスの切符売りがいたものだが、ここではほとんど見かけなかった。
ひょっとしたら隣のバスターミナルの方にいたのかもしれないが。
 
イメージ 5
 鴨緑江の岸辺。奥に遊覧船乗り場が見える。
その後、鴨緑江沿岸まで歩き、遊覧船に乗ってみた。
60元。
お客はほとんど中国人ばかりのようで、中国語しか聞こえてこなかった。
もう少し韓国人がいてもよさそうなものだと思ったが、韓国語は聞こえてこない。
遊覧船はまず鴨緑江中州の島、威化島(中国語ならウェイフアダオ。朝鮮語ならウィファド)に接近した。
威化島は西暦1388年に遼東攻撃を命じられた高麗の将軍李成桂(イソンゲ)が陣を敷いた島で、今は北朝鮮の領域になっている。
威化島はひたすら草が生い茂る起伏の無い島で、時々目に映る北朝鮮兵士の詰所を除いては人工物らしきものは見えず、てっきり人が住んでいないのかと思っていた。

しかし舟が鴨緑江をさかのぼるにつれて少しずつ住居の姿が見えてきた。
住居は二階建てから三階建ての西洋式建築で、今は古びてしまっているとはいえ、北朝鮮ではかなりの高級住宅に見えた。
川で泳いでいるスイマー(おそらく北朝鮮の人だろう。何のために泳いでいるのかはよくわからない。やたらに愛想がよく、こちらに向かって手を振ってくれる人が多かった)や川で洗濯しているおばさんや、老朽化して打ち捨てられた船で遊んでいる子供たちの姿が見えた。

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何故か国境の川を泳ぐ人々。彼らは北朝鮮の人だろうか?(遼寧省・丹東の鴨緑江上にて)

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北朝鮮の子どもたち。打ち捨てられた船に乗って遊んでいる子どもの姿も見られる。(遼寧省・丹東の鴨緑江上にて)

北朝鮮はこんなにも近いのか、と思った。
こんなにも近いのに、向こう岸に渡ることはできないのか。
こんなにも近いのに、こちらと向こうでは別の国で、全く違った言葉を話す人々が全く違った生活をしているのか、と思った。

国境線がはっきりと見えない日本という国で生まれ育った私にとって、これは初めての国境体験であり(韓国から北朝鮮へと越境したことはあるが、あれは厳密な意味での国境ではない)、大きな衝撃だった。
さらに相手が北朝鮮という謎に包まれた国だからなおさらである。

中国人観光客たちは「ニーハオ」や「ハロー」と叫びながら、北朝鮮側に手を振っていた。
誰一人として、「アンニョンハシムニカ(こんにちは)」や「パンガプスムニダ(お会いできてうれしいです)」と朝鮮語で叫ぶ者はいない。

私が「アンニョンハシムニカー!」と叫んで、手を振ると、隣にいた中国人が驚いたように私の顔を見て、「ああ、こいつは朝鮮語であいさつしたのだな」と理解したのか、ニヤリと笑った。

こちらのあいさつに対して北朝鮮側の人々の態度はさまざまだった。
全く無視する人もいれば、黙ってこちらを見ている人もいるし、手を振り返してくれる人もいるかと思えば、石を投げてくる人もいた。

私が特に印象的だったのは、まだ4、5歳くらいの男の子(だと思う)がこちらのあいさつに対して手を振り返してくれたことだ。
あのくらいの年頃では、まだこの遊覧船が何なのか、この船に乗っている人たちがどんな人なのかもわかってはいないだろう。
こちらが手を振る姿を見て、ただ純粋に手を振り返してくれただけなのだろう。
その子を連れている親はじっとこちらを見ているだけだったから、手を振り返してくれたあの子のことがとても印象に残っている。
あの子が大きくなる頃には、あの子も国境のこちら側に自由に行き来できるようになっているのだろうか?

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北朝鮮の生活。青い服を着た男の子(だと思う)はこちらに向かって手を振ってくれた。(遼寧省・丹東の鴨緑江上にて)

(つづく)
2、国境の町、丹東(9月20日)後編


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穏やかな午後の風景。川向こうに北朝鮮の住宅が見える。(遼寧省・丹東にて)

朝鮮料理店の名前は「柳樹之家(朝鮮語では버드나무집)」といった。

店員と韓国語で話ができるかと思い、韓国語で話しかけてみたが、さっぱり通じない。
「ティンブードン(听不懂。相手の言葉が理解できない時に使う中国語)」というだけで、朝鮮語で返答してきてくれない。

この店の従業員たちは普通の中国人(朝鮮族や北朝鮮の人ではなく)なのだろう。
私は犬肉スープと鶏粥とビールを頼んだ。
久しぶりのキムチに舌鼓を打ちながら、ようやくほっと一息つくことができた。

9月中旬から活発化した中国における反日の動きは、どうやら目に見える以上に深刻なようだ。
中国にいる日本人だけでなく、当の中国人自身があそこまで心配するほどなのだからなおさらだろう。

隣国同士仲が悪いのはよくあることだとは言うけれど、今回の反日デモは明らかに異常なほどの盛り上がりを見せている。
同じ隣国同士でも、中国で反韓デモがこんなに盛り上がるとは考えにくいし、反朝デモに至っては全く起こらない。

単なる尖閣諸島だけの問題ではなく、かつて日本が中国を侵略したという過去が、この問題には大きな影響を与えているのだと思う。

それは単に中国共産党の反日教育だとか、権力維持のための日本叩きとか、そういう次元にとどまらないもっと根の深い問題なのかもしれない。

私は韓国人の反日感情については理解できる気がしている。
しかし中国人の反日感情についてはまだ理解できない。
彼らの日本に対する反発感情は何に由来しているのだろうか?
中国をかつて侵略した国のうち、モンゴルでもなく、イギリスでもなく、ロシアでもなく、日本だけが槍玉に挙げられるのは何故なのか?そ
れらの侵略国のうち、日本だけが特別に許せないとするなら、その理由は何だろうか?
私は、それを知りたいと思う。
それを知るためにはもっと中国に足を運んで、中国語を理解できるようになって、中国人の本音を聞きださないと駄目だ。

それにしても尖閣国有化の原因を作った石原慎太郎に対しては「よくもやってくれたな」と思う。
彼が行なった尖閣購入は、中国・台湾の尖閣に対する領有権主張を沈静化させるどころかより過激化させ、中国全土における反日感情を呼び起こすことになってしまった。
尖閣購入なんていう茶番は、単に在中邦人を危険にさらしただけで、何の効果ももたらさなかった。そういう意味で、私は石原慎太郎を許すことができない。

自衛のために韓国人になりすますなんてことをやっていると、在日が「通り名」を使って自分の出自を隠そうとした気持ちがわかるような気がする。
正体を明かしたら差別・迫害を受けることが目に見えているのなら、他国の人間になりすますのが賢い判断である。
それは「○○人だから」という理由で差別する社会の方に問題があるのであって、個人による詐称はやむなしの自衛行為である。
 
イメージ 3
 
丹東の市街地で見かけたトウガラシを干す風景。韓国では見慣れた風景だが、中国では初めて見た。朝鮮族が住んでいるからなのだろう。
 
それにしても今回の旅行は一人で来て正解だった。
日本人・中国人・韓国人はそんなに顔立ちが違うわけではない。
黙ってさえいれば中国人の中にまぎれこむことが可能である。
二人以上で来ていたら、気がゆるんで日本語でおしゃべりなどして、周囲の中国人に日本人だとばれてしまっていただろう。

そういう意味では、今の時期は日本語ガイドを雇ったり、日本人の団体でツアー旅行を行なったりするのは逆に危険だと思う。
目立たないように個人で動き、外国人だとばれたら、「韓国人です」と詐称しておくのが最も安全な方法かもしれない。
そんなことまで計算に入れたうえであえて旅行に出たわけではないが、結果的には一番いい選択だったわけだ。

食事を終えて会計をしようとしたら、店のおばさんが「サーシーリウ」と言った。「リウ」が「六」なのはわかるが、「サーシー」というのはいくつなのだろう?
「サンシー(三十)」か「スーシー(四十)」なのだろうとは思うが、どっちだろう?

とりあえず多く見積もって46元出してみたら、向こうも納得したように受け取った。
やっぱり「スーシーリウ(四十六)」のことだったみたいだ。
「スーシー」を「サーシー」と発音するような訛りもあるのだろうか?

タクシーに乗って宿に戻る途中で鴨緑江を見た。
最初は海かと思ったのだが、よく見ると向こう側にかすかに明かりが見えた。
ああ、対岸がある。ということはあの対岸が北朝鮮なのか。

夜の闇の中に小さな光がポツポツと浮かんでいる。
吸い込まれそうな深い闇に覆われた対岸の国。

それが、世界で最も謎の多い国、北朝鮮だ。
私は闇の中に浮かぶ対岸の小さな光を食い入るようにながめた。

対岸の暗闇の中に住む人々は、不夜城のようなこちら側をどんな目で眺めているのだろうか?
憧憬?羨望?それとも単なる無関心か?

イメージ 2
闇の中に消える橋。中国(右側)と北朝鮮(左側)を結ぶ橋だが、北朝鮮に明かりが無いため、橋が闇の中に吸い込まれているように見える。(遼寧省・丹東にて)

(つづく)

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