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私は今奨学金の申請書を書いている。
この種の申請書を書くのは大の苦手である。
生理的に駄目なのだ。
奨学金の申請書を書くときには、研究業績や研究計画、研究の意義などを長々と述べるものだが、その内容を一言で要約すると至極単純である。
「お金をください」
・・・ということだ。
何のことはない。道端で頭を下げる物乞いと同じだ。
私たちの場合は、路傍ではなく、申請書の中で物乞いをしているのだ。
「お金をください」というメッセージをオブラートに包んで、「研究業績」やら「研究計画」やらでゴテゴテと飾りつけをして、さも立派な事が書いてあるかのように取り繕って物乞いをするのである。
それが私たち大学院生の宿命のようなものだ。
好きだろうが嫌いだろうが関係なく、そうやって奨学金を受けなければ生活していけない。
働いて生活費を稼ぐには、私たちはフリーターよりも不利な立場にいるのだから。
ただし普通の物乞いとは少し違うところもある。
普通の乞食は自分の哀れさを強調してお金をもらうが、私たちは自分の能力や志をアピールしてお金をもらうのである。
自己アピールするために必要なのは卑屈さではなく、傲慢さである。「自分はこんなに高い志を持っているんだぞ」とアピールできるような傲慢さである。
私にはまだそのような高い志と傲慢さが足りない。だから自己アピールが苦手なのだ。
この世界で生きていくためには志を高く持ち、それをアピールしていく臆面の無さが必要である。
願わくばそのような高い志を持ちたい。
物乞いをすることに引け目を感じるのではなく、逆に「自分に投資させてやってるんだ」と思えるくらいの傲慢さが欲しい。
だから私は心の中で自分に向かってこう念じる。
「志高き乞食であれ」と。
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