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VOSOT ぼそっとプロジェクト
ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

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当事者活動を考える(31)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多


ぼそっと 今日この(公開対論の)会場にいらしている親御さんの
最大の関心事は、
どうやって息子さんがひきこもりから抜けたか、
ということだと思います。

その点に関しては、いかがですか?

カズ 正直、息子がひきこもりを脱するのに、
これが決め手になったというのは、
私も家内も分からないと思うんですね。

状況的に言いますと、
高卒認定試験を受けて、受かった。

本人はどうしても大学に行って、
高校受験が思い通りに行かなかったのをリベンジしたい
という強い気持ちがあったので、
それを本人なりに受けて、受かったこと。

もう一つは、高校中退者向けの予備校があって、
1年間だけ、大学受験前に通うようになりました。
同年代と違う道を歩んだ引け目をあまり感じなくて済む、
同じように中退した人たちが通ってる空間なので、
そこが自分なりの居場所だったと思うんですね。

ぼそっと とすると、何かをしたから、
息子さんがひきこもりを卒業したわけではないということですね?

カズ 私はずっと単身赴任で家にいなくて、
つぶさに息子の状況を見ていないのですが、
家内は相当に苦しんで、病んでしまい、
精神科のカウンセリングに行きました。

そこである先生に、

「この子は安心感が足りないので、
3歳の子どもと同じように接してあげてください」

と言われたんです。
それが本人の安心感に繋がったのかな
という気はしています。

ぼそっと よく親御さんのお話を聴いていますと、
ひきこもりは親と子の問題であるように見えて、
そこに埋もれているのは、
親御さん夫婦の関係性の問題であったりする
と思うんですね。

例えば、お父さまが単身赴任で、
奥さまが全部それを抱え込んで、

「あなたは関西で仕事してるから良いかも知れないけれど、
わたしは大変なのよ!」

な〜んていう話はありましたか?

カズ:ええ。
電話するたびにかなり愚痴を言われました。
いろいろ相談したところ、奥さんばっかりじゃなくて、
父親も本気で心配してると、
息子本人にちゃんと態度で示した方が良い
と言われまして。

ただやっぱり、
どう声を掛けて良いか分からない。
かける言葉がないのです。

なので、私が出来たことは、
一緒にラーメンを食べにいくことぐらいですね。

ぼそっと ラーメン?

カズ ええ。
息子はほとんど家に引きこもっていますけれど、
「本人も、たまには外に出たいだろう」
と思って、ラーメンを食べに行ったんです。

「いつまでひきこもってるんだ、外に出ろ」

と言っても、首を振ることはないだろうな
と思って、何か口実を探していた時、
息子はラーメンが好きで、私も好きで、

「昔、ラーメン美味しかったね。
こういうラーメン屋あるけど知ってる?」

みたいな会話をしていたのを思い出しまして、

「ちょっとラーメン食いに行かない?」

と、一回連れ出したところ、
渋々と付いてきたんです。

これだったら、
一緒にラーメンを食べに行く目的があるので、
あまり本人に干渉せずに連れ出せるんじゃないかな、
と思い、それからは
単身赴任先から帰るたびに、
いっしょにラーメンを食べに行きました。

ぼそっと ラーメンを食べに行きながら、
どんな話をされたんですか。

カズ 何も話しません。
無言ですよ、行きも帰りも。

無言ですけれども、行ってました。



・・・「当事者活動を考える(33)」へつづく

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