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VOSOT ぼそっとプロジェクト
ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

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しゃべれない男たちの叫び(18)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多

ほのかに文学的な事件であったと思う。

ミーハーな私は、不倫事件と聞くと、
たちまち目をランランと輝かせるのであるが、
同じ国会議員の不倫事件であった、
宮崎謙介元衆議院議員のときよりも、
今回の今井絵理子参議院議員(33)と
橋本健神戸市議会議員(37)の関係には、
少しばかり文学的な密度をかぎつけるのである。

それは好ましい匂いですら、ある。

三島由紀夫は、

「現代において恋愛小説が成立しにくいのは、
恋愛への障壁がないためである」

というようなことを書き、
『春の雪』(1966年)という恋愛小説を書くにあたって
「皇族」という禁忌を設定することによって、
その障壁のなさを克服しようとした。

かつて社会をがんじがらめに縛っていた身分制度が、
よくもわるくも崩壊していく現代においては、
生まれる前から与えられている身分の差は
あまり恋愛小説を成り立たせる要素にならない。

じっさいに、そうした身分の差によって差別されたり、
結婚できなかったり、
という事件は、驚くべきことに、今もまだ多くあるらしいが、
社会に事件として起こっているわりには、
すでに文学やドラマの中では、
そういう設定は賞味期限切れになってしまっているきらいがある。

だから
ジェーン・オースティン『高慢と偏見』を
現代に翻案したといわれる
『ブリジット・ジョーンズの日記』では、
ブリジットは太っていなければならなかったのである。

肥満は、現代的な障壁である。








そういうなかで、現代の禁忌になりそうな候補が
「政治倫理」
という理性の産物である。

かつて政治家はやりたい放題であった。
妾を持つのは当たり前、
不倫をしたら、権力でもみ消した。

しかし市民の目が育ってきたものだから、
近年はそうも行かなくなってきた。

そのため、ふつうの芸能人の不倫よりも、
政治家の不倫のほうが、
なにやら好奇心が深いところで呼び覚まされる。

今回の主人公となった橋本健市議は、
イケメン、歯科医、プチブルジョワで、
何事もほどほどにこなすタイプのモテ男であるように思う。

イメージ 2

書く文章も、使われている語句は稚拙で、
けっして表現は文学的ではないのだが、
構成は、小憎らしいほどに巧みであったりする。

たとえば、以下の部分を読んでみよう。

少し前までは歌手であった今井議員が、
志を一にする同志になり、友人になり、
やがて好意を抱く対象になりました。
もちろん、好意を抱くといっても
高嶺(たかね)の花である今井議員にそれを伝えることはなく、
仲のいい友人という関係がつづきました。

一方、私には家庭がありました。

しかし、恥ずかしながら婚姻関係は4〜5年前から破綻しており、
昨年8月には離婚したい旨を申し出、別居を開始。
その後複数回の裁判外の離婚協議を経て
3月に離婚調停を申し立てるに至りました。

現在は3回の調停がおこなわれたものの
相手方といまだ条件の折り合いがついていない状況です。
この間、子供に面会することも許されず
今日にいたっております。
(*1)
毎日新聞 2017.07.27
改行・太字・色字は引用者による

今井絵理子がどういう女性であるかは、
SPEEDを知っている世代ならば、みんな知っている。

ここだけの話だから、このさい言ってしまうが、
かくいう私も、今井絵理子が無知な政治家に成り下がる前は、
SPEEDの中で彼女がいちばん好きだったのである。

障害児を育てているシングルマザーというところに
奇妙な清潔感もあった。

イメージ 1
photo:ビジネスジャーナル/日刊ゲンダイ/アフロ


今井絵理子が「高嶺の花」に見える感覚を、
橋本健は、まず読者に共有させる。

そのあとで、

「志を一にする同志になり、
友人になり、やがて好意を抱く対象になり」

と、雲の上のアイドルにお近づきになるプロセスを、
さらりと、しかし迫真にたどっていく。

すると、男性読者たちが、
「あこがれの人」を己れの胸に抱きしめられるような、
逆シンデレラ・ストーリーが
疑似体験できるようになっているのである。

その後、橋本議員は自分の家庭事情を描いていくのだが、
婚姻関係の破綻という、
ふつうはネガティブでしかない事情は、
ここでは彼女との恋愛を背中から押してくれる
プラスの要因としか聞こえてこない。

ところが、読者・有権者の嫉妬を買わないように、
「恥ずかしながら」
と自らをおとしめる姿勢でそれを言ってのけるのである。

この構成の妙。

多才な、この憎たらしい男は、
放送作家としてもやっていけるのではないか。







それに対する、今井絵理子から発表されたコメントもまた
心憎いばかりである。

最近になって市議から交際の申し込みがありました。
私も好意を抱いていたのは事実ですが、
市議の結婚生活が長く破綻し、
現在離婚調停をしているとはいえ、
法律上はまだ妻帯者なので、
一線を越えてはいけない”と思い、
「きちんとけじめをつけてから考えましょう」
と申し上げました。
そして、今日までこの約束を守ってもらっています(*2)
毎日新聞 2017.07.27

「一線を越えてはいけない」

政治家の口から発せられるにしては、
非常になまなましい言葉である。

その「一線」の具体的叙景が目の裏に思い浮かぶと、
今井絵理子の元ファンであった私などは、
壇蜜の出ている粗悪な宮城県観光PR動画などよりもよほど
身体の芯がうずき、胸をかきみだされる。

「今日までこの約束を守ってもらっています」
というくだりを読み、
多くの男性諸君は何やらわけのわからない安堵をおぼえ、
胸を撫でおろしたりするのであろう。

お互い心は通い合っているのに、
身体で思いを遂げず、
手をつなぐだけに留めている。
……そんな30代の男女とは、
なんとエロティックな関係であろうか。

世に氾濫する薄っぺらなAV作品よりも、
よほどエロティックな作品だと思うのである。

この「実るようで実らない恋」は、
昨年さかんに話題になった
『逃げるは恥だが役に立つ』
のキーワード「ムズキュン」以外の何物でもない。

今井絵理子の文章は、
けんめいに政治家を演じ、
堅く書き進めていくものの、
終わりに近くなって、
我慢しきれず吐き出す熱い吐息のように、
こう、乱れるのである。

ただ、これだけは言わせてください。
雑誌のタイトルにあるような「略奪不倫」ではありません。
断じてないということを言わせていただきます。
(*3)
*3.*2に同じ


これでもう、私のようなオジサンは沈没する。

「重ねて申し上げます」
「最後に謹んで申し添えておきます」

といった、政治家らしい四角い表現をすっとばして、
もうあられもない姿で会見場へ走り出てきたかのような、

「これだけは言わせてください」

という直截な「少女の叫び」に、
男性読者はまた、内心のたうちまわるのである。


……。
……。


くっそーっ。

どうせこの二人、やがて結ばれるんだろうな。

バカにしやがって。

ついでに今井絵理子さん、この際ですから、
歌手としてシングルを一枚出したらいかがでしょう。

私が以下の歌詞をプレゼントします。


♪ 一線は越えてない

作詞:ぼそっと池井多
作曲:募集中

歌:今井絵理子

1. 手をつないで出てきたとたん
闇から飛び出すフォトグラファー
(コーラス:Wow Wow Wow)
響き渡るシャッター音
Oh My New Love Life

一線は越えてない
一線は越えてない
熱く燃える 政治家ライフ (政治家ライフ)


2. 「高嶺の花」と言ってくれた
彼の言葉がうれしくて
(Wow Wow Wow)
それでも約束守って まだ今夜は
Oh My New Love Life

一線は越えてない
一線は越えてない
離婚が成立するまで 待つわたし (待つわたし)


3. 略奪なんかじゃない
不倫だとも思ってない
(Wow Wow Wow)
政治の世界はデンジャラス
Oh My New Love Life

一線は越えてない
一線は越えてない
愚民が鎮まるまで 距離をおく (距離をおく)


4. 「これから勉強します」
当選してから言ったらば
(Wow Wow Wow)
なんか知らないけど怒られた
Oh My New Love Life

一線は越えてない
一線は越えてない
党の幹部は タクティカル (タクティカル)


5. それでも一線越えてほしい
気になる次の選挙戦
(Wow Wow Wow)
早く越えたい当確ライン
Oh My New Love Life

一線は越えてない
一線は越えてない
なんくるないさあ これからも (これからも)







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    素晴らしい歌です・・感動しました☆

    迷えるオッサン

    2017/7/28(金) 午後 6:23

    返信する
  • 迷えるオッサンさま コメントをどうもありがとうございます。

    今井議員には、ぜひこの歌で今年の紅白に出てもらいたいものです。

    毎年、近年のNHK紅白歌合戦では、
    その年の話題にからんだ曲目を採用する枠があるようですが、
    生活保護の中年男が愛をこめて歌詞をつくり、
    不倫疑惑にまみれた清純派・参議院議員が愛をこめて歌う、という
    こんな話題性に富んだ紅白の出し物は
    あまり他にないことでしょう。

    チームぼそっと

    2017/7/28(金) 午後 6:48

    返信する
  • 顔アイコン

    こんにちは。暑いですね。
    関西は連日34〜35℃です(これが現時期の平年並みの最高気温です)

    いやあ、今井絵理子氏やっちゃいましたね。
    でも、仮に議員辞職した後しれっと芸能界に戻るんじゃないでしょうかね?西川きよし氏やシュワルツェネッガー氏みたいに。
    いや、戻らないかなあ、だって女性だから。
    昨年のベッキー氏がそうだったように。
    同時期「不適切な関係」をしていた桂文枝氏はなんの「社会的制裁」も受けませんでしたから(相手の女性が社会的制裁を食らった)

    そういえばプロレスラーだった大仁田厚氏は覚えていますでしょうか。
    彼もまた小泉チルドレンという形で国会議員になり、その後橋下・東国原にあやかって長崎県知事選に出るものの落選。
    こちらは男性にしては珍しく表舞台から消えてしまった感があります。

    それにしても歌詞、面白いですねえ。
    本当に紅白歌合戦(私は「紅白歌八百長」と言っている)で歌ってほしいですね。
    もはや紅白歌八百長は「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」と同レベルの番組ですし。

    長くなってすみませんでした… 削除

    [ 豚猫大好きぶーにゃん ]

    2017/7/30(日) 午前 10:58

    返信する
  • 豚猫大好きぶーにゃんさま コメントをどうもありがとうございます。

    ひとくちに不倫事件といっても、世の中の反応はさまざまのようですね。

    もともと私は、今井絵理子が政治家になることは大反対でした。
    彼女の当選後の発言「これから勉強します」は、彼女の政治家としての存在性を端的に言いあらわしています。

    党の幹部が「こいつは票になるから議員にしてやろう」と考え彼女に白羽の矢を立てた、と。いくら後付けで懸命に「お勉強」をしていても、そんな古だぬきたちの駒として、彼女は良いように使われているだけに思えます。

    障害児教育のこととか、もっと彼女が心から言いたいことの実現にむけて、彼女がやるべき分野は他にあるでしょう。

    チームぼそっと

    2017/7/30(日) 午後 1:23

    返信する
  • 顔アイコン

    返信ありがとうございます。

    >もともと私は、今井絵理子が政治家になることは大反対でした。
    彼女の当選後の発言「これから勉強します」は、彼女の政治家としての存在性を端的に言いあらわしています。

    そういえば今井氏とともに「五体不満足」の乙武氏も出馬予定だったんですよね。同じ自民党から。
    こちらは出馬前に「不適切な関係」がばれましたが…
    議員になってからばれてしまったら政権にとってもっと恐ろしいことになっていたでしょうね…

    >障害児教育のこととか、もっと彼女が心から言いたいことの実現にむけて、彼女がやるべき分野は他にあるでしょう。

    ええ、今からでも遅くありません。
    議員を辞めて、民間の支援プロジェクトとかを立ち上げたほうがいいように思います。
    本当に芸能界およびスポーツ界出身の国会議員はろくなのがいないですわ…ほぼ政権与党側で出馬するし。

    また宜しくお願いいたしますm(__)m 削除

    [ 豚猫大好きぶーにゃん ]

    2017/7/30(日) 午後 1:35

    返信する
  • 豚猫大好きぶーにゃんさま 再訪ありがとうございます。

    > 今からでも遅くありません。
    議員を辞めて、民間の支援プロジェクトとかを立ち上げたほうがいいように思います。

    おっしゃるとおりだと思います。

    今井絵理子議員がけんめいに勉強しているらしいのはわかるのですが、
    人は誰でも向き不向きというものがあり、
    どうも彼女にはその手のお勉強とか、
    政治家として大成する資質があるようには思えないのです。

    また、彼女は議員になってから、
    半同棲していた幼なじみと別れてしまったでしょう。

    いわば「糟糠(そうこう)の妻」ならぬ「糟糠の夫」と別れて、
    今回の橋本健とくっついたようなもので、
    そこに彼女自身の人生からすると、
    ちがう方向に進んでいっている何かを感じるのです。

    今井絵理子よ、今からでも遅くはない。
    党の幹部のオヤジたちの言うことなんか背を向けて、
    あなた自身の人生に戻ってください☆

    チームぼそっと

    2017/7/30(日) 午後 3:29

    返信する
  • 顔アイコン

    比例区であろうと無かろうと政治家となった時点で「個人」は無い。
    個人の問題で党に御迷惑をお掛けしました!?言葉が違うよね。
    腹が立つ話題ばかりで、すっきりしないです。(^^)

    [ goodじいさん ]

    2017/7/31(月) 午前 8:13

    返信する
  • goodじいさんさま コメントをどうもありがとうございます。

    今井絵理子は、タレント議員の最たるもので、
    いったい政治家とは何か
    がわからないまま政治家になってしまったのでしょう。

    柄にも合わないことは、
    早急にやめるにしくはなし、です。

    議員辞職するとよいのですが。

    チームぼそっと

    2017/7/31(月) 午前 10:30

    返信する
  • 紅で引いたボーダーライン
    彼のスマッシュ越えてない♪


    ぼそっとさんに続いて、もしも今井氏がテニスプレイヤーだったなら・・
    の、バージョンで作ってみました(笑)。


    「くっそーっ。
    どうせこの二人、やがて結ばれるんだろ‥‥」

    同感です。

    (笑)。

    [ miss ]

    2017/8/9(水) 午前 0:04

    返信する
  • missさま コメントをどうもありがとうございます。

    スマッシュが一線超えてない場合は、あまり純愛路線のような絵にはなりませんね。

    でも、橋本議員の妻から異議申し立てがあったりして、当初えがかれたシナリオとは少し違ってきているようです。

    チームぼそっと

    2017/8/9(水) 午前 10:10

    返信する

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