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VOSOT ぼそっとプロジェクト
ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

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やっぱり今日もひきこもる私(111)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多


日本のひきこもりを取材しにくる
海外メディアの勉強不足を嘆かせていただいた。

よく調べもしないで、

「日本という国では最近、ひきこもりが増加しているらしい」

という前提を強く信奉し、
それによって日本社会批判を展開しようと
たくらんでいる人たちである。

べつに私はウヨクではないので、
やたら自分の国、日本を美化しようなどとは思わないし、
日本万歳を叫びたいわけでもない。

ただ、間違いにもとづいて日本社会を批判するのに
与したくないだけである。

同じように、
日本のひきこもりを取材しにやってくる
海外のメディアが根強く信奉しているのが、

「日本の失われた十年がひきこもりを生み出した」

という俗説である。

とうぜん、そういう人たちにとっては、
ひきこもりとはロスジェネ世代以下ということになる。

ところが、今回の内閣府の調査結果で
それより上の年代のひきこもりがたくさんいることになったので、
彼らが今まで信じていた説に、
その新事実をどのように包摂するかと、
泡を喰ってもがいているところらしい。








日本の失われた十年がひきこもりを生み出した

という俗説は、
もともと2000年前後に、日本の社会で
「ひきこもり」という言葉が
ネガティブなイメージとともに拡散したときに、
一部の経済評論家が言い始めたものである。

あのころは、たとえば

・京都てるくのはのる事件(1999年)
・西鉄バスジャック少年事件(2000年)
・新潟少女監禁事件(2000年)

といった事件が頻発し、
実行犯がみな「ひきこもり」だったということになり、
それが、

「ひきこもりとは、暗く凶暴な若い無職の男」

というイメージを社会に形成した。

なぜそういう「ひきこもり」が多くなってきたか、
ということがワイドショーなどで話題になったときに、

かつてバブル経済が崩壊したから

という過去に原因が求められ、

失われた十年 ひきこもり創成説

が作り上げられていったのである。

しかし、これでは、たとえば
バブル経済以前からひきこもりであった私のような存在は
説明がつかない。

それでも、なんでもかんでもバブルのせいにすれば、
論として「座りがよい」ため、
しだいに定説のようになってしまったのである。

言論界には、そういうことがある。

やがてその延長として、
英語でこのような本が書かれることになり、
その俗説は国際的に信じられるようになっていった。

イメージ 1

太陽からひきこもって

いかに日本はロスジェネ世代を生み出したか


この本は、マイケル・ジーレンジガーという著者が、
外国人ならではの視点から
日本社会の暗部を抉り出しており、
ひきこもりは本来、みな独創性の高い、
個性の豊かな者たちなのに、
日本社会の集団主義がかれらを封じこめている、
としている。

その点はいたく評価できるのだが、
いかにせん、
ひきこもりはロスジェネの産物である」
としているのは誤りだといわなくてはならない。

ところが、出版されて12年経つのに、
日本のひきこもりを取材するためにやってくる
海外のメディア人たちはみな、
この本を聖書のように読みこんでおり、
書いてあることをすべて信じてしまっているのである。

そこから、数々のボタンの掛け違いが始まっているように思う。







最近、ある当事者会で
あるロスジェネ世代のひきこもり当事者の方が
このような意見を述べておられた。

バブルがはじけて、非正規雇用が増えたことは、
逆にひきこもりにとって良かったこともあったはずだ。

ひきこもりは、それぞれの理由から、
正社員としてフルタイムで働けない人が多い。
そこまでのパワーがないのだ。

もし逆にフルタイムで働くようになれば、
今度は反対の方向へギアが入ってしまって、
過労死するまで働くだろう。

だから非正規雇用として
パートタイムで働くことが、
ひきこもりでも経済活動に参加できる
効果的な道だったのだ。

このようにロスジェネ時代は、
ひきこもりにも社会参加への門戸を開いてくれた。

これは、

「ロスジェネ時代がひきこもりを生み出した」

とする専門家たちの俗説を一蹴する、
端的な当事者の声であるといえよう。




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