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最近北朝鮮の脅しが激しさを増している。
相手方に脅しをかけて譲歩を引き出すのはこれまでの北朝鮮の常套手段だが、今回はいつも以上に激しい。
平壌駐在の外交官への国外退避を勧告したり、ケソン工業団地の労働者の撤退命令を出したり、四度目の核実験の準備を始めたりと、かなり動きが慌ただしい。
これだけ派手な行動をしているということはいつもの脅しのパフォーマンスであり、実際に戦争を始める可能性は低い―――― と思いたいところだが、挑発行動の恐ろしさは、挑発が挑発で終わらなくなる可能性があるところだ。
何かのタイミングで国境際の兵士同士の戦闘が起これば、それをきっかけに全面戦争になりうる可能性だってある。
第一次世界大戦は一発の銃声によって起こった。日中戦争もまた然りである。
北朝鮮のような独裁国家を見る時に気をつけなければならないのは、独裁者個人の性格的歪みが、その国の政治体制の歪みにもなってしまうことだ。
独裁者の単なる気まぐれや、一時の癇癪が、その国の運命を左右する。
もしキム・ジョンウンが発作的な被害妄想に襲われて朝鮮人民軍の出動を命じたなら、そのまま戦争が始まってしまう可能性もある。
韓国にいる友人たちの身が気にかかる。
何事もなく終わってくれるといいのだが・・・。
このまま北朝鮮が勝てる見込みのない韓国・米国との戦争に突入した場合、北朝鮮の指導部はどういう対応をとるだろうか?
いくら情報鎖国の北朝鮮といえども、その指導部は海外を知っている人が多い。
今の北朝鮮の力で韓国・米国との戦いに勝てると思っている者はいないだろう。
それこそ戦前の日本のように「神風」でも吹いてくれなければ勝てるはずはない。
そんな北朝鮮指導部は、キム・ジョンウンが戦争の命令を出した時、どんな反応をするだろうか?
ただ粛々と、この若き独裁者の命令に従うだろうか?
それとも、クーデタのような方法でキム・ジョンウンを排除する方にまわるだろうか?
私がこの問題を考える時に、つねに頭に浮かぶのは、800年前の崔竩(チェ・ウイ)の事例である。
時は1258年、高麗王朝(新羅の後、李朝の前の王朝)はモンゴル帝国との戦いによって滅亡の危機に瀕していた。
国土の大半はモンゴル兵によって踏みにじられ、荒廃しきっていた。
この時に政府の中で独裁的権力を掌握していたのは、崔氏四代目の若き指導者、崔竩(チェ・ウイ)である。
彼はモンゴル帝国との戦争で人民が苦しんでいるにもかかわらず、モンゴルに降伏することを拒み続け、自分は江華島の臨時首都で一時の享楽に耽っていた。
そのために民心は彼から離れ、結局彼は父の代からの腹心によって暗殺された。
崔竩(チェ・ウイ)の死後、彼を殺した元腹心たちはモンゴル帝国に降伏する道を選び、それによって高麗王朝は生き長らえることができた。
腹心たちは国を守るために若き独裁者を殺したのである。
それは崔竩が父親から権力を譲り受けてから一年以内のことであった。
崔竩が少しずつ自分独自の指導力を発揮し始めた矢先の出来事である。
キム・ジョンウンも父親の権力を譲り受けてから一年半未満。
少しずつキム・ジョンウン独自の指導力が発揮され、父親の代からの指導部との確執があらわになる頃だ。
内憂外患の中でキム・ジョンウンはこの危機を乗り越えるのだろうか?
事態を引き続き注視していく必要がある。
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コリアを見る目
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韓国の李明博大統領の行動・言動が日本のメディアで伝えられている。
彼の竹島視察や天皇に対する謝罪要求に対して、日本政府は強い不快感を表明している。
ある政治家は彼の謝罪要求に対して「礼を失する行為だ」と述べている。
たしかに対等の関係の国同士ならば失礼な行為にあたるだろう。
李明博の言動に憤慨している日本人も多いと思う。
しかし、日本と韓国の関係は、もう普通に対等の関係になっているのだろうか?
1965年の日韓基本条約の際に賠償をおこなったからもう解決済みだといえるほどに日本のしたことは軽いものだっただろうか?
戦後日本が韓国にしてきたことが、「もう未来永劫日本による侵略はないだろう」と韓国人を安心させられるほど誠意に満ちたものだっただろうか?
少なくとも過去の日本の行為は賠償金だけでなんとかなるほど軽いものだったとは思えないし、今の日本の態度が韓国人を納得させられるほど誠意に満ちているとは言いがたい。
考えてもみるがいい。
かつて日本がしたことの重さを。
「竹島をとられる!」と日本のメディアは騒いでいるとはいえ、かつて日本は韓国全土(朝鮮半島全土)をとったのだ。
日本でいえば皇室に相当する韓国皇室の皇后(閔妃)を殺し、韓国皇室を滅ぼしたのである。
もし日本が同じことをやられたとすれば、賠償金を支払われただけで相手を信用できるだろうか?
全面的な謝罪と、「二度と侵略行為をおこないません」という誓約を勝ち得るまでは決して安心できないに違いない。
別に私は韓国のナショナリズムを全面的に肯定したいわけではない。
あのナショナリズムも日本のナショナリズムと同様に、さまざまな問題をはらんでいると思う。
しかし、韓国でナショナリズムが燃えさかるのは、実は日本の行動や態度のためではないだろうか?
韓国で反日ナショナリズムが広がる原因として、日本人はよく「反日教育のせいだ」と言う。
だが私はそれだけが原因ではないと思っている。
日本でも「(一部の人が言うところの)自虐教育」が戦後さかんにおこなわれたにもかかわらず、現代日本ではかえって反韓・反中感情が高まり、右傾化の動きを示している。
学校教育だけが世論を作るわけではないのだ。
それは韓国だって同じである。
韓国人だって学校教育だけを通じて日本を知るわけではない。
今はテレビやインターネット、旅行、仕事などを通じて日本のことを知る機会は多い。
おそらく韓国のことをよく知ってる日本人より、日本のことをよく知ってる韓国人の方が多いと思う。
それだけ日本の情報がたくさん入り込んでいるにもかかわらず、あの戦争について話をすると、韓国人は日本に対して批判的になる。
それも反日教育のため?
いや、それだけではないだろう。
実際に彼らが見た日本の姿が、たしかに彼らにとって批判に値するものだからだろう。
実際に日本社会で暮らし、日本のニュースを見ながら、彼らは直感的に感じるのだろう。
「日本はまだ韓国併合を反省していない。きっと機会があればまた同じことをやるだろう」と。
それはそうだ。
日本人である私だって、どんなに贔屓目に見ても、今の日本を信用できない。
今すぐには何も無くとも、必要になればまた朝鮮半島に出兵するだろう。
倭の五王の時代からずっと、日本の歴史はそれを繰り返してきたのだから。
そして大多数の日本人は、そのことに疑問を持たずに生きている。
韓国人が何故日本のことになるとあそこまで神経質になるのかわからないまま生きている。
今日本では大津のいじめ問題がさかんに取りあげられているが、日韓関係もこのいじめ問題に似ている。
加害者にはいじめをしているという自覚は無くすぐに忘れてしまうが、被害者はいつまでも覚えていてそのトラウマに苦しむのである。
多くの日本人はまったく自覚がないだろうが、被害者は現にそこにいるのである。
償うことはできないとしても、せめて被害者の心情を理解しようと努めるくらいはしてもいいのではないだろうか?
それがいじめ問題を無くしていく道でもあるし、韓国との対等なパートナーシップを築いていく方法ではないかと思う。
相手の気持ちを推し量ることに長けた日本人にそれができないはずは無い。
相手の気持ちを考えながら対話をして、そうやって少しずつ信頼関係を築いていくべきなのだ。
愛の無い批判は、きっと争いを招くだけだろう。
<おまけ>サムソン(三星)所有の湖巌(ホアム)美術館の散歩道(京畿道龍仁市)
エバーランドに併設されている美術館なんですけど、とてもいい庭園がありました。エバーランドの広さにサムソンの財力の大きさを思い知りました。
「サムソン」って何かって?電子機器で有名な韓国の会社だよ。
英語だと「Samsung」なので、「サムスン」と呼ばれることが多いんだけど、韓国語の原音を知る者としては「サムスン」と呼びたくないんです。
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(1枚目)韓国ソウルの北村韓屋村(プクチョン・ハノン・マウル)。現役の韓国式住宅(韓屋)が立ち並ぶソウルの高級住宅街である。 |
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