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彼の新しい彼女から同棲していた彼女宛、チクりメールが入ったみたいだった。
別の女と一緒に暮らしてると、
もう何年も前から付き合っているのだと、
車まで買ってもらって、と。
彼の携帯から勝手にアドレスを見たのだろうか。
嫌がらせなら私にすればいいのに、なぜあちらに?
なにが目的なのだろうか。
女の妬み。ずくずく女が嫌になる。
同棲していた彼女が今日突然ウチに来た。
チクリメールの検証に。
あまりの突然の出来事、
私はとっさに都合良くごまかした。
妙に冷静に行動できる。私の特技だな…
ダンナは今晩は少し遅くなると。
ダンナと彼は前の会社の同僚で、先輩後輩の間柄だと。
彼と同じ携帯も、彼と同じ煙草もすかさず隠し、
いつものお揃いのマグカップではなく、客用のコーヒーカップで、
彼を、彼女をもてなす。
ダンナののろけ話、ボウズの話、彼女を安心させる為にひたすら演技する。
とんだ役者だ。
自分でも惚れ惚れするよ…
彼は大事な彼女の為に、
私は困惑する彼の為に、
ひとしきり私は芝居を演じ、
彼女は安心したかのように彼と連れだって出て行った。
「これからも彼をよろしくお願いします。」
とのセリフまで残して。
そこに残されたのは惨めな大根役者独り。
余りにも惨めな…
嫌がらせをする彼女は私が惨めになるのを喜んでるのだろうか。
彼女は私との会話で安心したよう。
彼は彼女との仲がとりあえず収まって肩をなでおろす。
みんなが一息つくころ、
私は一人惨めに夜を明かした。
しかたないさ。
こんなもんさ。
よくやったよ。
頑張ったよ。
オマエは大人だ。
えらいよ。
でもバカだよ…
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