ここから本文です
VOSOT ぼそっとプロジェクト
ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

書庫本日のおすすめ

すべて表示

盗みが止まらなかった私(185)」からのつづき・・・


リュウ 自分を大事にするのは自分なんだけど、
 母親は自分を大事にできない人なんだよね。

 母親が一度、ぼくが通っている精神科クリニックに
 来たことがあったの。
 
 母親は、化粧もしないし、
 女性の装いもあまりできない人で、
 「きれいに飾る」
 ということも
 「はしたない」
 と考える人だった。

 他人からヤイヤイ言われるのを嫌がるあまり、
 どちらかというとつねに質素な装いをしている人で。

 そういう母親がクリニックに来た時に、
 指輪をはめてたんだよね。

 ぼくは、母親が指輪をはめてるから
 「あれっ、めずらしいな」
 と思って、

 「その指輪、なんか、かわいいね」

 と言ったら、とたんに母親は急に立ち上がって、
 ズボッと指輪を抜いて、

 「あげる!」

 って言ったの。

 ぼくは、とうぜん、
 ぼくの言葉を受けて母親が
 その指輪の説明でもしてくれるかと思ったんだけど、
 母親の反応はそうじゃなくて、
 いきなり「あげる!」と。

 母親は、自分が注目されて、他人の視線を受けることが
 そこまで慣れていないんだよね。

 他人から見られないためなら、
 指輪もその場で抜いて息子にあげてしまうような…

 だから、ぼくは母親に訊いたの。

 「じゃあ、ぼくがママに
 『そのスカート、いいね』
 って言ったら、この場でスカート脱いで
 あげてしまうの?

 『そのパンツ、いいね』
 って言ったら、この場でパンツ脱いで
 あげてしまうの?」
 って。

……。
……。





・・・「盗みが止まらなかった私(187)」へつづく

書庫その他の最新記事

すべて表示

  • 「 当事者活動を考える(30) 」からのつづき・・・ by ぼそっと池井多 本ブログの読者の皆さまはよくご存じであるように、 私はときどき「 ひきこもり親子 公開対論 」という イベントを開催させていただい ...すべて表示すべて表示

  • 「 支援者だった私(8)片隅の彼<3> 」からのつづき・・・ by 鈴木良太 私はもちろん、最初伯父のこの申し出を断った。 そんなこと私にできる筈がない。 興味もなかったし、やりたくもなかった。 ...すべて表示すべて表示

  • 「 貧困と人づきあい(88) オランダ人ハーフ、マリコさんの場合<1> 」 からのつづき・・・ 「少年院」時代 ぼそっと池井多  そのまま中学校時代を迎えるのですか。 マリコ ...すべて表示すべて表示

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事