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・野生動物たちの悲劇
世界最大の牛肉生産国であるアメリカには現在、約1億頭の牛がいる。
そして、その30%が西部11州の、政府が所有する放牧地で飼育されている。
フィードロットに送られる前の子牛がほとんどだが、この牛たちによって、
西部地域の自然生態系が急速に破壊されつつある。
放牧地は、牛の水飲み場に便利な水辺地帯に多い。
牛は水を飲むために川のほとりに集まる。すると、川岸に牛の体重による圧力がかかって土壌がゆるみ、表土が川に流れ落ちる。落下した表土で川底が浅くなると、太陽熱で水温が上昇する。
また、牛の垂れ流す糞尿によって水が汚染される。
コイやウグイなどのコイ科の魚は、高温とある程度の水質汚染に耐えることができるが、
マスやイワナといったマス科の魚は低温のきれいな水にしか住めない。
そのためにマス科の魚はコイ科の魚に居場所を奪われ、生存能力もまた弱められて、
その数を大きく減らしているのである。
モンタナ州のリトルビッグホーン川では、牛の放牧地のある流域のマスの漁獲量が、
放牧されていない流域の3分の1だったと報告されている。
河川の汚染は、水辺に生きる鳥たちにも悪影響をおよぼす。
水辺は鳥たちの貴重なエサ場であり、格好の繁殖地でもある。水辺はバクテリアなどの微生物で満ち、
水草や野草が繁り、昆虫の幼虫や貝、カニ、エビ、小魚などの魚介類が多数生息している。
さらに川から多様な栄養物が流れてくる。
鳥たちにとって豊かな環境が整っているからだ。
水が汚れ、こうした環境が失われることによって、水辺を好んで住処とするカモやサギは
致命的な打撃を受ける。
西部地域の河川にはほとんど水鳥の姿を見ることができず、
モンテマウスウズラやライチョウの仲間のセージグラウスなど、
西部原産の希少鳥類が減少してきているという。
牛の放牧によって、もっとも大きなダメージを受けているのは、野生哺乳動物である。
アメリカ西部地区での放牧は、約100年の歴史を持つと言われる。
政府は今でこそ野生動物の保護に努めているが、1915年から30年間にわたって、
放牧地から野生動物を排除する措置をとってきた。
牛に危害を加える恐れのある動物を撲滅しようと、射殺したり薬殺した。
そのためにオオカミ、ピューマ、コヨーテ、ボブキャットなどの野生動物が犠牲になった。
最大の犠牲者はオオカミだろう。
実際、牛が襲われる被害が大きく、生息数も多かったからだが、ハンターの一番の標的にされた。
しかし、オオカミにしても最初から牛を襲ったわけではない。
放牧地ができるまでは、西部の草原には何百万頭ものバイソンがいて、オオカミは彼らを獲物にしていた。ところが牧草地が広がっていくとともに開拓民が押し寄せ毛皮をとるためにバイソンを片っ端から殺し、絶滅寸前に追いやった。
エサを失ったオオカミは生き抜くために他の獲物を探す必要に迫られ、そして放牧牛をねらうようになっのだ。
つまりは、人間の蛮行が災いの種を蒔いたのである。
西部地区では最盛期に数十万頭のオオカミがいたというが、一時期は200頭あまりにまで減って、絶滅の危機に瀕した。
自然界は生物同士が「食う、食われる」という関係の食物連鎖で成り立っている。
食う「捕食動物」は、食われる「被食動物」の過剰な繁殖に歯止めをかけ、
動物の個体数が自然環境の許容量を超えないように生態系を調節する役目を果たす。
野生動物の排除は、結果として生態系の攪乱(かくらん)を引き起こした。
捕食動物が減少したため、被食動物が激増したのだ。
ピューマやコヨーテなどが獲物として獲っていたウサギ、ネズミなどのげっ歯類である。
天敵のいなくなった彼らは大繁殖し、樹木の皮や新芽を手当たり次第にかじり獲って、
植物に外をもたらすようになった。
あわてた政府は、毒入りのエサを巣穴に仕掛けるなどして、植物に害をもたらすようになった。
●転載お願いします。
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肉食はありとあらゆる面で環境を破壊し続けていますね。
私も今は肉食をしていません。
転載させて頂きますね。
2007/8/27(月) 午後 9:00 [ - ]
勉強になりました。
2012/2/28(火) 午前 11:58 [ 陸 ]