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VOSOT ぼそっとプロジェクト
ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

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by ぼそっと池井多


cus*ion**ark
あえて言おう!

当事者活動には、一般社会に出たら味わえない、
立場の高いポジションがとれる旨味と
社会正義的空気感がある。

免罪符を前面に出し、
批判を受けにくい世界で
欲求実現が可能なことへの中毒性があるのではないだろうか? 


[ cus*ion**ark ] 2019/3/17(日) 午後 10:25 

 
ぼそっと池井多
cus*ion**arkさま コメントをどうもありがとうございます。

それは当たり前のことであって、あまり
「あえて言おう!」
などと力(りき)まれておっしゃることでも
ないように思われます。

ひきこもりのみならず、
障害者運動にせよ、被差別部落の解放にせよ、
社会から差別されがちな側に立って
何かをしようとするときには、
必ずあなたのおっしゃる、
反作用として生じる「中毒性」との折り合いを
つけていかなくてはならないものでしょう。

「当事者ヤクザ」「当事者チンピラ」
といわれる人たちは、
そのバランスが取れていないのだとも考えられますね。

日本に限ったことでもありません。
ある種、人間社会の普遍に属する何かだと思います。  

 2019/3/17(日) 午後 11:03

cus*ion**arkさんがおっしゃっているのは、
ひと言でいえば「弱者権力」ということなのだと思う。

ほんらい当事者発信とは、
社会的に虐げられたり、侮蔑された立場にある者が、
圧倒的な強者である社会に対して、
自らのかぼそい声を伝え、主張するところから始まる。

ところが、それが高じて、
あたかも、被差別の立場であることが
「正義」であるかのように思いこみ、
そのような声を発することができる立場の
「うま味」に溺れてしまうと、
前後左右が見えなくなる。

われわれでいえば、
ひきこもりであること、
精神障害を持つこと、
社会的マイノリティであることが
正義だと思って自ら酔ってしまう場合である。

そのことを、cus*ion**arkさん
「中毒性」と呼んでいるのだろう。

彼の書きっぷりが、あまりにも高踏的なので、
私は少し鼻白んでしまい、
あえてはぐらかすような応答をしたが、
彼が言っていることはまちがっていないし、
大いに理解できるものである。






その象徴となるような事件が
つい最近、ひきこもり界隈で起こった。

当事者ヤクザ(*1)君といわれている者が、
こういう要旨と受け取れる批判を
SNS上にぶちあげたのである。

「Aという者は、当事者発信として、
ひきこもりのゴールとして就労をめざす、
『社会寄り』な発言をおこなっている。
けしからんことである。

ああいうことを言うようでは、
当事者発信の意味がない。


*1.彼を「当事者ヤクザ」と呼ぶことに関して、
「じっさいのヤクザはもっと人間的に偉い人たちである。
人間的に尊敬できないのはチンピラである。
したがって彼は当事者チンピラと呼ぶべきである」
というご批判をいただいたことがあるが、
それはもっともだとしても、
私が呼び方を決めているわけではなく、
すでに彼は一部の人たちに「当事者ヤクザ」
と呼ばれて通っているので、
ここではそれを略称して
トウヤク君と通称させていただくものとする。
また、彼自身は精神はまだ十代の少年のようにナイーヴであり、
けっして「ヤクザ然」として
意図的に周囲に脅しをかけているつもりはないのだろう
と私は確信している。
そういう意味からも、あまり彼を当事者ヤクザ君と呼ぶのは、
かわいそうであるように思う。


そこで言われているAという人を私は存じ上げないのだが、
もともとトウヤク君の出身地方のひきこもり当事者であり、
トウヤク君をその地方の当事者界からはじき出した、
ということになっている。

そのこと自体も、真偽のほどはわからない。
トウヤク君が東京へ来て話す物語のなかでは、
少なくとも、そういう人物として語られる。

そのA君がひきこもりを脱して就労し、
その体験をある媒体の当事者手記に書いたことが、
トウヤク君の逆鱗に触れたらしい。

「こんな当事者手記は、あってはならぬ」

と言わんばかりの剣幕で批判し始めたのである。

私が見るに、
トウヤク君はなにか心理的におびやかされたのだろう。

少なくとも、トウヤク君自身は、

「働いていない自分は、
 働いているAによって心理的におびやかされた」

とは書かないが、
どうも傍から見ていて、そうと見えてくるのである。

働いていない者が、働いている者の存在に
「おびやかされる」ということはたぶんに理解できる。

なぜならば、「働いている」という状態が、
社会的に「正しい」としてお墨付きをもらっているからである。

「働いていない」という状態は、
それだけで「まちがっている」「怠けている」とされる。

だから、「働いていない」という自分の状態に、
無意識に「やましさ」を抱えている場合は、
たちどころに「働いている」者の存在によって
責められているかのように錯覚するであろう。

だから、おびやかされたこと自体は、
なんら難じられるものではないと思う。

だが、それを相手に投射し、

「そんなことを当事者手記として書くべきではない」

と言い始めるとなると、これはいかがなものか。

そこで私が、

「いったいお前に、
どれが当事者手記で、どれがそうでない、
などと決めつける権利があるのか」

とトウヤク君に噛みついた、
という次第である。

あとに詳しく述べるように、
トウヤク君と私にはいろいろな共通点があり、
ある意味「紙一重」であるために、
私はこの一件におけるトウヤク君を捨てておけなかった、
ともいえる。








トウヤク君が批判する、A君の当事者手記が掲載されたのは、
私が関わっているひきポスではなかった。

したがって、私は
知らんぷりをして通り過ぎようと思えば、
いくらでもそうできた。

しかし、事が「当事者発信とは何か」という
重要なことの中核であったので、
私も口を開くことにしたのである。

また、私も

「ひきこもりのゴールが就労である」

とは思っていない。

したがって、もし
トウヤク君がいう通りA君がそう思っているのだとしたら、
私はA君の主張には与しないのである。

読者の皆さまがよくご存じのように、
私自身も「働いていない人」であり、
その意味では私はA君よりはトウヤク君に近い。

しかし、だからといって、
A君は当事者発信を行なってはいけない」
などとは思わない。

意見は、それぞれの当事者においてちがうものであり、
一人ひとりがちがう意見を発信してよいだろう。
それらの発信がすべて当事者発信である。

また、生きている以上、
一人ひとりがすべてちがう体験をするはずであって、
それを言葉にするのが当事者手記ならば、
当事者手記も千差万別、百花斉放であるのが当然である。








言論の自由の父、ヴォルテールは、

「私は君の意見には反対だ。
 しかし君が意見をいう権利は命を賭けてでも守る」

といった。(*3)

*3.異論もある。
が、それはここでは関係ない。
じっさいにヴォルテールがそう言ったかどうかは、
いまはさして問題ではない。


私はヴォルテールほど気前よくはなれない。
自分とは異なる意見の持ち主のために、
命を賭けるまでは行かないだろう。

しかし、少なくとも
少しばかり波風が立っても、
自分とはちがう意見を持つ当事者が当事者発信ができる環境を
保全してあげたいと思う。

ひきこもり界隈において
トウヤク君の発言力はかなり大きい。
私も他人のことはあまり言えないようだが 笑)

彼の物理的な声も大きいのだが、
SNS上での声も、それに劣らず大きいのである。

また、いったい何を財源としているのか、
彼は莫大な交通費を使って、
つねに全国を飛び回っているため、
地方のひきこもり関係の有力者たちとのあいだに
強固な人脈を持っているらしい。
(少なくとも、本人はそう言っている。)

だから、彼はひきこもり界隈の「強者」である。
そのため、誰も彼に抗して表立って声を挙げられない。
それで当事者ヤクザなどと陰で称されてしまうのだ。

しかし、彼は自分を「弱者」だというのである。
何かあると、必ず被害者に回りこむことに余念がない。

彼はあきらかに、
「弱者」であることによって、発言権を獲得している。
まさにcus*ion**arkさんがいう
弱者権力の「中毒性」に酔っているように
見受けられるのである。

彼の言っていることは、
あちこちの専門家の言説を表面だけかすめ取ってきて、
適当につぎはぎしている言葉なので、
いっけん響きはもっともらしいのだが、
よく聞いていると、論理として一貫性がない。

多くのひきこもり当事者が、悩みに悩んで、
心の底から朴訥に絞り出す言葉とは、
まず質感がちがう。
うわべだけを滑っている印象がある。

もっとトウヤク君が自分自身に正直に向き合うようになったら、
さぞかし良い言葉が絞り出されてくるだろうと思うのだが、
彼はつねに内省を避け、
自分の責任を社会や他者へ投射してしまうので、
実のある言葉の鉱脈が地下に埋もれたまま
歳月だけが経過している感がある。

また彼は、つねに自分が
「より弱い立場にいる当事者たち」
の代表であるかのように発言するのだが、
そのじつ、彼がいうところの
「より弱い立場にいる当事者たち」
というのが実在するのかどうかわからない。

もしかしたら、彼の
「より弱い立場にいる当事者」への憑依
にすぎないかもしれないし、
「より弱い立場にいる当事者」
なんて、そもそも彼の背後にいないかもしれないのである。

ところが振り返れば、
これは私にも言えることなのである。

私は、いろいろな当事者の声を紹介させていただいている。

けっして私が彼らの代表にならないように、
気をつけて発信しているつもりだが、
しかし、そのように受け取る人もいるかもしれない。

私がトウヤク君にいうような批判を
誰かが私に浴びせようと思えば、
いくらでも可能だろう。

私が紹介しているひきこもりのインタビュイーに関して、

「彼らは、実在するのか。
 じつはお前が作り上げた人物なのではないか。
 もし実在するなら、彼らの顔や姿を見せろ」

と言われたら、私はひとたまりもない。

私のインタビュイーたちは、
表に出てこないひきこもりたちであり、
たいていが顔をネット上に出さない。

阿坐部村の塞翁療法による被害を語る証言者たちにいたっては、
顔や名前はおろか、
コメント欄に書きこむ言葉でさえ
「非公開」「内緒」を希望し、
ネットの表に出さないのである。

こういう情報源について、
私が読者の皆さまの誰もがわかるかたちで
その実在を示すことは不可能である。

ひきこもりや精神障害など、
とかく人が隠したがる属性でつながる界隈には、
そういう宿命的な特徴がある。

そういう宿命的な特徴をうまく活用して、
自分の立場を強固なものにしていく者も出てくる。

こう考えてくると、
私がやっていることと、
トウヤク君がやっていることは、
じつは構造的にあまり違わない、
ということになる。

それだけに
私にとってトウヤク君という人物について考えることは、
不愉快であり、面白くもある。




・・・「当事者発信を考える(30)」へつづく

  • ナイスです^ - ^

    [ myd*7 ]

    2019/5/22(水) 午前 8:21

    返信する
  • myd*7さま ナイスありがとうございます。

    チームぼそっと

    2019/5/22(水) 午前 9:42

    返信する
  • 2019/5/22(水) 午後 5:35 内緒の方 コメントをどうもありがとうございました。

    チームぼそっと

    2019/5/22(水) 午後 9:55

    返信する
  • はじめまして。私は池井多さんと同年代の「当事者 と言っていいかも?」な人間です
    数日前こちらに辿り着き、膨大な有意義な記事を読ませて頂きました、ありがとうございます。
    どこからどう辿り着いたのかがもう思い出せないのですが…

    サイレントマジョリティーという概念?がありますが、その反対語って何だったでしょうね?
    私自身はSNSは全くやらないのですが、その世界においては、ついつい声の大きい人の意見がマジョリティーの意見であるかのように錯覚されてしまう傾向は少々あるかもしれませんね

    [ tan***** ]

    2019/5/23(木) 午後 9:50

    返信する
  • tan*****さま コメントをどうもありがとうございます。

    本ブログにたどりつき、またご評価いただき、まことに感謝いたします。

    サイレント・マジョリティの反対語って何でしょうね。
    オピニオン・リーダーじゃないでしょうし、
    「ノイジー・マイノリティ」なんて言葉は聞いたことないし。

    たしかにそういう語があったら、いろいろ使えそうですね。

    チームぼそっと

    2019/5/23(木) 午後 10:20

    返信する
  • チームぼそっと様
    あえて言おう!
    いつぞやは高等的な書き方で鼻白ませてしまいすみません!
    また、ここへ来て以前のコメントを取り上げてくださりありがとうございます。
    あとは、あえて内緒でコメントしよう!

    [ cus*ion**ark ]

    2019/5/25(土) 午前 8:10

    返信する
  • cus*ion**arkさま あえて感謝しよう! コメントくださったことに。

    ・・・内緒コメントもありがとうございました。

    チームぼそっと

    2019/5/25(土) 午前 9:16

    返信する
  • 2019/5/27(月) 午後 11:05 内緒の方 コメントをどうもありがとうございます。

    あなたのようなご感想をお寄せくださる方々がとても多くて、記事を書いた私自身、少しおどろいております。

    トウヤク君問題は、続篇を書かせていただきます。
    これは「私たちの」問題だからです。

    今後ともよろしくお願いいたします。

    チームぼそっと

    2019/5/28(火) 午後 1:52

    返信する
  • 2019/5/29(水) 午前 9:18 内緒の方 コメントをどうもありがとうございます。

    過分なお言葉にも感謝いたします。

    チームぼそっと

    2019/5/29(水) 午後 9:39

    返信する

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