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店主の西貢が日々考えたことや体験したことをつづるブログです!

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平日の昼間にもかかわらず、二本目の記事をあげてみる。
こんなことやってると、「仕事しろよ、このニートが」と言われかねないけど、まあニートなのは半分くらい事実なので、ニートらしく二本目の記事もあげてみます。
 
タイトルを見てピンときた人は中島みゆきファンでしょうか?
中島みゆきの「タクシードライバー」という歌の中で、「♪タクシードライバー 苦労人と見えて 私の泣き顔 見て見ぬふり」という歌詞があるのです。
 
今回はこないだソウルで出会ったタクシードライバーについて書きたいと思います。
 
その日私は、空港に行くため大荷物を抱えていた。
宿はけわしい坂の中にあったため、この荷物を持って地下鉄駅まで歩く気にもなれない。たまたま通りかかったタクシーを呼んで、乗り込んだ。
 
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タクシーに乗った場所はこんな所。結構きつい坂でした。
タクシーに乗り込んで運転手と軽く会話をする。
私が二言、三言話すと、彼も私が日本人だと気付いたようだ。
「日本人ですか?私も1年半くらい日本に住んでたことありますよ」と韓国語で言った後、「こんにちは」と日本語であいさつをした。
 
年齢は四十代後半くらいだろうか。
気さくな感じの人だった。
「私は東京の品川にある会社で働いていたんです・・・」
彼の話によれば、彼はIT関連の仕事をしていたらしい。
それが何故今はタクシードライバーをしてるのだろう?と私が不思議そうな顔をすると、彼もそれを察したらしく、「今は・・・一生懸命に生きているんです」と笑った。
 
日本と同様に韓国も景気がよろしくないご時世だ。
きちんと就職しても途中でいつリストラされるかわからない。
きっとこの人もそんな形で解雇されたものではないだろうかと思う。
 
それでも世をすねたりせず、「一生懸命に生きてる」と前向きな事が言える彼の姿に、私は軽く感動を覚えていた。
 
そうなのだ。
現状がいくら不遇でも、評価されない生き方をしていても、それは決して恥ずかしいことではない。
「一生懸命に生きている」ことに、何らやましさを覚える必要はないだろう。
 
彼は実際に日本を見てきたという経験があるためか、日本のことをやたら誉め始めた。
「ほら、見てくださいよ。韓国のこの交通マナーの悪さを」
彼は他の車を指さしながら、私に語った。
「日本では東京オリンピックでみんなマナーが良くなったのに、韓国はオリンピックから二十年も経ってまだこんな水準ですよ。本当に日本人は大したもんです
 
韓国人と話していると、ときおりこんなことを言う人がいる。
「日本はすごいのに韓国はダメだ」という形で日韓比較をおこなうわけだが、あまりに頻繁に聞くので、単なる日本人相手のリップサービスとも思えない。
彼らの本音にかなり近いのではないか。
 
「日本の会社で働いてみてわかったんですが、日本人は合理的ですね。韓国の会社では上司の顔色をうかがって部下はなかなか退勤できないんですが、日本人は自分の仕事だけすませたらすぐに退勤する。韓国も日本から学ばなければいけない点です」
 
日本でも上司の顔色をうかがって退勤できない部下はたくさんいるから、たまたま彼が見た会社がそうだっただけではないかと思うけど、彼にとっては大きなカルチャーショックだったらしい。
 
私は日本人だから、日本を誉められて悪い気はしないけど、少し持ち上げすぎかと思う。そこまで誉められると、くすぐったいを通り越して恥ずかしくもなる。
 
「最近韓国では従軍慰安婦問題とかで日本を非難する人が多いけど、私はあれについてもどうかと思うんですよ。」
彼が政治問題について過激な意見を言いだした。
「もし日本が韓国より貧しい国なら、あんなことをやりますかね?日本が自分たちより豊かだから、非難するんでしょう」
 
おお、これは韓国人としてはなかなか公然と言いにくい発言だ。
タクシーの中に私と彼しかいないから言える本音だと思う。
実のところ、韓国にも自国のナショナリズムに対して批判的な人はかなりいる。
ただ、それを公然と口にすると社会的非難を浴びざるをえないから、発言しないだけだ。
日本における天皇制タブーに近いところがある。
 
私は彼のこの過激な意見(当たっている部分もあると思うが)に、「そのとおりだ」とも「それは違う」とも答えなかった。
その国のことに関して、ろくに知りもしない外国人が軽々しく口を出すべきではないと思うからだ。
ただ「そうですか」とだけ答えた。
 
タクシーが目的地に到着すると、彼は言った。
「また韓国に来てくださいね」
私は答えた。
「ええ、また来ますよ。われわれ日本人も韓国から学ぶべきことがありますから」
彼は私の言葉に目を丸くして、そしてまた笑った。
「そうですね、お互いにいいところを学びあえばいいんですね」
「そうです。そうやってお互いに学ぶことこそが、交流ですから」
と私は答えて、タクシーを降りた。
 
韓国を去る前にいい人とめぐり会ったなと思った。
きっともう二度と出会うことはないと思うけど、あのタクシードライバーに幸多からん事を願っている。
 

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